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【歴史if小説】元寇は、壇ノ浦の戦いで滅んだ平家の残党の陰謀だった  作者: 松本 俊介


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五話「対馬・壱岐の露払い」


**第五話「対馬・壱岐の露払い」**


**第一章:血染めの佐須浦**


至元十一年(1274年)十月五日、未明。対馬西岸・佐須浦。


薄霧の立ち込める海の向こうから、波を切り裂く不気味な銅鑼(どら)と太鼓の音が響き渡った。霧が晴れるとともに姿を現したのは、海を覆い尽くす数百隻の巨大な異形の船団である。


対馬守護代・宗助国(そう すけくに)は、わずか八十騎の兵を率いて海岸に駆けつけた。


「異国の船……! 一歩も引くな、国の害を討ち払え!」


助国らの決死の矢が放たれる。しかし、元軍の先頭に立つ景明の導きにより、船団は弓矢の届かぬ絶妙な間合いを保ちながら海岸を包囲していった。


「てつはう、放て!」


景明の合図とともに、蒙古軍の陣から雷鳴のような重低音が轟いた。空を切り裂いて飛来した黒いてつはうが爆発し、炎と猛煙、そして鉄片が砂浜を吹き飛ばす。人馬の悲鳴と混乱の中、集団戦法を駆使する蒙古の歩兵集団が押し寄せた。


「な、なんという戦い方だ……!」


助国ら対馬の武士たちは奮戦するも、圧倒的物量と未知の兵器の前に一人、また一人と倒れていく。わずか数時間の戦闘で、対馬の防衛陣地は完全に沈黙した。


船上の景明は、血に染まる佐須浦の砂浜を冷ややかな目で見下ろしていた。


(許せとは言わぬ。だが、鎌倉の防衛線を破るための露払い……まずはこの対馬からだ)


**第二章:壱岐陥落と博多湾への針路**


対馬を瞬く間に制圧した元軍は、勢いを駆って十月十四日、壱岐島へと押し寄せた。


壱岐守護代・平景隆(たいらの かげたか)は城を打って出て激しく抵抗するが、景明が指し示した島の裏手の浅瀬から蒙古の別動隊が上陸。挟み撃ちにあった壱岐軍は潰走し、景隆は城内で自害を余儀なくされた。


史実では元軍の容赦ない略奪と殺戮が吹き荒れる場であるが、景明は総司令官・忽敦(クドゥン)に対し、冷徹な理屈を突きつけていた。


「ハーンの目的は九州の完全制圧。島民を無差別に殺せば、博多の御家人どもが死兵と化して抵抗が激しくなります。見せしめは最小限にとどめ、兵糧を集積する拠点となされ」


景明の助言により、元の将校たちも暴走を抑え、元軍は史実を遥かに超える迅速さと兵力の消耗のない状態で、対馬・壱岐の「拠点化」を完了させた。


十月十九日、夜。壱岐の港を出港した大艦隊の船上で、景明は暗闇の先に浮かぶ九州本土の影を見つめていた。


対馬・壱岐をわずか数日で呑み込んだ蒙古のてつはうと巨大船団。そして、景明が裏で手を回した肥後・肥前の旧平家系豪族たちの蠢き。


「祖父上、聞こえますか。いよいよ、清盛公がかつて夢を描いた博多の海へ参ります」


景明の手の中で、三種の神器を包む布が夜風に揺れた。神風の吹かぬ穏やかな秋の夜海を滑るように、大艦隊は博多湾へと侵攻を開始する。


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**次回(第六話)のご案内**


第六話「てつはうと防塁突破」

神風の吹かない博多湾。元軍の圧倒的な火砲と集団戦術に対し、鎌倉幕府の御家人たちが迎え撃つ。しかし、景明が仕掛けた「内部からの裏切り」によって元寇防塁は内側から崩壊し、福岡(博多)が落城する!



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