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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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島の種

私たちは位置について、その時を待った。


やがて海に白い道ができ始め、できた道に丸太がしかれ、ソリが岩を乗せて位置についた。


「俺も引く」

ククリくんがソリを撫でて言った。

「……なら後ろから押せ。肩を使え、俺も一緒に押す」

サチさんとククリくんがソリの後ろについた。

前方ではヒロさんとタタラくん、男の人たちが縄を持って海を見つめていた。




「今だ!引くぞ!!」

道の先に小さなスペースができ始めるころ、ヒロさんが声を上げた。

「みんな!」

「うん!おーえす!」

子供達に声をかけると、網引きを思い出して声を張り上げてくれた。

ソリはなかなか動かない。

「あんた達!情けない姿見せてんじゃないよ!蹴飛ばしてやるよ!!」

威勢のいいおばさんが檄を飛ばした。

「おおっと、女性はいつでも強いねぇ」

ムクタさんがのんびり言うが、おばさんの檄でソリはジリジリと動き出し、やがてぐんとスピードを増した。

「動き出したぞ!止めるな!タタラ!!」

「はい!みんな、いくぞ!!」

動き出したソリの下、通り過ぎたところから丸太を抜いて先に持っていく。

「坊主、動き出したぞ!」

「ククリ!だ!」

ソリの後ろではサチさんとククリくんが声を上げながら力の限り押していく。

「動き出した!丸太!遅れてます!急いで!」

「がんばれー!!」

たくさんの声が渦のように重なっていく。



「着いた!」

ソリは予定の場所に着いた。

「止まれ!着いたぞ!岩を下ろせ!」

男の人たちがソリから岩をおろし始める。

一抱えはある岩をみんな難なくおろし、積んでいく。

ぶどう畑から持ってきた大岩も、数人の男達が息を合わせて動かし、鏃形の先端に据えられた。



「横に倒せ!道を開けてやれ!」

全ての岩が降りると、ククリくんが叫んだ。

「こっちを!前後でいい!行くぞ!」

ククリくんの声を受けて、タタラくんが声をかけてソリは海に向かって横に倒され、道が空いた。

ククリくんを一瞬、タタラくんが抱きしめた。



「行くよ!!」

おばさん達が網を持って駆けた。私たちも続いて列になる。

先頭で男の人たちが網を組み、タタラくん含め、何人かの男の人達が列の最後尾に着いてザルに砂利を入れて渡す。

バケツリレーでどんどん運んで網を組んだ所に砂利を流し込んだ。

「急げ!もうじき潮が満ち始める!」

ヒロさんが声を張り上げる。

手渡される砂利の入ったザルは重い。

子供達は二人組になってザルを受け取って渡す。

誰も文句なんて言わなかった。

お互いを鼓舞する声を響かせながら、作業は続いた。




腕が、足が、震えはじめた。

手に力が入らないけど、気持ちでザルを運んだ。

徐々に潮が満ち、足元に海が迫ってきた頃、それは完成した。


「完成だ!明日から少しずつ島が出来るぞ!」

ヒロさんの声に歓声が上がった。

皆お互いを称え合い、肩を抱いて完成を祝う。


夕陽になり始めた空の下。

無骨な、けれどみんなの思いが詰まった島の種が蒔かれた。

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