第五話「空戦後には斜矢印」
五二型は滑走路に足をつける。F6Fも続いて着地する。
「いやぁ〜流石だねぇZERO〜、」
F6Fが五二型を褒める。だが、五二型は口を閉した。
「…あれ?どうしたの?」
「いや…なんでもないんだけど…さっきやったやつさ…左捻り込みは実戦で使えない技なのに模擬空戦で使っちゃったから…」
五二型の言葉にF6Fは返す。
「んぇ〜そんなこと?模擬空戦で使えるならモノにはできてるってことじゃない?実戦で使えてないだけなんだと思うけどなぁ。」
F6Fはそう五二型に言った。
「そ、そんなことって…うーん、そうは言われても実戦向きではないと思うし…ユニットに変な撓みができちゃうから…捻り込み方が悪いのかもだけどさ…」
五二型は暗い声色で呟いた。
「も〜〜細かいなぁZEROは!勝てて戻って来れればそれだけでいいでしょ?」
F6Fが若干呆れながら五二型に言った。
「まぁユニットは大事だけど…それでも、できるってことは大事よ。」
そう言いながら、ユニット室に一一型が姿を現した。
「実戦では使えないものでも極めれば絶対できるようになる…昔、私が九六さんからいやってほど教えられたことよ。だからそんなに卑下しないの。」
一一型は少しだけ微笑んで五二型に言う。
「ちょっとでもいいの。自信を持ちなさい、五二。」
そう言うと一一型はユニット室を去っていった。
呆気に取られて頷くことしかできなかった五二型にF6Fは微笑む。
「ね、言ったでしょ?」
「…そう…だね。うん…」
五二型は静かに頷いた。
二人はユニット室を出る。
そして部屋から出るや否や、何かに気がついたF6Fが五二型に喋りかける。
「あ、ねぇZERO!」
「え?急に何…?」
五二型がF6Fの指差した方向を見る。
するとそこには、翼に日の丸が描かれたユニットを背負った少女がいた。
「…さっきの模擬戦の海軍の子…」
少女が口を開く
「あ、あなたは…?」
五二型がそう言うと、少女は笑みを浮かべた。
「…初めまして。極東防衛総合学園、第64戦隊所属。一式戦闘機、隼よ。零戦さん?」
そう発言した少女は一式戦闘機“隼”だったのだ。
「あ、陸軍の隼さん…」
五二型がそう言うと、不意にF6Fが口を開く
「Oh、またZEROのsisterが増えたかと思っちゃった!」
その言葉に隼は額に手を当てる。
「む…は〜ぁ、また零戦と思われた…」
「ははは、sorry!一式戦ってことは…Oscarね!OK, OK!」
F6Fはそう笑い飛ばす。
「ま、それは慣れっこだしいいけどさ。…それよりあんた。零戦の…えーっと…五二型。」
隼は若干迷いながらも五二型を呼ぶ。
「さっきの模擬空戦、あの技は何?」
「…え?えっと、左捻り込みですけど…」
若干しどろもどろになりながら五二型は答える。
「…ふーん…なるほど。」
「な、なんですか…?」
顎に手を当てて考える隼の姿を見て五二型は思わず聞く。
「…いや、なんでもない。唐突に話しかけちゃって、悪かったわね…」
そう言って隼は去っていく。
「あっ、ちょっと!?」
「えぇ〜〜?何あの子…」
五二型とF6Fは困惑していた。
すると、そこに様子を見に来たのか二一型がやってきた。
「あれ?隼は?」
「隼さん?ならあっちに行ったんだけど…」
五二型の言葉を聞いて二一型は苦笑いした
「あっちゃー…行っちゃったかぁ…」
「え?二一姉さんは何か知ってるの?」
五二型は二一型に聞く。
「まぁねぇ…隼、多分五二型のこと心配してるんだよ。ほら、今日左捻り込みしたでしょ?それを見てたんだと思うけどね…まぁ、確証はないけどさ。」
二一型はそうやってぼやくように呟く。
「隼が悪いわけじゃないんだけど、日本の海軍と陸軍って仲悪かったらしいからね…未だにその垣根が残ってる…って感じ。尾を引いてしまっているのよね。」
その二一型の言葉に五二型は静かに頷いた。
「そっか…そうなんだ…」
「日本も?ウチも似てるは似てるんだよね〜…今ではあんまりないんだけどさ。」
話を聞いてF6Fがそう言う。
第二次大戦中での陸海軍の中の悪さは日本軍が有名だが、大体どこの国でも同じである。無論、アメリカやドイツなども仲が悪く度々内部で睨み合っていた。
「それで、これからどうする?いつまでも隼のこと言ってても埒が開かないし…」
二一型が二人にそう言った。
「あ、じゃあさ、前に案内できなかった分してくれない〜?」
F6Fが五二型を見て言う。
「んなっ…まぁ…元々F6Fの頼みとはいえ私が最初に案内やったんだしいいけど…」
五二型は少し眉を顰めて呟く。
「じゃあ案内するけどさ…どこ行くの?」
「ん〜〜…特にないや。」
F6Fの言葉に五二型はずっこけた。
「無いなら言わないでよ…」
「あっはは〜sorry!」
F6Fが笑って謝る。
「…で、結局どうするのよ…ご飯でも行くの?」
五二型が呆れて言葉を溢す。
それにF6Fは思い出したように言う。
「じゃあまたJapanese sweets食べたい!」
「…えーっと…ご飯じゃなくて?お菓子…?」
「YES!!」
困惑した五二型にF6Fは答える。
五二型はやれやれと額に手を当てる。
「もう…いいけど、あんまり食べすぎないでね…アンタ、このあと荷物の受け取りとかあるんでしょ…」
「Thanks!あとさ…」
F6Fは五二型に感謝を伝えると、そのまま言葉を続けようとする。
「え、なに…?まだ何かあるの?」
五二型は不思議がるようにF6Fの方へ振り向く
F6Fは五二型のその姿を見てから言い始める。
「さっきから私のこと“アンタ“とか“F6F “って呼んでるじゃん?そこだよ〜、別にもっとfriendlyに呼んでよ!私としてはヘルキャットでもいいし、なんならヘルでもいいよ!」
その言葉に五二型は若干言い淀むが、すぐに言い返す。
「…別に。私にはこの呼び方でいいし…まぁ…ヘル、よろしく…?」
5話を見てくださりありがとうございます。作者です。
とりあえず週1投稿はなんとか出来てます。誰かさんのおかげで余裕があります。
実はタイトルはダブルミーニングだったりします。考えてみてください。
今後ともよろしくお願いします。




