表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/121

幸あれ


***


あのネコを探した。

気になったから、それだけだ。

痩せっぽちの子猫は昨日と同じ場所でうずくまっていた。

ここで餌がもらえたと知ったからだ。

でもここに身を隠す場所は無い。昨日みたいにカラスに狙われたらおしまいだ。

子猫の首を掴んで、周りが見えるように運んでやる。路地裏の奥、雑多にゴミや木箱が積んであるあたりで下ろして、餌をやる。

次の日、ネコは昨日の場所で丸まっていた。ここなら安全だ。でも飯はねぇ。

また首を掴んで、周りが見えるように歩く。

魚のあらや、食べ残しのゴミが溜まっているあたりで下ろしてやる。ネコはしばらく食べていて、腹が膨れると擦り寄ったが、撫でる事はしなかった。また首を掴んで寝床に戻した。

また次の日、ゴミ溜めで餌を漁るネコを見た。

「賢いじゃねぇか」

はじめて撫でてやった。

「俺達は行っちまうからな……一人で、ちゃんと達者にやれよ」


「サチさん」


カナエの声が聞こえた。

ヒロと二人、静かに寄ってきてネコを見た。

ネコは覚えていたのか、礼を言うようにカナエに擦り付く。


「はじめて会った時より元気そうだね。………お別れだね」


ネコは一声鳴くと、振り返らずに路地裏の奥へ消えていった。

「サチさん、お母さんネコみたいですね」

言ったカナエの目は潤んでいた。

独り言が聞かれちまったみてぇで居心地が悪いが……まぁいいか。

「俺は……サチが優しいと思う」

それだけ言ったヒロはずっとネコの方を見ていた。


あぁ、幸あれ………だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ