第十一話「台風の目」
数日後、極東防衛総合学園。
「怪我どーぉ?Are you okay?」
F6Fが五二型に聞いた。
五二型はその言葉に言い返した。
「あー…うん、大丈夫だよ。もう治ったしさ。」
五二型の腕からは包帯が取れていた。
五二型は腕を上に持ち上げて軽く背筋をグッと伸ばす。
「へぇ〜、よかったねぇZERO!」
F6Fはにっこりと笑う。
「お、いたいた〜。」
ふと、そんな声が聞こえてくる。
声の主はF4Fだった。
「その様子だと大丈夫そうだね〜、21もさっき見てきたけど全然平気そうだったよ。」
F4Fがクスリと笑って言った。
そして、F4Fは五二型をグルグルと見る。
五二型は困惑して言った。
「えっと…?」
「いやね〜、なーんか背格好が私と似てる子見かけたんだけどさぁ。なんか知ってる?一瞬ZERO達かなって思ったけど違ったからさ。」
F4Fは五二型に問いかけた。
「いや〜…知らないかなぁ…」
五二型がぽつりと言う。
「お姉ちゃんに似てるってことは…」
F6Fも頭を捻らせる。
ふとその瞬間、大きな音が鳴る。
何かが崩れ落ちたような大きさだった。
「な、なに!?」
五二型が慌てて音のした方向に走る。
だが音の方向に行っても建物の一部が崩れていたりなどはしていなかった。
「え〜…何…」
五二型が恐る恐る曲がり角を曲がる。近くには倉庫がある。
すると、倉庫の前に何かがある。
「あれ?…ダンボール?…さ、流石に危険物だったりしないよね…?」
五二型はそろりそろりと近づく。
すると扉の周りにもダンボールがあることに気がつく。
「いてて…まさか落ちちゃうとは…」
倉庫の方から少女の声が聞こえた。
「…あのー…」
五二型が遠慮がちに声をかける。
「はいぃ?」
きょとんとした声で振り向いた少女の服には日の丸があった。
「あ、日の丸ってことは…先輩ですか〜?」
少し安心したように少女はいう。
「え、まぁ…多分?私は零戦五二型だけど…」
「やっぱり先輩でしたかぁ〜…私は紫電。紫電一一型って呼ばれてます〜。局地戦なので空母には乗れませんけど、よろしくお願いします〜」
少女、紫電はにこりと微笑む。
「よ、よろしく…?」
五二型は紫電にスッと礼をする。
すると音を聞いたF6FとF4Fがスタスタとやってくる。
F6Fが口を開く。
「急に走ってどうしたのZERO〜」
「ん…あ、さっきの子!」
F4Fが紫電に指をさす。
「あえ?私ですか?」
「あ〜〜…確かに後ろから見るとお姉ちゃんと似てる気もするなぁ〜」
F6Fが目を細めながらそう言った。
「それにしてもなんでダンボールがこんなに…」
五二型が困惑したように呟く。
「いや〜…実はですねえ、ユニットの資料を一部を預けてたんですけども、それを取ろうとしたら周りのダンボールが崩れちゃいましてぇ…」
紫電が気まずそうに言った。
「あ〜こっちでもあるある。ここ本当に国防の要なの?って思うくらい雑に積み上げられたダンボール。私も含めてなんか全員雑だからね!It's okay!」
F6Fが誇らしそうにうんうんと頷く。
「ヘル、あんまり誇ることじゃないと思うんだけど…」
五二型が思わず呆れて頭を掻く。
そんな中、紫電が口を開いた。
「あのぅ…お手伝いしてもらえると助かるんですけど…お願いできますかね…」
紫電が申し訳なさそうに言う。
「OK!じゃあ手伝うね!」
F6Fがそう言うと五二型とF4Fも頷く。
すると、倉庫の前からコンコンと壁を叩く音が聞こえる。
「五二〜、いる〜?」
二二型がそう言いながら覗き込む。
「ユニット治ったから調子見てほしいんだってさ〜」
「えぇ…急だなぁ…でもちょっと片付けが…」
五二型が言い淀むとF6Fは五二型の方を見て言う。
「いいのいいの!行ってきちゃって〜」
その言葉を聞いて、紫電も続いて言った。
「はい、行ってきてください〜!」
五二型はフッと微笑むと振り返る。
「ありがとう。じゃあ行ってくるね!」
五二型は倉庫を後にする。
「さーて、じゃあささっと片付けちゃおっか!」
F4Fが明るく笑い飛ばす。
「じゃあZEROが戻るまでに終わらせちゃおーよ!」
F6FがF4Fの言葉に乗る。
紫電は2人の言葉に微笑んでいた。
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五二型は極防の飛行場にいた。
「…えぇーっと…模擬弾ヨシ、調子ヨシ。大丈夫そうかな…?」
しっかりと声に出して確認するとユニットを作動させる。
プロペラがゆっくりと、しかし確かに回り出す。
五二型が脚で地面を踏み込む。
すると、グイッと身体が宙に浮く。
「わっ…!?」
思わず声を上げる。
五二型に久しぶりの浮遊感が走った。
「えーっと…ここから高度4,000まで上昇して模擬弾撃って…で終わりね。」
思い出すように呟いた。
五二型がどんどんと上昇していく。
ふと、五二型が上を見上げる。
すると不思議な機影を捉えた。
「…あれ?何あれ…?機影…?…これが終わったら報告しておこうかな…」
だがこの時、五二型は気が付いていなかった。
あの機影こそが、のちに牙を向くことになるのだと。
なんかきちゃったよ11話。どうも作者です。
意外と創作意欲が途切れないってありがたいですね…
モテべとアドレナリンがドバドバあればなんとかなります。
また見てください、それでは。




