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そらむすめ  作者: エトゼット
 本編
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10/20

 第九話「翼持たぬ鳥」

五二型がゆっくりと地に足をつける。

だが、失血で正確に着陸は出来はしない。

「っぐ…あ!?」

五二型は滑走路の端で横たわる。

ユニットを背負う背中から倒れたおかげで着陸時の衝撃の軽い打撲で済んでいた。

「…はぁ……っ…」

五二型の視界には誰かが駆け寄ってきていたのがわかった。

だがしかし、五二型にその影の主が誰なのかを判別する気力もなかった。

「五二!大丈夫!?」

駆け寄ってきたのは隼だった。

着陸失敗した五二型の元に急いできたのだ。

目を瞑っていた五二型を見て隼は隣に座る。

「…ふぅ…生きてるけど気絶しちゃっただけね…」

そう言いながら立ち上がった隼は五二型を背負った。

「…どうしよ…」

そう呟いた隼の言葉は誰にも聞こえない。

しかし、言葉ではなくその姿だけは見られていた。

「…ZERO…さっき倒れて…だ、大丈夫だよね?」

F6Fが不安そうに呟く。

その姿を見ていたF4Uは冷静に言葉を返した。

「…おそらく、若干の失血って感じだと。命には何も問題ない…と信じたいところですけどね…大丈夫でしょう。」

その二人の表情からは拭いきれない不安が浮かび上がっていた。

無論、その場にいる他のだれもが同じ状況だったはずだ。

―――――――――――――――――――――――――

「…さてと、まぁ応急処置くらいは…」

隼はベッドに五二型を寝ころばせる。

ガーゼを傷口に当てて軽く包帯を巻いたらキツめにしめる。

「合ってるかどうかはわかんないけどね…」

そう呟き、すっと立ち上がると医務室を後にした。

「…う…?」

五二型が目を開けると、見覚えのない天井が目に入った。

身体を起こすと、五二型は医務室のベッドの上に寝転がっていた。

すると、五二型を一一型が覗きこんだ。

一一型が口を開く。

「おー…大丈夫?」

「え…あ…うん…」

五二型は目をゴシゴシと擦る。

するとガラガラと扉が開いた。

「五二、起きてるー?…って一一姉さん!?」

入ってきた二二型が一一型を見て驚く。

「ちょっ…二一姉さんを探してたんじゃ…」

二二型がそう困惑しながら言い出した。

その言葉を聞いて一一型は少しだけ微笑んでいった。

「あぁ…それなら、私はあんまり必要じゃなかったみたいだったからね。」

一一型がその言葉をいい終わった瞬間にまた扉が開いた。

「…はい…いやー…ご迷惑をかけちゃって…」

扉の先から二一型が気まずそうに海水で濡れた頭を掻く。

五二型は二一型を見た瞬間に呟く。

「…よかった…」

その瞬間に、医務室に駆け込んでくる二人がいた。

「ZERO〜!生きてたー!」

五二型にF6Fが抱きついてくる。

「ちょ待ってヘル…っ痛…もう…バカ…!」

「…あ、そ…sorry…」

五二型の言葉にハッとしてF6Fは離れる。

「も〜何してるの…」

F6Fの様子を見てF4Fは呆れるようにため息をついた。

そんな時にふと、閉じたはずの扉が開いた。

「あんまり怪我人に無茶させちゃいけないですよ?」

少し落ち着いたような、そんな声が聞こえた。

現れた声の主に一一型が話しかける。

「あ、二式大艇。」

「援護有難うございます、一一型さん。」

そう。声の主は空の戦艦こと二式飛行艇だったのだ。

「いやー助かったよ…来なかったら泳いで帰るか海の藻屑になるところだったし…」

二一型が申し訳なさそうに軽く頭を下げる。

「いやいや、無事でよかったです。」

二式大艇は軽く顔を横に振る。

「それはそうとして、あの高度から海上に叩きつけられたので無傷ではないですから。ちゃんとお休みしてくださいね。」

そう二式大艇が言うと二一型はバツの悪そうにしょぼくれる。

「わかってるよぉ〜…」

その声に思わずF4Fがくすりと笑う。

「21が言い包められてるの変な感じ〜」

「うるさいなぁ…」

二一型がムッとした表情で言い返す。

「まぁ二人とも軽傷みたいだしさ!生きてるならAll OKだよ!」

F6Fが笑顔でそう言った。

そんなF6Fの声に五二型は少しだけ口を緩めた。

「…ふふ…」

「あー!ZEROが笑った!」

F6Fがそう言うと五二型が口元を腕で覆い隠す。

「べ、別にいいでしょ…!」

そんな五二型を見てF6Fはニッコリと満足そうに笑う。

「まぁF6Fが言ったみたいに二人とも軽傷みたいだからまたすぐ飛べるよ!ね?」

二二型がそう切り出す。

その言葉に二式大艇は頷いてから口を開く。

「はい。傷もすぐ塞がるでしょう。…しかし、ユニットが治るまでは飛べませんが…」

二式大艇は少しだけ不安そうに言う。

だがその言葉に反応したのか、医務室に誰かが入ってくる。

「心配は無用ですよ。」

医務室に入ってきたF4Uがそう言う。

「ユニットは回収したそうですし、すでに修復も進められてるそうですよ。」

そう言ってF4Uはメガネを上げる。

二一型と五二型は安堵したように胸を撫で下ろす。

「なんかドッと疲れたなぁ…」

ふと二一型が近くの椅子に座りこむ。

そんな二一型を見て五二型は口を固く閉じる。

「…ご、ごめん…なさい…」

五二型の顔が少し曇る。

そう言われた二一型は慌てて席を立つ。

「もう、そこまで気にしなくていいのに…ほら、こうやって生きてるし!」

二一型がそう言うと五二型はまた気が抜けたように背を壁に預ける。

そんな医務室の外で、雷電は扉に寄りかかってヘタリと座り込む。

「…ふぅ…よかった…」

そう息を吐いた雷電は立ち上がり、その場を立ち去っていった。

9話を見てくれてありがとうございます、作者です。

なんだかんだ、次でもう二桁話に入るらしいです。早いですね〜

書いてる時は至極順調なんですけど…ペース落ちた時が怖いですねぇ。

また読んでください。

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