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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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シャボン玉

お昼ご飯がひと段落すると、私と、炊き出担当のお母さん達とでサトウキビを煮詰める。


その間、子供達はソリを使って軽くなったお弁当を回収して洗ってくれる。


「カナエちゃん、子供達が帰って来たからちょっと休憩がてらそっちにいってくれるかい?」

「あ、はい!いってきますね」


サトウキビを煮詰める作業はとにかく暑い。

最初にやった時は日が落ちてから煮詰めだしたから気にならなかったが、昨日うっかり倒れそうになってしまった。……反省しないと。

心配したお母さん達が今日は違う仕事を振ってくれる。


「ついでに、洗い物が終わったらちょっと子供達と遊んであげてくれない?最近よく働いてくれるけど、子供は遊ぶ事も仕事だからね!」

私が気に病まないように、カラッと笑ってくれるお母さんが嬉しい。





「みんな、お疲れ様」

「おねぇちゃんただいま〜!」

子供達のところへ行くと、みんなが大きなタライに開いたお弁当を入れているところだった。

「おねぇちゃん、ただいま。わたしたちのおてつだいしにきたの?」

「ふふ、そうだよ。洗い物お手伝いさせてね」

洗い物の先生はおませな女の子だ。

先生は、タライに汚れた食器を入れて、そこへベージュがかった水を瓶から注いだ。

「先生、それはなんですか?」

挙手をして先生に聞けば、周りの子達も得意気になってわらわらと教えてくれる。

みんなの話をまとめると、これは灰を水に浸してとった上澄み液で、汚れがよく落ちるのだそうだ。

枯れ草をまとめただけのスポンジもどきで擦っていると、泡が浮いて来て、汚れが綺麗に落ちた。

「おお!凄い!」

――灰から作るエコ洗剤ってなんか聞いた事あるな。


ん?洗剤があるなら……





洗い物が終わった後、タライに残った泡にほんの少し水を足す。

よく混ぜたら、ゆびで輪っかを作って浸した。

――シャボン玉!……できるかな。

「おねぇちゃんなにしてるのー?」

「みんなでちょっと遊ぼうかと思って。見ててね」

指の輪っかを水から出して、膜が張ってるのを確認して慎重に息を吹きかけた。

「わぁ!」

シャボン玉は膨らんで、子供達は歓声を上げてくれた。

けれど、すぐにパチンと弾けてしまった。

それでも子供達には見た事ないものだったようだ。

「楽しい?シャボン玉って言うんだよ」

「しゃぼんだまキレイ!」

「あ!みろみろ!大きいのできた!」

大はしゃぎで真似して楽しんでいる。


――このくらいで喜んでくれるんなら、飛んで行くシャボン玉を見たらどんな顔をしてくれるのかな。


子供達の楽しそうな顔を見て胸が躍って――少し痛んだ。

小さい頃、お母さんとシャボン玉で遊んだ頃を思い出す。

宝物みたいな時間だった。

私が、宝物になるんだって決めてから、そんな時間がどれだけあったんだろう。

私にとっても――お母さんにとっても……。


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