第十話「羽を休める」
窓の外でチリチリと鳥が鳴く。
あれから1日たった極東防空総合学園には穏やかな風が吹いていた。
そんな極防の食堂の中、五二型と二二型は椅子に座り込んでいた。
「いや〜…あんまり傷深くなくてよかったねぇ。」
二二型が五二型に話しかける。
「そうだけど、あんまり無茶しすぎるものダメだったなぁ…傷自体は大丈夫だったけど動き過ぎたんだよね…」
五二型はそう苦笑いしながら返答をする。
「Hey ZERO!…ってなにか話してるの〜?」
そんな2人にF6Fがちらっと覗いてくる。
二二型がF6Fへ簡単に説明する。
「ん、五二が無茶するよねーって話かな。」
「ちょっと二二姉さん…」
五二型が少し静止しようとするがF6Fは少し笑った。
「なるほど〜!確かに、ホントそうだよねぇ〜。ZEROって助けられすぎじゃな〜い?」
F6Fが五二型をそう茶化した。
五二型は思わず口を結ぶ。
「…うん…自覚はしてるんだけどねぇ…はぁ…」
五二型の声が気が落ちたように少しだけ小さくなる。
「あ…Ou…sorry ZERO…」
五二型の反応を見てF6Fが謝ってしょぼんとする。
「あっいいよ!気にしないで…」
五二型はF6Fを見て思わず慌てて慰める。
「はぁ…どうしようかな…」
五二型が静かに息を吐く。
すると、ガラガラと食堂のドアが開く。
フラッと二一型が食堂へ入ってくる。
「あ、二一姉さん。ユニットはどうだったの?」
五二型がくるっと二一型の方向へ体を向かせる。
「ん、五二。いや〜、私のは水に浸かっちゃったからねぇ。動力部がちょーっと修復に時間かかりそうだってさ…」
二一型はやれやれと言ったような感じで肩をすくめる。
その二一型の仕草を見て五二型はふと思う。
「そっか…あ、じゃあ私もユニットを…」
「あー待って待って。」
そう言って五二型が立ちあがろうとしたが、二一型はそれを止める。
「私、五二型のユニットも見てきたし、聞いてきたからさ。」
二一型はそう言ってからまた話し始める。
「五二のユニットは私みたいに全部壊れたわけじゃないから結構すぐに修理終わるってさ。なんでもペラと翼がちょっとだけ破損したらしいからね。」
そうやって五二型に説明する。
「そうなんだ…」
五二型は意外そうに頷いた。そして少しだけ笑みを浮かべた。
「まぁ、時間はかかるけどまた飛べるのは嬉しいかな。」
二一型が少し伸びをしてからそう言う。
五二型がコクンと頷く。
「そうだね…少しだけ羽休め、だね。」
「確かに、私たち空飛ぶしねぇ〜」
二二型が相槌を打った。
そんな中、また食堂のドアがガラガラと音を立てた。
「あ、どうも…」
やってきた雷電がスッと席に座る。
「怪我とか…大丈夫ですか?」
ふと雷電が五二型と二一型へ聞いた。
「ん、だいじょーぶ!私は打撲〜…と後は破片でちょっと切っちゃったくらいだったし、ユニット修理待ちだよ。」
二一型が雷電にそう微笑みかける。
五二型も二一型に続けて言っていく。
「私はユニットはすぐ直るらしいから。怪我もそこまで深くならなかったから。」
その2人の言葉を聞いて胸を撫で下ろす。
「…なら、よかったです。私はユニットにちょっとだけ掠っただけでした。」
その様子を見て、F6Fは口を開いた。
「ね〜Jack?なんか口調固くないー?」
「…え?」
雷電は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。
すると雷電は頭に手を当てる。
「い、いや…あの…緊張しちゃって…」
「…緊張?」
五二型がそう聞き返す。
「はい。私なんか緊張すると空回りというか…そっけなくなっちゃうんですよねぇ…いつもは話せるんですけど、先輩がたくさんいるとずっとこれで…」
雷電が申し訳なさそうに言う。
それを聞いてF6Fがニヤッとする。
「やっぱり?なんかね〜素じゃないな〜と思ってさ!」
「すごいねヘル…なんでわかったの?」
そのF6Fの言葉に五二型は感心する。
「ふっふーん、ただの勘だけどね!」
「ずーっと言ってますよね、それ…」
そう言ったF6Fの言葉にF4Uが反応する。
「あれ?コルセア!いつからいたの?」
「ついさっきです。Jackが入った直後ほどから。」
F4UはF6Fの質問にサラッと答えて椅子に座る。
静かに息を吐いてからメガネを直す。
「まぁ、ドアが開いていたので…」
そう言って扉を指差す。
「ふーん、なるほどね〜」
F6Fがコクコクと納得したように笑う。
「それでさ、Jackもなんかフランクにいこーよ!私たちみたいにさ!」
「えっと…フランク…?」
雷電が困惑したような表情を浮かべる。
「うーん…フランクかぁ…」
「というか、雷電ちゃんってクール系なのかなーって思ってたんだけどさぁ…」
ポツリと二二型がそう呟く。
その呟きを聞いて雷電は手を振る。
「そんな、クールなんて柄じゃないですよ…まぁでも、フランクに話せるようにはなろうと思う…かな。」
そう雷電が言うと、F6Fが机に身体を預けて前のめりになりながら言う。
「OK!いーじゃんいーじゃん!!」
そう言ってF6Fが笑みを浮かべる。
そして身体を伸ばすように立ち上がる。
「さーてZERO、ユニット直ったらまた空戦しようよ!今度は私が勝つしね!」
「…まぁ、いいよ。もう一回私が勝つもん…!」
五二型はF6Fの言葉にムッとして言い返す。
そんな光景を見て、二一型はクスッと笑う。
「やるなら私も呼んでよ〜?」
二一型の言葉に五二型は確かに頷いた。
そんな静かな空気が極防を満たしていた。
10話を見てくれてありがとうございます、作者です。
ついに二桁ですか…漢数字だとまだ一桁ですけど。
平和回って意外とむずいんすよね。また見てください。では。




