ゲームセンター
次に訪れた異世界は、見覚えのあるショッピングモールの中だった。
カナエはその空気に、思わず肩の力を抜く。
……が。
「カナエ! アレなんだ? やたらチカチカしてないか?賭場か?」
「違いますサチさん。ゲームセンターです。メダルはお金じゃありません」
「…………カナエ」
ヒロさんが、声を落として呼んだ。
「目のやり場に困るんだが」
「あ……それは、まぁ……」
ランジェリーショップの陳列に、ヒロさんは本気で困惑していた。
大袈裟ではない。
「アヤさんも刻限は19時と言ってましたし、このモール見て回ったら終わりそうですね」
「だったら、まずはゲームセンターだ」
サチさんが鼻息荒く言う。
「俺もそれがいいと思う」
いつの間にか、ヒロさんまでわくわくした顔をしている。
二人とも、男の子って感じだ。
しばらく、サチさんとヒロさんはメダルゲームに夢中になった。
メダルを入れて場にあるメダルを落とす単純なゲームだが、たまに落ちてくる綺麗な玉や決まった場所にメダルが落ちると大量のメダルが吐き出される。
いつの間にかサチさんはスロットの前で隣に座っているおじさんと仲良くなったようで
「これが確変か…!」
などと言いながら真剣になっていた。
カナエは一人、クレーンゲームを眺めていた。
「カナエ。すまない、真剣になってしまっていた」
「あ、いえ!実はこういう所、あまり来た事なくて…」
言いながら、目線は景品に向いていた。
手のひらに乗るような小さなマスコットが沢山入っている。
「これは?」
「ちょっと気になっちゃって……。あのぬいぐるみ、ちょっとサチさんに似てません?」
「ふっ……本当だな、こっちはアヤだな。…………よし、取ろう。どうすればいい?」
「いいですね!お土産にしましょう!」
二人で悪戦苦闘しながらサチさんとアヤさん似のぬいぐるみを取った。
***
サチが光る箱と遊んでいるうちに、いつのまにかカナエの姿が見えなくなっていた。
探しに行くかと思った、その時。ヒロが先に動き出した。
サチは少し離れた場所から2人を見た。
――なかなかどうして……いい雰囲気じゃねぇか。
……俺の出番は無さそうだな。
「おーいお前ら」
サチさんが小脇にメダルを山ほど抱えてやって来た。
「俺はもう少しあの光る箱で遊んでくる。
お前らも……まぁ適当にやっとけ」
「あ!おい、サチ!」
サチさんは後ろ手で手を振りながらさっさと行ってしまった。
「縁探しとやらはいいのか…?」
「サチさん、自由ですね」
「カナエはどうだ?何かしたい事はあるか?」
したい事…………。
「……ヒロさん、もしよかったら映画見ません?」




