みんなで
その日は朝から島中が湧き立った。
「おー!タタラやるじゃないか!」
「わーい!みてみてーー!!」
タタラのソリのお披露目だ。
試運転を兼ねて、子供達がソリに乗っている。
子供達が飛んで跳ねてもびくともしない。
引いているのは男の人たちだ。
みんな勢いで引くのではなく、子供達を気にして、ゆっくりだが止まらず、力強く引いていく。
「おー!なんだか賑やかになったね。おいぼれのわがままなのに、みんな楽しそうだ」
ムクタは慈しむようにみんなを眺めた。
この村の行く末が、光るようだ。
「作戦を確認するぞー!」
ヒロさんが声を上げて、設計図を書いた木の板を立てた。
大人も子供もみんな集まって見つめる。
作戦はこうだ。
干潮が始まったら、丸太を敷く。
その上をソリを引いて進むのだが、数が足りないので、通り過ぎた分から前に持っていく。
「スピード感が大事だ。道が狭いから、浅瀬を走って前に持っていく。足の強い者の担当になる。タタラ、指揮を頼む」
タタラがうなづき、ヒロに声をかけられた者が、おう!と威勢よく返事をした。
ソリが予定の場所まで来たら、ソリから岩をおろし、設計図通り積んでいく。
その後、網を女衆で運びこみ、そのまま子どもも総出で列を作り、バケツリレーで砂利を運ぶ。
「岩をおろしたらソリを浜までもどして――」
「待ってくれ」
ヒロさんの説明にククリが声を上げた。
「ソリは海に捨てて構わない。その方が早い」
ククリの声は芯を持って強かった。
「いいのか?」
サチが短く聞く。
「構うか。その方が早い。材料だけ回収できたら、また作るさ」
サチがくっと笑った。
「恩にきる」
ヒロが短く礼をとり、タタラが誇らしく弟を見つめた。
「女性陣もいいだろうか?網は重い、何人か男手をそちらにまわしたらいいだろうか?」
「いらないよ!あたしらを舐めてもらっちゃ困るね」
あの威勢のいいおばさんだ。
他の皆も、任せろと顔が言っている。
「それより、あんたらがちんたらやってたら蹴飛ばしてやるよ!」
女達はカラカラと笑った。
「私たちも頑張りますよ!ね!?」
「やるーー!!」
カナエも子ども達と鼻から息を吐いて気合いを入れた。
ヒロは皆を見渡して、一つうなづく。
「ではみんな、位置につこう」




