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幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


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サトウキビ

ヒロさんがが石を運んでいる頃、カナエは村の女性や子供達と共にぶどう畑に来ていた。

今日はぶどう畑のそばの雑草の整理をするそうだ。


***


「枯れたのを集めてね。繊維をとって糸にしたりカゴを編んだりするのよ」

「生えてるのは触っちゃだめよ!ベタベタしちゃってなかなか取れないから」

面倒見のいいお母さん達が何かと教えてくれる。子供達も一緒にお手伝いだ。みんな働き者で、とっても可愛い。

カゴは何に使うのかと聞けば、お祭りの供物を詰めるんだそうだ。

大塩の後、大量に作った干物や燻製を私達が寝泊まりしている岩棚に供えて、子供達にも加護がある様にと一緒に一晩過ごすそうだ。

「おねーさんとおとまり!たのしみ!」

「あら?じゃあ今日もお泊まりしちゃう?」

おどけてそう言えば、お母さんが苦笑混じりに言う。

「ダメよー!お祭りまではお母さんとお父さんであなたを独り占めしちゃうんだから!」

そう言って女の子を抱きしめるお母さんを少し眩しく見つめた。



黙々と枯れ草を集めていて、ふとまだ青々しいものを見つめる。

――これって……

おもむろに自分の背丈ほどある草を両手で握って一気に体重をかける。竹に似ているが中空にはなっていない様でポキッと切れる事はなかったが、繊維を残しながらなんとか折る事が出来た。

「おねーさんなにしてるの?」

「カナエさんどうしたの!?あ!触らないで!汚れるわよ!」

お母さんの制止を聞かず、出てきた汁を掬って匂いを嗅ぐ……

――そうだ!やっぱり!

掬った汁を、舐めた。

「あーーーー!!!」

「わ!お腹壊しちゃうわよ!ぺっして!」

お母さん達と子供の絶叫が聞こえる。

でも気にしない。だってこれは――


「サトウキビ!」


え?という顔で固まるみんなにちぎれたサトウキビを指して続けた。


「これ!サトウキビですよ!今までこれを食べた人はいますか?」

「……いないけれど」

「多分これから砂糖が作れますよ」

――作った事は無いけれど……搾り汁を集めて水分を蒸発させたら、できるんじゃないかな。

「サトウ?ってなにー?どんなあじー?」

女の子が寄ってきて、サトウキビを齧ろうとするけれど、優しく制した。

「おねーさんが知ってる物と違うかもしれないから、まだ食べちゃだめ。大丈夫か確かめないと」

「カナエさん……確かめるって?」

「こうします!」


ちぎれたサトウキビに思い切り齧り付いて汁を吸った。


「わーーーー!!」

お母さん達の大絶叫が響く。


「っぷは!これで、明日まで私が元気だったら安全です。刃物を借りれますか?持ち帰って、砂糖作ってみますね!」


それからザクザクとサトウキビを収穫して、いくらか必要な物をお母さん達にお願いして、意気揚々と岩棚にもどった。



お母さん達は唖然としていたけれど……気にしない事にした。

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