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9005M列車 苦難の行路へ

「僕、塾辞めたい。」

今まで溜まりにたまった気持ちを吐き出すように言った。

「あなた、何か真ちゃんに吹き込んだの。」

お父さんをお母さんが睨む。

「俺はなにも吹き込んでないぞ。」

「塾辞めたいってどういうこと。」

「だって、勉強つまんないし。」

「あのねぇ。」

そう言いながら、お母さんは僕の両肩に手を置く。

「勉強したものは将来きっと役に立つんだから。それに偉くなりたくないの。」

「別に。偉くならなくたって困んないもん。」

「将来必ず困るわよ。」

「困んないようにすればいいだけでしょ。」

そう言うと呆れ返った。

「でも、塾は辞めても勉強は続けるよ。」

「さっきと言ってることが違うわよ。」という言葉には「塾での勉強がつまんないだけ。」と返す。「これはずっと平行線だな。」お父さんがそう笑っていると「あなたは黙ってて。」と怒られてた。

「塾やめて、どこで勉強するつもりよ。学校。」

その問いに僕は首を横にふった。「図書館」にも「お家」にも横にふる。

「じゃあ、どこでお勉強するつもり。もう、勉強できるところはありませんよ。」

「電車。」

「はっ。」

「電車ん中。おじさんは受験の時電車のって勉強してたっていってたもん。横浜から守山帰るだけで5時間くらい勉強できるんだよ。」

「電車は勉強する場所じゃありません。勉強するなら塾に行きなさい。」

「行ったってつまんないから言ってるの。別に勉強やめないんだからいいでしょ。」

何で分かんないかな。塾やめて、勉強もやめるだったら反対されるだろうけど、別の勉強場所で続けるっていってるんだから許してくれたっていいじゃん。そりゃ、電車が勉強場所でないことくらい知っている。勉強なんて時間と工夫さえすればどこでも出来るというのに。机に向かうだけが勉強じゃあるまい。

「ママはそんなこと認めませんからね。」

「別に。認めてもらえなくてもいいです。勝手に行かないもん。」

「こら。」

「ママ。」

ここでお父さんが間に入ってきた。

「あなたからも何か言ってあげて。」

「ママ。パパが何か言っても真ちゃんは聞かないって。」

「パパ。何甘やかしてるの。」

甘やかしてるかな・・・。

「だからだよ。真ちゃんと約束すればいいじゃないか。塾やめることに条件つけて、その条件クリアしたらやめる。真ちゃんはそれクリアできなかったら塾を続ける。それでどうだ。今ここで話したってママは「塾続けろ」としか言わないし、真ちゃんは「行きたくない」って言うだけだろ。違うか。」

「それは。」

「本気だろ。」

お父さんは僕の肩に手をおいた。それに僕は大きく頷く。

「はぁ。勝手になさい。」

「あっ。」

「ママのことギャフンと言わせてやろう。」

「うん。」

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