第十七話「周章狼狽」
静かな滑走路に一人、足を下ろす。
ゆっくりと、夜になりかけた空を背に着陸する。
ぐるっと滑走路上で回ると、司令塔へ身体を向ける。
「紫電二一型、帰還しました。」
紫電改が無線機に呟くと、すぐに返事が返ってくる。
『了解、作戦協力に感謝す。』
その言葉を聞いて、紫電改は無線機を耳から離す。
滑走路の端へ歩いて退くと、安心したように息を吐く。
そしてまた、ポツリと呟いた。
「…ふぅ…異常なしでよかった…」
紫電改は一息ついて滑走路から遠ざかり、ユニット室へ向かう。
いつの間にか用意されていた紫電改用のユニット保管庫にユニットを仕舞う。
ユニット室から出ると、不意に五二型と対面する。
「あっ。ごめんなさ…って、さっきのあの子!」
五二型が目を見開いて紫電改を指差す。
思わず紫電改は五二型へ会釈をする。
「ど、どうも…」
「…うん、よろしくね。」
五二型は少し戸惑いながらも呟く。
「あの…あなたの名前は?」
緊張しながら五二型が紫電改に聞く。
「はいっ、えっと…局地戦闘機“紫電二一型”、紫電改です。」
紫電改は背筋を伸ばして五二型に答える。
「おぉ、紫電改!」
五二型は紫電改の言葉を聞いて目を輝かせる。
そして、五二型は少し迷いながら口を開く。
「えーっと…紫電改ちゃん…でいい?」
そう五二型が呼ぶと、紫電改は照れたように頭を描く。
「は、はい…お好きに呼んでいただけると…」
紫電改はそう言ってから言葉を紡ぐ。
「こちらこそ、よろしくお願いします…零先輩…」
「…ぜ、零先輩…!?」
五二型はそう呼ばれて呆気に取られる。
「な、何かおかしかったですか…?」
「いやいや!そんなことない…そ、お…零先輩…かぁ…!えへへ…」
紫電改の焦った様子に、五二型が嬉しそうに微笑む。
そんな五二型の様子を見て紫電改は困惑して首を傾げた。
「えぇっとぉ…」
「ごめんごめん…なんか、珍しい呼び方されて、嬉しくて…」
五二型は紫電改にニコリと笑う。
そんな五二型の様子を見て、紫電改も笑う。
「そうですか…よかったぁ…」
そう二人とも笑っているとき、ふと声が聞こえた
「お〜仲良くしてるの〜?」
「っえぅ!?二一姉さん!?」
ニヤニヤしながら二人に二一型が近寄ってくる。
「いや〜、偶然通りかかったら話してたからさ。交流あったっけ?って思ってね。まぁ私も別になかったけどさ。改ちゃん、極防の中じゃ結構の新人だし…」
二一型が五二型の顔を覗き込むように顔を下げる。
「べ、別にいいでしょ…っ?」
五二型が思わず頬を膨らます。
「いや〜、零先輩、ねぇ〜?私も零戦なんだけどなぁ〜?」
二一型がニヤッと微笑みがら聞くように呟く。
紫電改は慌てて二一型に言う。
「いえ!あの…零先輩と言ったのはその…」
「いーのいーの!そこまで気にしないし気にしてないよ。安心して!」
焦って言葉が出なくなった紫電改に二一型は明るく笑い飛ばす。
「いやー…あはは、ちょっと意地悪しすぎたかな…」
二一型が少し苦笑いして謝る。
その言葉に、五二型は呆れて同意する。
「もー…びっくりしたよ…」
五二型が壁にもたれかかる。
そんな中、ひょこっと二二型が現れる。
「お〜五二、ここにいたの?空で先に行っちゃうから心配したよ〜?」
「あっ、二二姉さんごめん!つい夢中で…」
五二型は、思わず二二型に平謝りをする。
「別にいーって、無事だったしさ。前例があったから…」
二二型はすこし笑いながらそう言った。
その二二型の仕草を見て、五二型は顔を顰める
「うぅ…それに関しては本当にごめん…」
項垂れる五二型を見て、紫電改はキョトンと首を傾げる。
「えっと…何があったんですか?」
「あっはは、そっかぁ〜知らないんだっけ?」
二一型は笑って紫電改に言葉を返す。
「前五二はね、色々あって撃墜されかけたことがあるんだよね。そこで思わず私が庇っちゃってさ…今はユニット壊れちゃったから、療養ついでに指令とかの手伝いをしてるよ。」
二一型がそう説明すると、五二型は口を閉ざす。
「何もいえない…」
「でも、二一さんが庇ってくれたおかげでヘルキャットさんを助けれたんですから…」
紫電改がそういうと、五二型の顔が明るくなる。
「うん…ありがとうね紫電改ちゃん…」
「そんな、私が感謝されることじゃ…」
紫電改はと手を横に振りながら遠慮がちに否定する。
そんな二人の様子を見て、二一型は笑う。
「ふふっ、やっぱり仲良いじゃんか〜?」
「そうだねぇ…」
二二型は二一型につられて笑った。
そうすると、どこからか声が聞こえてくる。
「お、いたいた〜。おーいZEROー」
「あっ、ヘル!?何してるの…」
F6Fが姿を現すと、五二型が少しだけ焦って近寄る。
「ちゃんと医務室にいてって言ったじゃん!」
「え〜、無傷だーってさっきも言ったよ〜?」
「それでも!!」
五二型の心配をよそに、F6Fは呆れたように言い返す。
しかし、そんなF6Fの言葉を押し返すように五二型がさらに言い返す。
そこで、二一型が話に割って入る。
「まぁまぁ。五二が心配なのはわかるよ。けど、ちゃんと確認できたなら安心しても良いんじゃないかな、って私は思うけど…」
二一型の言葉を聞いて五二型は少しだけ目を伏せる。
「そうだね…うん。ごめんね、ヘル。」
少しだけ沈黙が続いたが、二一型がその空気を破る。
「ん〜、そうだ。改ちゃん、少し気になってたんだけど…私と模擬空戦、しない?もちろん、ユニットが直ってからだけど。」
「…えぇ!?姉さんと紫電改ちゃんが…」
二一型の発言に驚いた五二型は声を上げた。
二一型は五二型の方向へ向いて、ニヤッと笑った。
ドーモ、作者です。十七話を読んでくださりありがとうございます。
やることが何も思いつかなかったのでこうなりました。
見応えないなーって思ってます。またみてください。




