第十三話「灰色の雲が来てる」
大きな音が青い大空で鳴り響く。
飛び交う弾幕を隼が避ける。
「っく…!機銃弾が多い…!」
空の合間を抜けて、隼は12.7mm弾をナイトメアに撃ち込んでいく。
「なかなか墜ちない…っ!」
爆撃機の防弾がなかなか硬いのか、F6Fが12.7mm弾を撃ち込んで緩ませてから追い討ちをかけても撃墜できないのだ。
「やっぱり数か口径で攻めないと厳しい…!でもね…私にはこれがある!」
12.7mm機銃を撃ち続けていると一瞬でドカンとバラバラになる。
続いてまたもやナイトメアに機銃を撃つとまたもやドカンと撃墜する。
「やっと回ってきたわ…マ弾が!」
そう、隼の12.7mm機銃には日本陸軍がホ103機関砲の威力不足を補うために開発したマ弾が搭載されていた。
「すごい、いい…!20mmみたく墜ちていく…!」
「へぇ〜?Oscarは20mmも積んでたの?」
F6Fがすれ違いざまに言った。
「さぁ?帰還したら教えてあげる!」
隼が不敵な笑みを浮かべて言い返すと、ナイトメアに一気に詰め寄ってから機銃を撃ち込んでいく。
だが、一瞬だけ機銃弾がユニットを掠る。
「わっ…!?まず…っ」
その瞬間、目の前のナイトメアが爆散する。
「間に合った…!」
五二型がそう言って通り過ぎていく。
「遅れてすみません!」
「いーや、ナイスタイミングよ!」
五二型の言葉に隼が答える。
五二型はぐるりと回ると、狙いを定めて正確に20mm機銃を撃つ。
ドンと撃ち出された機銃弾はスパッと敵機の胴体を穿った。
その時、ドカンと一気にバラバラにって一瞬火が上がる。
「あっ…!…ふぅ、ちょっと熱かった…」
身体を捻って後ろへいつのまにか移動すると7.7mm機銃を叩き込む。
「やっぱり弱い…っ!」
やはり7.7mm機銃だけでは威力が全く足りなかったのだ。
五二型は7.7mmをそのままに20mmを撃ち始める。
するとあっという間にナイトメアを撃ち抜く。
「やっぱり火力が…でも20mmは弾数が少ないから出し惜しみが…」
五二型の眉間にグッと力が入る。
その五二型に言葉が聞こえてくる。
「じゃあ任せてくださいよ。背中はぜーったい守りますよ?」
雷電が微笑むと五二型のそばに飛んでくる。
五二型は雷電にニヤッと笑いかける。
「じゃあさ…任せても、いい?」
「えぇ…もちろんですよ、セーンパイ。」
雷電は空を蹴るように駆け出すと瞳にナイトメアを捉える。
ナイトメアとすれ違うと20mm機銃を撃ち出していく。
下に潜り込むように避けると一瞬で後ろに回り込む。
その瞬間に、五二型が真正面から7.7mm機銃を向ける。
ナイトメアが回避機動をし出したその時、雷電はナイトメアの進路の先へ置くように20mm機銃を叩き込んでいく。
バシュッと20mmがクリーンヒットしたナイトメアは黒煙を上げながらバランスを崩し、回転しながら墜ちていった。
「雷電ちゃんナイス!」
「そちらこそですよ、先輩!」
お互いを褒め称えるように声を掛け合う。
そんな中、無線機が鳴った。
「はい、こちら雷電。」
『極東防衛総合学園近辺にナイトメアが接近している!』
「っ!?なんで、爆撃隊は食い止めてるはずじゃ…」
雷電の声色が明らかに焦ってるような声に変わった。
すると、その疑問へ答えるように無線が切り替わった。
『こちら零戦二一!やられた、その爆撃隊は囮だった!本命は今向かってる隊…まさか防空圏を突破してるとは…っ』
その言葉で雷電と五二型は深く息を呑んだ。
「そんな…ここからじゃとても間に合わない…」
五二型がポツリとつぶやいた、その時だった。
またもや無線が切り替わったのだ。
『いや、大丈夫よ。』
「なっ…隼さん!?どうして大丈夫って言い切れるんですか!?」
雷電が思わずそう無線機に言い返す。
『気持ちはわかるけど、大丈夫。だってあっちには…“あの子たち”がいるからね。』
「…?あの子たち…?」
五二型は困惑を隠せないまま、言葉を返すのみだった。
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極東防衛総合学園上空。
そこには二つの影が見えていた。
少女たちは無線の通信を切った。
「こっち来たってさ…いける?疾風。」
「海軍の人たちの援護があるらしいから大丈夫でしょ、鍾馗さん。」
ユニットに描かれた日の丸がはためく。
彼女たちの名前は二式戦闘機“鍾馗”と四式戦闘機“疾風”だ。
2人はスッと機銃を構えた。
「ナイトメアでもなんでも来なさいよ…大東亜決戦機の実力見せてやる!」
そう言って疾風は意気込んだ。
「じゃ疾風、出番だよ。行こっか!」
鍾馗がそういうと、2人は緩降下でどんどんナイトメアの編隊へ接近していく。
疾風は一足先にとでも言うようにさらに加速していった。
チャキっと機銃口をナイトメアに向ける。
すると、一気にドカンと音を立てて弾が飛んでいく。
「20mmと12.7mmでめったうちにしてやるんだから!」
疾風はヒュンと編隊の間をすり抜けると身体を捻らせ、12.7mmを下腹からガウンと叩き込んでいく。
そんな疾風をみながらも鍾馗は確かに12.7mmを上から滑らすように降り注いでいく。
「さてさて、捌き切れるかな…」
鍾馗が若干不安そうにも聞こえる声色で呟く。
だがしかし、そんな不安を吹き飛ばすほどの風が吹いた。
「危ない危ない、なんとか戻って来れた…」
その言葉を発したのは、一一型であった。
「あなた、海軍の…」
疾風がそう言って目を少し細める。
「まぁそうだね。でも、無駄口叩いてる暇なんてないみたい…」
「いつの間にか囲まれてるとかごめんだからね!」
疾風が言い終わるとニヤッと笑ってから敵編隊に突っ込んでいく。
「えぇ…いくよ、零戦さん?」
鍾馗もそう言うとフラッと、風のように敵の方向へ隊形を変えていたのだ。
一一型はそんな2人を見てフフッと笑った。
十三話を見てくれてありがとうございます。どうも作者です。
まーたこいつキャラ扱えるか不安って言ってるのにキャラ増やしてら。
救えねぇ…まぁ今後ともよろしくお願いします。




