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スマホ × 電車=デス・ゲーム  作者: ネームレス・サマー
悪魔を導く天使達のささやき声
18/27

蜃気楼の中にある、答え

「幻聴か……」


 前聞いた時のあの声とは違って、男・女がハッキリとしていたが。

 あれか、あれなのか。ついにお迎えが来たのか。

 光宙(そら)はわかるけど、どうして女の方は夏恋(かれん)さんや初恋の子じゃないんだ。

 納得がいかない。


『アンタ、もしかしなくても聞こえてるんでしょ!

 早くスマホを持って、入力するの。青白模様が特徴的なレイジンガーよ』

「なっ!?」


 巨乳ちゃんもとい香本さんが声と共に、俺の目の前に現れた。

 全身青白い光に包まれながら。


「幻覚……なのか?」

『そんなのどうでもいいから、ハヤク!』

「……わかった」


 物は試しだ。俺だって死にたくない。

 素早く文字を打ち込む、レイジンガーと。解答ボタンを押し、数秒待つ。すると、


「合ってるよ……どういうことだ」


 正解だ。

 ということはまだ生き残れる可能性がある!

 俺は自身の体に熱が入るのを感じた。


『おお! やっと思い出したか!

 ここで思い出せずに死んじゃうようなあの世で100万ボルト説教コースだったな』

『ふぅ……ま、良かったわ。でも気を抜いちゃダメよ』

 

 …………。

 これは幻聴・幻覚なのか?

 それにしては妙にハッキリと見えるというか。

 そもそも答えを教えてくれる幻聴なんてあるのか?

 ……さっきもそうだった。けど、さっきのとは違う気がするしな。

 もしかして、多重人格が目覚めてしまったんじゃ……今の状況だとありえる。


 何でもいいか、利用できるものは利用する。

 そして、生き残る。それだけだ。


「聞きたいことはあるが、話は後だ。力を貸してくれ」

『おう! ってあれ、もしかして声聞こえてる?』

『気づいてなかったのね……』


 2人の、光宙の声を聞いて瞼の奥が熱くなっていた。

 視界が霞んでいくのを気のせいだと無視して、俺はスマホの画面を見ることに集中した。

 生き残って、生き残って、話を聞こう。


??????????????????????????????????

       大問5   アニメ・サブカルチャー      17/30

                          

         第29問

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  


残り2問、正解してみせる。




「よしっ」


 29問目は自力で正解してみせた。

 そのせいで光宙と思われる存在がつまらなさそうーに、宙を漂っている。

 おい、そこは喜べよ。

  

『何とかいけそうね』

「ああ」


 香本さんが宙を舞いながらそう呟いた。

 スカートを履いている奴が宙を舞えば、当然……

 惜しい、あと少しでパンツが見えそうだった。


『あっ、蒼汰(そうた)がスケベな顔してるよ。これは見たな』

『ちょッ、何を見たの! ねえ!』


 2人の言葉を無視して画面の問題に集中する。

 ダメだな、気が緩んでる。というか見てねーよ。


「わからん」


 このラスト1問を正解すれば確実に上位10人に入れる。

 だけど、この問題は俺にはわからない。

 小さな女子が見るアニメの問題なんてわかるわけがない。


「2人とも、わかるか?」


 大人しく頼った。

 得体の知れない存在に。

 いや、俺の中ではもうどんな存在だろうがどうでもよかった。


『ええっ? 自分で解けちゃうだろ~蒼汰は』


 宙に漂いながら素知らぬ顔で舐めたことを言っていた。

 ウザっ! なんなのこいつ。

 拗ねた時のリアクションが……本当……昔のままだ。


『酷い奴ね。友達が困ってるのに』

『だって今までずっと呼び掛けてたんだぞ! 

 それで気付いてくれたと思ったら、反応薄いし!』


「はぁ……早く力を貸せ」


 しんみりとした気持ちは失せてしまった。

 というか今まで呼び掛けていただと? もしかしてあの中性的な声もこいつの声なんじゃ。

 ……今はそんな事を考えている場合じゃないな。制限時間が刻刻一刻と減っている。


『仕方ないわね、私が教えてあげる。

 この服装は真・ブラックローズベリーよ』

「そんな名前だったか、ありがとう」


 背筋を伸ばしながら早速解答を打ち込み始めていたら、


『巨乳ちゃん、それ違くない?

 これは真がつかないほうっしょ』


 光宙……が画面を指差しながら、香本さんに言った。

 なんでお前がこんなアニメ知ってんだよ。女児向けだぞ。

 香本さんなら小さい頃見てたとかでわかるけど。つうか、その名前辞めろ。俺に被害が来る。


『はぁぁぁ? ナニ言ってんの。

 ブラックローズベリーシリーズ全作見てる私が間違えるわけないでしょ。

 というかその巨……って時々呼ぶのやめなさいよ!』


 えええ、香本さんこのシリーズ全部見てるのかよ。

 確かまだ現在進行でやってるアニメじゃなかったか。意外な趣味だ。

 見た目に反してるというか、ギャル系もアニメを見るんだな。

 しかも女児向けの。


「それなら香本さんが正しそうだ」


 俺は顔に出さないようにしながら、そんな事を思った。

 そろそろ解答を入れないと不味い。香本さんのを入れておくか。


『俺の初恋の子達だぞ! そのキャラの服装を間違えるわけないだろ!?

 5歳の時の事とはいえ、あの気持ちを忘れない!

 あっそれと、巨乳ちゃんって言い始めたのは俺じゃなくて……』


 言い切る前に蹴りを食らわせた……が、当たらなかった。

 正確に言うなら貫通、もといスカった。

 

「…………」


 パッと見から想像付いたが、俺の幻覚じゃなければ幽霊とかそっち系か。

 まぁ、どうでもいい。

 そういえば小さい頃散々好きな子が何人も出来ちゃったんだよ~って自慢されたな。 

 これのことか、まさかアニメのキャラとはな……。というか今思うとその自慢はおかしい気がする。


『酷っ! 親友を蹴り飛ばすなんて。

 痛くはないけど、心が痛い!』

「そりゃ、すみませんでした」


『なんか色々言いたい事があるんだけど、もう時間、やばいわよ』 


 本当だ。

 香本さんに言われて画面を見る。

 もう制限時間は10秒を切っていた。


「どうするか」


 このまま解答ボタンを押すべきか。


『まっ、ここは当然私を信じるわよね』


 カールされた茶髪をかきあげた後、大きな胸を張りながら香本さんはそう言った。

 普通の見た目なら目の前でこんな事をされたら、内心テンションが上がるが……

 青白いオーラのようなものが体を纏っているせいで、興奮しない。

 残念。


『いやいや、俺だろ! 10年来の付き合いだからなぁ。

 ここで信じなかったら……特にない。蒼汰の判断を信じるよ』


 どこか大人びた笑顔を浮かべながらそう言った。

 着ている服は小学生が着るようなダサい奴だが。


「……」

 

 一瞬だけ瞳を閉じる。……俺の気持ちは決まっているな。

 お前を信じるに決まっているだろう。


「…………」


 真の部分を消し、解答を押した。


『むっ』


 悪いな。

 香本さんには心の中で謝罪をする。

 

「ふう」


 俺はスマホを膝の下に置いた。

 30問目が正解か不正解か、まだわからない。

 けれど、生き残っている自信が確かにある。


「さて」


 目の前に浮かんでいる2人を見る。

 聞きたいことが沢山あった。が、まず最初に言っておきたいことがある。

 俺は口を開き、こう言った。光宙また会えて良かった、と――――

 

  


 

 

と、投稿時間が徐々に遅くなっている?

A.蜃気楼です。


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