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9006M列車 指南

テストで5回連続で記録更新すること。それが塾をやめる条件となった。ママはどこか勝ち誇った顔をしていたが、僕もまた勝ち誇っている気になった。なぜなら、塾をやめる口実をつかんだからだ。

「真太君はとんだ約束したもんだなぁ。」

とおじさんは言う。

「そんなこと無いよ。でも、まだね。」

「お金かぁ。鉄道は金のかかる趣味だからな。」

おじさんも鉄道ファンだから悩みの種は共有されやすい。

「真太君。大回り乗車って聞いたことはない。」

「なぁに。それ。」

聞くところによれば、同じ駅を二度と通らずに出発地から目的地へ長距離電車に乗る方法のことを言うらしい。例えば、山手線東京駅から有楽町駅に行くのに神田駅方面から有楽町駅に行くとか。

「でも距離が延びるってことはもっとお金かからない。」

「ああ。本来ならな。」

おじさんはそこに含みを持たせた。それから、おじさんは時刻表の後ろの方にあるピンクのページを開いた。僕はこんな方を見たことがない。こちらには数字ではなく文字がびっしりとかかれている。僕にはまだ読めない漢字もある。

「うわぁ。」

それだけで萎えそう。僕の顔を見たのか、「やめとくか、この話。」と聞いてきた。僕はそれに首を横にふり「ううん、大丈夫。」と答えた。聞き逃すまい。おじさんの言うことは自分が好きなもののことだ。

「これ見てごらん。」

おじさんは路線図を指差した。大阪近辺のJR線が描かれている。いわゆる「アーバンネットワーク」を指しているか。

「これ何。アーバンネット・・・。」

「アーバンネットワークとはちょっと違うかな。これの範囲内を移動するときどんな距離を移動しても、最短距離の切符で移動できるってものだけど。その代わりに改札の外に出たり、逆戻りできないっていう制約があるけどね。」

「へぇ。」

色々と理解した。これ凄いなぁ。この範囲内で逆戻りと改札の外にさえでなければ最低140円で電車乗り回せるのかぁ。

「わかった・・・。今ので。」

心配そうに顔を覗き込んできた。

「140円で電車乗り放題ってことでしょ。」

一番噛み砕いた言い方であろう。

「うん、まぁ、そういうことだよ。」

よし、向こうに帰ったら早速実践してみよう。その前に復路も在来線かつゴールデンウィークの宿題片付けながら行こう。

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