表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強の幼女ですが、怪異たちに過保護にされています  作者: ていふ嬢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/22

第十九話 姫様、お城を歩く

 怪異の世界にも朝は訪れる。


 黄金色の光が城を照らし、庭に咲く花々がゆっくりと開いていく。


「わあ……」


 ルナは大きな窓から外を眺めた。


「きれい……」


 人間界とは違う景色。


 空には魚のような生き物が泳ぎ、色鮮やかな鳥たちが歌っている。


「姫様、お目覚めでございますか」


 千眼の執事が部屋へ入ってくる。


「おはよう!」


 ルナが笑顔を向けると、執事も優しく頭を下げた。


「本日は、お城をご案内いたします」



 広い廊下を歩くルナ。


 壁にはたくさんの絵が飾られていた。


「これ……」


 立ち止まる。


 一枚の絵には、小さなルナが怪異たちと一緒に花畑で遊ぶ姿が描かれていた。


 別の絵には、大きな鬼の肩車をされて笑う姿。


 さらに別の絵には、泣いている怪異の子どもの頭を優しく撫でている姿があった。


「全部……私?」


「はい」


 執事は静かに答える。


「姫様は、誰に対しても分け隔てなく接してくださいました」



「だから、みんな私を守ろうとしてくれるの?」


「……ええ」


 執事は少しだけ寂しそうに微笑む。


「今度こそ、同じ後悔を繰り返さぬために」


 ルナはその言葉の意味を聞こうとした。


 しかし。


「姫様ー!」


 元気な声が廊下に響く。



 小さな狐耳の怪異が勢いよく飛びついてきた。


「おかえりなさい!」


「えっ、わわっ!」


 ルナは慌てて受け止める。


「あなたは?」


「コハク!」


 胸を張って名乗る。


「姫様の護衛見習い!」


 まだ子どもの怪異らしく、尻尾をぶんぶん振っている。


「昔、姫様に頭をなでてもらったんだ!」


 ルナは少し困ったように笑う。


「ごめんね……覚えてなくて」


「いいの!」


 コハクは笑顔で首を振った。


「また思い出してくれたら、それで十分!」



 その笑顔を見て、ルナも自然と笑顔になる。


「じゃあ、これからよろしくね」


「うん!」



 城のバルコニーへ出ると、街が一望できた。


 怪異たちが穏やかに暮らしている。


 市場では笑い声が響き、子どもたちは元気に走り回っていた。


「……平和なんだね」


 ルナが呟く。


「姫様が守ってくださった平和です」


 執事が答える。


「だから皆、この日常を失いたくないのです」



 その時だった。


 ゴォォォ……。


 空が低く唸る。


 紫色だった空に、黒い亀裂が走った。


「っ!」


 執事の表情が変わる。


 警鐘が城中に鳴り響く。


 ゴーン、ゴーン……!


「敵襲!」


「災厄だ!」


「結界を展開しろ!」


 怪異たちが一斉に武器を取る。



 黒い亀裂はゆっくりと広がっていく。


 その奥から現れたのは、巨大な黒い手。


 山ほどもある大きさの腕が、怪異の世界へと伸びてくる。


 その場にいた全員が息を呑んだ。


「こんなの……」


 ルナは言葉を失う。


 執事が静かに前へ出る。


「姫様」


「どうか、お下がりください」


 ルナは黒い手を見つめたまま、小さく首を横に振る。


「……ううん」


「みんなで守る」


 その瞳には、確かな決意が宿っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ