13話
《契約完了。【Eランク/フォレスト・オーク】は【Cランク/アイアン・オーク】へと進化します》
《 ステータスウィンドウ 》
【名 前】 ガーク・オルグ
【種 族】 アイアン・オーク
【ランク】 Cランク
【レベル】 Lv. 16
【H P】 110 → 210
【M P】 20 → 80
【攻撃力】 80 → 110
【防御力】 50 → 90
【魔 力】 80 →160
【所持魔法・魔技】
・『炉の守人』
:鍛冶炉にてCランクまでの素材を扱うことができるようになる魔技。
・『黒鉄の鍛冶師』
:Cランクまでの素材をもとに鍛冶を行うことができるようになる魔技。
◆
「よし、成功だ! 体の調子はどうだ? ガーク」
進化したガーク・オルグは、頑丈に引き締まった身体と自慢の鍛冶ハンマーを力強く握り締め、目を輝かせた。
『こりゃ凄い! アタシのなかに、どんどん力が湧き上がってくるよ! これなら、今までとは比べ物にならない一振りを打てそうだ! ありがとうよ、レーベン様!』
「それはこっちのセリフだよ。鍛冶師がいればみんなの作業の効率も飛躍的に上がる。頼りにしてるよ」
『そりゃ期待に応えたいのは山々だけどさ、材料がないとどうしようもないよ』
「そっちも問題ない。多分そろそろ――」
『レーベン様! 探してた場所を見つけたよ! すごいでしょ!』
祠の入口から、羽をパタパタと勢いよく羽ばたかせながら、パティーが元気一杯に飛び込んできた。
「あぁ、やっぱり頼りになるな、パティーは」
『ちょっとパティー、レーベン様の邪魔しないの。ごめんなさい、速く報告するんだって先走っちゃって』
後ろから追いついてきた姉のハーティーが、苦笑いを浮かべながら妹の首根っこを掴む。
「いいんだ。それに丁度、こっちも準備が整ったところだからね」
『このオークの子が言ってた鍛冶師の?』
「そうだ。そしてガーク、君の懸念はいま消えたよ。これから存分に腕を振るってもらうから、よろしく頼むよ」
『鉱石を見つけたってのかい?tでもどうやって……。』
目を丸くするガークに、ハーティーが胸を張った。
『レーベンの指示で、足跡をたどったのよ』
『足跡?』
「あぁ、火山竜の足跡だ。あの巨体の移動で地殻変動も起こってるはずだ。それで地面に露出した鉱脈を探してもらったんだ。いちから探すより効率が良いと思ってね」
◆
探索隊が発見した渓谷の洞窟前。
俺が到着すると、採掘作業の現場監督をしていたギド長老が深々と頭を下げた。
『おや、レーベン様。ようこそいらっしゃいました』
『主様。村の外に出る時は、必ず私を呼ぶようにと言ってあったはずだが』
どこからともなくすっと現れたのはルシオラだった。
探索隊に随伴させていたが、俺がルシオラを伴わずに外へ出たことに、少しだけ不満そうだ。
「ルシオラを村まで呼び戻したら二度手間だろ。それにハーティーとパティーがいたから問題ないよ」
『ふふん、そうよね』
『……次の進化では、翼を生やすべきか』
ハーティーが胸を張ると、ルシオラは少し悔しそうに自分の背中に目をやり、ぼそりと呟いた。
「それでギド、作業の方はどうなってる?」
『順調といって差し支えないですな。地底より 這い出てきた魔物共もおりましたが、ご覧の通りです』
ギド長老が持ち出した箱の中には、眩いほどの大きな魔石がいくつも収まっている。
魔石の大きさや純度が魔物の強さに直結するとなると、この魔石の持ち主も相当に手ごわかったはずだ。
「ご苦労様。それにしても大きな魔石だな。手ごわかったんじゃないか?」
『主様の命を邪魔する者なら、誰であろうと斬るまで』
『その通りです! ルシオラさんもすごく張り切っていて、自分から洞窟に入って――』
『無駄なことは言わなくていい』
ギドの補佐として行動していたセロに暴露され、ルシオラはすっと顔を背けて頬をかすかに赤く染めた。
「これなら、さらなる進化もできるかもしれないな」
『ほう、ではあの鍛冶師のオークの進化を?』
「いいや。彼女にはもう進化してもらったよ。これから頼りになると思う」
俺は真剣な眼差しで、長年一族を支えてきた老コボルトを見つめた。
「ギド、進化をする気はないか?」
◆
「悪いな、わざわざ村まで戻ってきてもらって」
『いいえ、レーベン様のご命令であれば何処へでも行きましょう。たとえ魔王の元であろうとも』
「そ、そこまで俺のお願いを重く受け止めなくても良いんだけどな。それも今回に限っては進化のことだ。慎重に考えて欲しい」
俺が気遣うと、ギド長老は感極まったように膝を折った。
『断るつもりなど毛頭ございません。ですがよろしいのですか? より戦力になる、あるいは才能のある魔物を進化すべきではないかと』
「なにを言ってるんだ。ギドこそ、今の村には欠かせない存在だよ。できればこれからも、村の為に力を貸して欲しいと思ってる」
『もったいないお言葉です。これから……そして最後まで、村の為に尽力させていただきます』
「よろしく頼むよ」
俺の手から溢れ出た深みのある黄金の魔力がギド長老を包み込む。
《契約完了。【Dランク/コバルト・エルダー】は【Bランク/コボルト・セージ】へと進化します》
《 ステータスウィンドウ 》
【名 前】 ギド・コーボル
【種 族】 コボルト・セージ
【ランク】 Bランク
【レベル】 Lv. 31
【H P】 50 →120
【M P】 70 → 360
【攻撃力】 20 → 60
【防御力】 80 → 100
【魔 力】 120 → 380
【所持魔法・魔技】
・『ドミナンス』
:自身よりレベルの低い、低階級の魔物を支配する魔法。
・『賢者の理』
:Bランク以下のアイテムを鑑定できる魔法。
・『歴史と血脈の証明』
:周囲に一族のコボルトがいる場合、そのコボルト達のステータスを上昇させる。
光が収まると、そこには立派な白い髭を蓄え、知性の光を瞳に宿した、荘厳な衣を纏うコボルトが立っていた。
『より一層、村の為に尽力いたします、レーベン様』
「その言葉と期待に応えられるよう、俺も努力するよ」




