はじめまして
程なくして、私たちは村人たちに囲まれていた。
皆よく日に焼けていて、麻のような生地の服を纏っている。足元は裸足の物が多い。
大人も子供も集まって、距離をとって私たちを見つめている。
期待とも恐怖ともとれる、緊張感のある視線が刺さるみたいに痛い。
ヒュッと、風を切る音と共に石がカナエに投げられた。
咄嗟にサチが庇い、ヒロが石を弾いた。
「ククリ!」
「止めるなタタラ!……マレビトなんか来なかった。いなかった事にしてしまえ!」
ククリと呼ばれた少年がまた石を構える。
ヒロさんが飛び掛かろうとし、タタラと呼ばれた少年が駆け出した。
「静まれ!」
場を支配するような、年老いているがはりのある声が響いて皆動きを止めた。
「マレビトはお見えになられた。タタラ、ククリを下げなさい。福音は鳴ったのです」
背の高い、まっすぐに立つ老紳士だった。
皆より少し装飾の多い服を着ている。
そして、白い肌をしていた。
「みんなも、仕事に戻りましょう。私はマレビト様をお迎えしますからね」
彼が手をパンパンと打ちながら話せば、皆何か思う事はあるようだがそれぞれ散って行った。ククリもタタラを捕まえて、こちらに一礼して去っていった。
「さて……驚かせてしまったね。申し訳ない。私はこの集落のまとめ役をしている。ムクタと言う、よろしく」
「ずいぶん歓迎されたもんだな」
サチさんが警戒を緩めない。
ヒロさんはムクタさんと私たちの間に立ち、彼から視線を逸らさない。
「ククリの事は許してやってくれ。……悪い子ではないのだよ」
ムクタさんは少し悲しそうに微笑んで言う。
「お嬢さんにも怖い思いをさせたね。ククリの代わりに謝らせておくれ……申し訳なかった」
こちらに視線を合わせて、しっかり頭を下げてくれる。
「いえ……大丈夫です。ヒロさんも、平気ですか?」
「問題ない」
ヒロさんは視線を外さないまま答えた。
「すまなかったね……。大した事は出来ないが、家に来てくれるかい?お詫びにお茶でも淹れよう」
「君たちの刻限には、まだ余裕があるはずだよ」




