下準備
「これでよし」
8人の魔王に対して今大会に関しての手紙を送る。
外からも腕の立つ魔族の参加も可能とするが、無制限に来られても困る為に制限を設ける事となった。
1ヶ月以内に上位50名の腕に自信がある奴だけを送ってきて欲しいという内容をだ。
もちろん、魔王ですらない俺に対して怒る奴もいる事は承知の上だった。
「俺の為に集まってもらって助かる」
8人の魔王達が速攻で集まった。
「カッカッカっ! 久方ぶりに全員が集まるなんてのぉ」
「竜の爺! こんな小娘が第九魔王だぁ! 俺は認めねぇぞ」
狼の魔王が言う。
「ヴォルフぅ、そういう話し合いじゃないわぁ。大会について私達は集まったのぉ。なんでこんな事をしたのかしらぁ?」
俺は大会を開く説明をする。
「都市の連中を従えるだべか。考えたんべな」
「けっ! 結局は力づくかよ」
「ヴォルフの場所もそんな所ではないか?」
「んだぁ! 鳥野郎」
「魔族の根本には強い奴に従う部分があるのじゃからの・・・しかしワシ等の領域にまで話を持ちかけるとはの」
「説明した通り、空座都市内部だけにしては他の領民が黙っていないと思ってな。大陸全土で呼び集める事にした。後から文句を言われても困るからな」
「ワシは一向に構わないのぉ。最近の若者たちは血気盛んじゃし・・・なにより娯楽が少ないしのぉ」
この世界は娯楽が少なく大会等は良い的だ。
しかし運営するにも膨大な金が必要で大会を開くには躊躇われる。
「金はどうするんだよ。そっち持ちか?」
「空座都市の運営費ではココだけで手一杯だ。そちらに任せたい」
「んだよ。コッチ持ちならやるのは嫌だぜ」
「とか言ってぇ運営するのが面倒なだけでしょぉ。そういう子たちを育てるのも私達の役目よぉ」
「ちっ、うるせぇババぁ」
「あ? 優しくしてりゃぁ、調子のるなよ。小僧」
「うっ、悪かったよ」
「そうそう。大人しくしておけばいいのよぉ。不死の旦那は意見はあるぅ?」
「我々アンデッド、戦いでは有利になってしまう。此度は出場の制限する」
「不満は出るんじゃないか?」
「スタミナ切れも起こさない我らの参戦は不公平感が出てしまう・・・出場させるなら私が一人だけを選出して送る」
「旦那がそれでいいならぁ」
「他に意見を欲しい。魔王でもないのに集まってもらって助かっているんだが」
他の魔王達も反対意見は出ず話はトントン拍子に進んでいった。
「では失礼する」
俺は書類を持って会議場を出て行く。
「「「「「「ぷはぁ!」」」」」」
殆どの魔王たちが息を吐き出した。
「え? なんなのあの子?」
「あれが覚醒魔王ってやつかよ。俺達が全員殺気出しっぱなしでも動じねぇのか?」
「カッカッカっ! 覚醒魔王としての格じゃよ」
「ハムート殿やハーデス殿も同じ感じだべか?」
「初めてお会いしたが既に魔王としての貫禄が出来ているな」
「あれで10歳位だから、これがまたのぉ」
「「「「「「「「10歳!?」」」」」」」」
衝撃の事実に他の魔王たちも驚きを隠せなかった。
「アレに名前を付けたのは3歳位の時であったか? その7年後には覚醒魔王じゃから驚きじゃわい」
「どんだけの化け物よぉ・・・お姉さん参っちゃうわぁ」
「俺だって継承魔王になるのに200年は掛かったんだぞ」
魔王種は長命の者もいて継承されるまで長期にわたる試練をクリアする必要性がある。
竜魔王が贔屓するだけあると理解して魔王達は解散していった。
「賑わってきたな」
「連日、登録者たちが後を絶ちません」
都市内で第九魔王選抜大会の噂が持ちきりで我こそはという魔族達が参加表明してくる。
2ヵ月後の本戦出場前にふるいにかける必要がある。
100名単位で名簿が作られてバトルロワイアル形式で上位1名が本戦出場できる決まりとなる。
この都市だけで参加者は数千名という予想がされていた。
連日連夜繰り広げられるバトルロワイヤル戦が起きている。
滅多にない大規模な大会だけあって近くの村や町からやってくる。
経済が高速で回っているのも確かだった。
人が増えれば、商品を売りにくる商人が集まり都市全体が潤うのだ。
もちろん、俺自身もバトルロワイアル戦に出場する。
公平を演出するには必要な事だ。
決闘場と呼ばれる巨大施設で執り行われている。
「第47組目が入場です」
進行役がマイクを持って風の拡声魔法で全体にアナウンスする。
「情報です。この中に最も第九魔王様に近いと言われいるアリア様がおります。皆さま、ここで勝てれば本戦に出なくても魔王ですよ」
と発破を掛けてくる進行役。
ザワザワ
周囲の魔族達の視線が俺に注がれる。
アリアという女の名前に出場者が女魔族に目をぎらつかせている。
俺の他にいる女魔族達も警戒をしている。
バトルロワイアルの怖い所は徒党を組まれて倒される事だ。
「始め!」
開始の合図で周囲にいた魔族達は真っ先に俺を襲い掛かってくる。
他の女魔族達が男魔族達に囲まれる。
「ショックウェーブ」
ドォンッ
一瞬にして数十名の魔族を場外へ吹き飛ばす。
「おぉっと! 開始早々半数以上が脱落しましたぁ。アレ何なんでしょう?」
俺の一撃が直線状にいただけの魔族達も巻き込んでしまった様だ。
その間に女魔族達も奮闘して男達を倒していく。
「あっちょぉ! あたぁ!」
徒手空拳を使う猿の女魔族が体の柔らかさを十全に使って男たちを倒していく。
「うふふっ。こっちですよぉ」
翅で空を飛び近接攻撃をヒラリと交わしてカウンターで決めていく蝶の女魔族。
「無駄ですわ」
鍛え抜かれた胸筋で相手の拳を跳ね返すゴリラの女魔族。声は可愛い・・・
この3人が俺ほどでもないにしても他を圧倒している。
時間が経ち4人だけがステージに残った。
「おぉっとこのグループは女性が強いぞ! だれがアリアなのか」
白々しく進行役は実況しながら進めていく。
「「「棄権する(ね/しますわ)」」」
俺以外の3人が棄権を表明した。
「私は命が惜しいあるよ。貴女がアリアね?」
「あぁ」
「私はぁ腕試しに来ただけなんですよぉ」
「目の前に立っただけで敗北を味わったのは初めてですわ。真の強者はアリア様ですわ」
3人が3人とも違う答えを出してステージを降りていく。
「3人共、この後どうするんだ?」
俺は去ろうとする3人の予定を聞いていく。
この大会が終わるまではいるようで、気が向いたら俺を訪ねるように伝えておいた。




