表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強の幼女ですが、怪異たちに過保護にされています  作者: ていふ嬢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/22

第二話 姫様、人間界へ行く

人間界。


 怪異たちにとって、そこは決して近づいてはいけない場所だった。


 なぜなら人間は、怪異を恐れる。


 姿を見れば叫び。


 存在を知れば逃げ。


 時には、怪異を消そうとする。


 ……少なくとも、怪異たちはそう思っていた。


「わあ……!」


 しかし。


 その場所を歩く一人の少女は、目を輝かせていた。


「すごい……! お店がいっぱいある!」


 白い髪を揺らしながら、ルナは街を歩く。


 人間の街。


 怪異の世界では見ることのできないものばかりだった。


「姫様、あまり遠くへ行かれてはいけません」


 背後から声がする。


 振り返ると、そこには黒い影。


 昨日の《千眼の執事》が、姿を隠してついてきていた。


「ついてきちゃだめって言ったよ?」


「申し訳ございません」


 即答だった。


「ですが、姫様がお一人で歩かれるなど……」


「大丈夫だよ」


 ルナは笑う。


「だって今日は遊びに来たんだから」


「……」


 執事は黙った。


 彼には分かっていた。


 ルナは強い。


 この世界に存在する何者よりも。


 たとえ世界を滅ぼす怪異が現れても、指一本動かさず消し去れる。


 でも。


 ルナ自身は、自分を特別だと思っていない。


 それが怪異たちには心配だった。



「迷子?」


 突然、声をかけられた。


 振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。


 年齢はルナより少し上。


 制服姿の普通の人間。


「お母さんは?」


「いないよ」


「えっ……」


「あ、でも大丈夫」


 ルナは笑った。


「私は迷子じゃないから」


 少女は不思議そうな顔をする。


「じゃあ、一人で来たの?」


「うん」


「危ないよ」


 その言葉に、ルナは少し首を傾げた。


「危ない?」


「知らない人についていったら危ないでしょ?」


「……」


 ルナは初めて聞いた言葉のように考える。


 危ない。


 その意味は知っている。


 でも。


 自分に向けられたことはなかった。


「ふふ」


 なぜか嬉しくなった。


「心配してくれるの?」


「そりゃするよ。小さい子が一人だったら」


 少女は当たり前のように答えた。


 その瞬間。


 遠くにいた怪異たちが震えた。


『姫様に触れた……!?』


『あの人間、何者だ……』


『もし姫様を傷つける意思があれば――』


「だめ」


 ルナが小さく呟く。


 怪異たちは一斉に止まった。


『……しかし』


「この子は優しい人だから」


 それだけで。


 怪異たちは従った。



「名前は?」


「ルナ」


「私はユイ。よろしくね」


「よろしく」


 ルナは初めて、人間の友達ができた。


 その笑顔を見て。


 怪異たちは思った。


 ああ。


 姫様はやっぱり、人間を嫌いにならなくてよかった。



 しかし。


 その日の夜。


 怪異たちの王が集まる会議で、一つの報告がされた。


「姫様に接触した人間がいます」


「危険か?」


「いいえ」


「ならば?」


 報告役の怪異は静かに答えた。


「……姫様が、初めて人間の名前を呼びました」


 その場にいた全ての怪異が沈黙する。


 それは、怪異たちにとって大事件だった。


「……守らねばならない」


「何から?」


 王級怪異は答えた。


「世界の全てからだ」



 そして翌日。


 ルナの学校には――


 人間には見えない怪異の護衛が、百体以上潜んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ