表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幹の終わりに灯るもの――帰れなくなった少女の異世界旅――  作者: 河居


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/121

ヒロという男

サチさんに連れられて食堂に来てみれば、アヤさんとあの人――ヒロさんというそうだ――がお茶をしていた。

何と言うか、これはとても――。

「異世界に迷い込んでます?」

「もう引きずり込まれてんだが……言いたい事は解る」


二人は午後の日差しが差し込む食堂でお茶をしている。それだけなのだが……。

茶器は居住まいを正し、背筋を伸ばしている様だし。雑巾はヒロさんの膝の上で撫でられ感激した様子でプルプル震えている。

アヤさんは現実味の薄い美しい人なのはいつもの事。

そしてヒロさん――。

背筋をのばしてティーカップの取手を指先でつまみ、唇にそっとあて口に含む。

一拍してカップをソーサーに戻すが小さな音一つ立たない……なんと言うか、洗練されているのだ。

マフィアのドンか、どこかの王様みたいな風格まである。


つい――とヒロさんの視線がこちらに向いた。

「君は……」

「カ、カナエといいます」

噛んじゃった。恥ずかしい!

「俺はサチだ。このお嬢ちゃんがお前の命の恩人だ。礼はしとくんだな」

サチさんは平常運転だ。

私の頭をポンポン叩きながら話すので、子供扱いされたみたいでますます恥ずかしい。

「君が……そうか。礼を言う、ありがとう」

ヒロさんがこちらに向き直り頭を下げる。

「あ!いえ!大した事では!それに、引っ張ってくれたのはサチさんですし……」

「落ち着けまったく。こういう礼は素直にとっとけ」

きっちりと下げられた頭に焦って顔の前で両手を振っていると、サチさんに頭をはたかれた。

ますます――ますます恥ずかしい。

顔に熱が集まってくる。


「……正直なんだな。感謝している」


……大人しかいない。

なんだか居た堪れなくなって、頬をかいて目を泳がせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ