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砂粒
砂浜に座って、皆で作った島の種を見ていた――。
「ヒロさん」
タタラがやって来て、隣に座った。
「何かしてるんですか?」
いつかの砂浜をなぞる問いは、少し違う。
「何も……」
タタラも同じように、島の種を眺めた。
「ちゃんと、ありますね」
「そうだな」
沈黙を潮騒が洗っていく。
「僕らは、あんな風になりたいんです」
「あんな風?」
「はい」
「ずっと同じようにあるようで、少しずつ、育つ」
タタラを見やった。
この少年の目には、ムクタと同じ物が見えているようだった。
「……ククリのように、抗う事は、自分には出来ませんでした」
タタラの素足が、踏み締めるように、掘るように、砂を掻いた。
「でもせめて、ククリを支える事くらいしてもよかった」
「……今度は、間違えたくないんです」
タタラのまつ毛に飛沫が光って見えた。
「タタラは……いや、君たちは、強い」
砂を掴んだ。
掌を開けば指の間からサラサラと砂は落ちていく。
「君たちの思いを、尊重する」
掌に残った僅かな砂を、噛み締めるように、強く握った。




