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頓挫

「従えない?」


俺は空座城の職員にアレコレと注文を言って、この都市に居る各分野の纏め役を集めてもらった。


「おうよ! ここはずっと俺達が仕切ってきた街だ。ポッとでの奴に従う訳ねぇだろ」


「そうだ」


「態々呼びつけておいて俺様の時間を無駄にする落とし前を付けさせてもらおうじゃねぇか?」


この都市に拠点を置き商売でのし上がってきたゴードン、空座都市の建物を作り出してきた建築連合ハチョス、裏の部分を牛耳る首領のドンコル達を呼び集め


新たな試みをする事を伝えて手伝ってもらおうかと思ったが全面拒否された。


「それによぉ。姉ちゃんが第九魔王って信じられるかっていう事だ」


「この都市は王不在の自由都市。今更、魔王は不要だ」


「どうしてくれるんだぁ?」


3人が睨みを聞かせて発言する。


「確かに俺は第九魔王としては認められていないし、この都市に来たのも1週間前だ」


「なぁに威張ってるんでぇ」


「俺達を従わすには古来よりアレよぉ」


「アレだな」


アレってなんだよ・・・。


「「「喧嘩大会」」」


ズルッ


脳筋魔族め・・・


「ゴホン、皆様のお怒りはごもっともです。が、竜魔王様からの言伝でこの空座都市にも第九魔王が座すという話は事実です。しかし認められないのも事実。ここで空座都市の王を決める大会というのはどうでしょう?」


「「「それだ!」」」


馬鹿トリオか?


「もし、アリア様が優勝ないし参加者の誰かに負けた場合はその心臓を捧げてもらいます。次代の継承魔王には心臓が必要ですからね」


「ん? コイツは本当に魔王なのか?」


「えぇ。なにせ数百年振りの覚醒魔王様です。お遊び気分で相手にならない方が宜しいかと思います」


「「「!!?」」」


覚醒魔王については一般魔族達にも浸透しているんだな。


「つまり、勇者を殺した魔王って事だな」


「こんな小娘が? 嘘だろ?」


「俺様の計算が」


明らかに動揺する3人。


「では、1ヶ月・・・いえ、2ヵ月後に空座都市の支配権を賭けた第九魔王選出大会を開きます。他の領地からの参加も可能なのです」


「お、おう」


「分かった」


「ウチのトップに・・・」


3人はブツブツと言いながら帰っていった。


「これで宜しいので?」


「あぁ。助かったぞ」


「竜魔王様からアリア様の面倒を見るようにと言われましたからね。では、私も準備を致しますので」


「任せても良いのか?」


「アリア様の慧眼には感服しておりますので」


此処まで従順になってくれたのは1ヶ月前だ・・・


・・・


「収支報告書を過去3年分だせ」


「収支報告書ですか?」


「無いとは言わせない」


「畏まりました」


「アリア様、収支報告書を何に使うんですか?」


「まず、1ヵ月分の収支を知って毎月の変動値を知りたい。大幅に増減していれば横領の可能性もあるしな」


「ここの経済である元を知るのですねぇ」


「そこから知らないとな」


ガチャッ


「お待たせいたしました。これが3年分の収支報告書です」


ドサドサドサッ


「明らかに3年分以上ありそうなんだが?」


36ヵ月分にしては机一杯になるのは可笑しい。


「いえ、まだ御座います」


荷車に大量の紙が乗せられた束が次々に運び込まれた。


「これが3年分の収支報告書だと? 1枚1枚が細かい収支報告書じゃないか」


「我々はこれでやってきましたので」


どうやらココで試されている様だ。


「マジか」


「更に過去の分が欲しいのでしたらお渡し致します」


「結構だ」


「では、何かありましたらそこのボタンを押してください。失礼します」


職員は颯爽と出て行った。


「こう来るか」


「本当に細かい報告書ですよ」


アキラも嫌そうな顔をする。


「やるしか無いか・・・」


「って、なんで3年前の中に2年前のが入ってるんですかぁ」


束で年数ごとに分かれている様に見えて中身が怪しいに程があった。


「まずは年数ごとに一枚一枚仕分けるぞ」


「ひええぇ!」


「終わったら褒美をやるから」


「頑張ります」


こうして俺達の戦いは始まった・・・嫌がらせだぞ。


数時間を掛けて3年分に仕分ける。


「ここからは分野毎に仕分けるぞ。中身を見てカテゴリ分けだ」


「うわぁ、これって書式もバラバラですよぉ」


よくよく見ると、記入欄が決まっている訳ではなくバラバラに名前や金額に日付が記入されていた。


メモレベルの物さえあった。


「2人でやるには厳しいですぅ」


「そうだな」


急遽、職員を呼び人手を貸してほしいという要望を出す。


「1時間辺り幾らになりますか?」


「は?」


「いえ、アリア様に人手を出す代わりの報酬についてです。無料でする訳には参りませんので」


「金まで取るのか?」


「えぇ。我々を動かすにはお金が必要です。他に伝手があるのでしたら其方にお願いします。では、失礼します」


バタンッ


「なんですか。アレ!」


「怒るな・・・人を動かすには金銭を要求するのは自然の事だ」


「アリア様は第九魔王ですよぉ!」


「ここの支配者ではない以上従わないのだろう。ハムートの指示に従っていると言った感じか」


「それならどうしますかぁ?」


「読み書き算術が出来る魔族を集めるしかないか」


「ですね」


「それでも金が掛かる」


俺達の手持ちも無限ではない・・・モンドーから餞別に幾ばくかの金を貰っているが1ヶ月分を2人で暮らしていける程度の金だ。


「元手が無さすぎる・・・」


「金の稼げる場所を紹介して貰いますかぁ」


「だな」


手っ取り早く金の稼げる場所を紹介してもらう。


討伐ギルドへとやってきた。


テンプレなギルド証発行や説明を受けて受注する。


「ホーンラビット程度じゃ金にならないですよぉ」


「ランク制度まであるとは」


弱い魔族が強いモンスターに挑んで死ぬことはある。


それを防ぐためのランク制度・・・高位のモンスターを倒すには高ランクにならないとダメだった。


「受ける事も拒否されたとは」


「こんなんじゃ、何時に終わるか分からないですぅ」


「よし、ホーンラビット狩りを装ってワイバーン狩るぞ」


「えぇえ!?」


「なぁに、ホーンラビットを狩っていたらワイバーンに遭遇して致し方なく、な!」


「アリア様なら負けないと分かってますけどぉ」


「バレなきゃいいんだよ! 行くぞ!!」


空座都市を出て行こうとしたが一つ疑問に思った。


俺(魔王と認められてない)が他の魔王支配領域に行くことはダメなんではないか?


「アキラ、任せた」


「えぇえええ!?」


「俺はアレを如何にかする。お前ならワイバーンくらい倒せるだろ」


「うぅうう。頑張ります」


俺は空座都市から出られないと悟ったのであった。


「偉いぞ」


アキラは見事ホーンラビットのついでにワイバーンも狩ってきた。


その報酬金で読み書き計算が出来る魔族を集める。


緊急的な物で報酬は弾んだ。


「皆、ご苦労」


連日の仕分け作業、計算作業は終了を迎えた。


きっちりと報酬金を支払えば文句なくやってくれた。


ついでに普段は何処ら辺に住んでいるのか確認しておく。


今後、こういった事を頼むのに次も頼むつもりだからだ。


「なるほど、おかしいな」


「ですねぇ。計算が合わなすぎですよぉ」


収入に対して支払いが大幅に合っていない。


「使途不明金が多すぎる・・・何処かに保管されているのか?」


確認してみると運営用の金庫に不明部分の金額の何割かは保管されていた。


「まだ、足りない。コレはどういう事だ? 誰か横領しているぞ?」


「そんな、まさか」


たったの1週間でこの闇を暴いて見せる。


「これは重大な案件だ。書類上では何処の誰かが収入金を奪っている可能性があるが誰なのかまでは追えない」


「恐れ入りました。我々も薄々は感じていました・・・が困っている次第で」


「管理体制にも問題があるぞ。まず、この報告書は統一しろ。で金を渡す人物も記名式にさせろ。更に受け取る側も記名式にしろ。支払報告書も同じだ。書類は全て記名式、読み書き記入出来ない者が金の管理だけはさせるな。言葉だけでのやり取りでは計算が合わなくなるし言い逃れがすぐ出来る。ここの運営の一端を任されているなら責任を感じてもらえ」


「はい。直ちに!」


それから1ヶ月が経って横領する人物たちが浮き彫りになった。


すぐに動き横領した魔族は即刻クビにして都市から追放を行った。


「追放なのか」


「殺さないだけマシでしょう」


「殺すか追放かのどちらかなのか?」


「大体は」


両極端の罰則方法で法についても考えないと分かった瞬間だった。


記名式にする事で各部署に緊張感が生まれて収支が合わないという事は殆どなくなった。


「どうせ、直ぐに従う魔族は居ない。お前がそうだったようにな。で、第九魔王選出大会というのをだな開こうと思う」


「頭が上がらないですね・・・畏まりました。その様に手配をします」


普段より増えた運営金から大会の運営費に回される事となった。


空座城から発信された魔王の座を掛けた大会に空座都市内部では大騒ぎとなり、それは他の領域にも伝播していった。

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