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9007M列車 実践

ゴールデンウィークも後半に差し掛かり、Uターンラッシュも盛んになる頃。僕は鞄を携えて、在来線の列車に乗り込んだ。お母さんも色々と心配になったらしく一緒に滋賀県までのって帰ることになった。やめた方がいいと思うんだけど・・・。

「ママ、まだ後戻りできるよ。」

「心配してくれてありがとね。真ちゃん。」

「・・・。」

小田原が近づいてこないと回りが空かない。ちょうど空いたボックス席を見つけたため、僕は座って勉強道具を広げた。筆箱は窓の縁におき、ノートを手に持つ。

「・・・。」

(ほら、電車じゃ勉強は・・・。)

ちょっと考える必要あるなぁこれ。ノートを折って見開きの状態から片手に持てるようにしてみる。左手でそれを持てば右手は空き、字を書くことも出来る。

(あら。)

「・・・。」

今度は電車の揺れがノートに線を書く邪魔をする。

(うーん。電車の揺れに会わせて字書いたらいいかな。)

ちょっと試してみるか。右へ左へ上へ下へ。電車は結構フラフラしている。ポイントを越えたりすれば、車輪とバネを伝って、箱を揺らす。なかなか上手い字を書くことができない。だったら、僕がわかる字を書けばいいか。いや、そうするときっと何書いてるかわかんないよなぁ・・・。

「フフフ。」

「どうしたの、真ちゃん。」

「ううん、なんでもない。」

揺れるなかで文字を書くって難しい。これ新快速になったらどうなるかな。223系の揺れを頭の中に思い浮かべる。

列車が熱海に到着すると僕は一旦改札の外に出ることにした。ノートを止めることが出来る下敷きみたいなのを探そうと思ったからだ。しかし、熱海は観光地。そういうものは手頃に入りそうではなかった。次にてに入る場所って三島かな、沼津かな・・・。静岡に行けば手に入るかな。だったら、さっさと東海道を下ろう。

熱海からはJR東海に管轄が移る。車両は外を見やすいシート配置から車内を見る形に変わる。

「・・・。」

お母さんの口数が少なくなってる。そろそろ体に堪えてきたな。

「ママだけでも「ひかり」で京都まで飛べば。」

「・・・出来るわけないでしょ。」

(いや、何で出来ないの。)

僕がそう聞きたいくらいだ。「こだま」に乗って静岡で乗り換えるか熱海に止まる「ひかり」に乗ればいいだけなのに・・・。

横向きシートはさっきみたいに筆箱をおける場所がない。仕方ないから自分の膝の辺りにおいておこう。それからさっきと同じ要領でノートを手に持つ。横向きになったお陰で左右の揺れをそれほど感じなくなったためか、さっきよりも字が書きやすい。

(これはこれで発見かな。)

勉強が進んでいたため気づいたら清水だった。もともと短いため車内には立ち客が目立っていた。隣では疲れから寝ているお母さんの姿がある。そろそろ新幹線で飛んでいっても・・・。とりあえず静岡で降りるか。時間はちょうどお昼だしね。

静岡でお昼ご飯を済ませてから、島田行きの普通列車でさらに西を目指す。島田まで寝てすごし、島田から先はまた勉強。だが、ここまで勉強を続けていると集中力が切れてくる。こういうときはやったって仕方がない。ちょっと外でも見て時間を潰すかな。

掛川駅を出ると進行方向左側に新幹線が見える。タイミングが会うと同じ方向に走っていく列車を見ることになる。どうもその運はなかったらしい・・・。

(勉強の続きするか・・・。)

見たくないものはそれで回避だ。

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