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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第67話】王都再び


 (きば)(もり)での激闘(げきとう)(せい)し、ウルフ(ぞく)豹族(ひょうぞく)(きずな)をさらに強固(きょうこ)なものとしたシオンの一行(いっこう)は、(つぎ)なる目的地(もくてきち)王都(おうと)()けて出発(しゅっぱつ)した。


 魔王城(まおうじょう)決戦(けっせん)から(はじ)まった旅路(たびじ)は、いまや途中(とちゅう)合流(ごうりゅう)した(もの)たちを()()み、壮大(そうだい)規模(きぼ)へと拡大(かくだい)していた。


 シオンの背後(はいご)には、女魔導士(おんなまどうし)リーナ、妖精族(ようせいぞく)のルミナリア、ウルフ(ぞく)のルナリス、フェンリルのセレナ、ダークエルフのシェリア、そして魔王軍(まおうぐん)から下僕(げぼく)となったサキュバスのルビリア、魔女(まじょ)のアルテミシア、魚人族(ぎょじんぞく)のリヴァイアという八人(はちにん)美女(びじょ)たちが(ひか)えている。


 さらに今回(こんかい)(きば)(もり)での(たたか)いを()て、豹族(ひょうぞく)族長(ぞくちょう)であるレオナが(くわ)わり、シオンを()()美女(びじょ)たちは総勢(そうぜい)九人(きゅうにん)となっていた。


 それだけではない。


 (きば)(もり)平和(へいわ)(まも)()き、シオンの圧倒的(あっとうてき)(つよ)さと慈悲深(じひぶか)さに心酔(しんすい)したウルフ(ぞく)豹族(ひょうぞく)(なか)から、()りすぐりの精鋭(せいえい)戦士(せんし)たちが「シオン(さま)直接(ちょくせつ)(まも)りする」と志願(しがん)し、一行(いっこう)後続(こうぞく)として同行(どうこう)することになったのだ。


 魔族(まぞく)妖精(ようせい)、エルフ、人間(にんげん)、そして獣人(じゅうじん)という種族(しゅぞく)(かべ)完全(かんぜん)超越(ちょうえつ)した大軍勢(だいぐんぜい)が、王都(おうと)目指(めざ)して街道(かいどう)(すす)姿(すがた)は、もはや(ひと)つの国家(こっか)行軍(こうぐん)にも(ひと)しい威容(いよう)(ほこ)っていた。


 数日(すうじつ)行程(こうてい)()て、シオンの一行(いっこう)がついに|この(くに)心臓部(しんぞうぶ)である王都(おうと)近郊(きんこう)へと()()かった(とき)(とお)くの(そら)がもうもうと()(のぼ)黒煙(こくえん)によって異様(いよう)(あか)みに()まっているのが()えた。


 (みみ)()ませば、鋼鉄(こうてつ)がぶつかり()(おと)や、魔物(まもの)たちの狂乱(きょうらん)咆哮(ほうこう)、そして人々(ひとびと)悲鳴(ひめい)()ざり()って(かぜ)()ってくる。


「……どうやら、()()ったようだな。王都(おうと)防衛線(ぼうえいせん)はすでに限界(げんかい)ギリギリのようだ」


 シオンが冷徹(れいてつ)(ひとみ)前方(ぜんぽう)凝視(ぎょうし)しながら(つぶや)くと、リーナやルナリスたちも武器(ぶき)()をかけ、戦闘態勢(せんとうたいせい)へと移行(いこう)する。


 一行(いっこう)(あし)(ゆる)めることなく、一気(いっき)王都(おうと)城壁(じょうへき)へと急行(きゅうこう)した。


 王都(おうと)門前(もんぜん)、そして大通(おおどお)りに(ひろ)がる戦場(せんじょう)は、すでに(すさ)まじい地獄絵図(じごくえず)()していた。


 王都(おうと)冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドから()けつけた歴戦(れきせん)冒険者(ぼうけんしゃ)たちと、王国(おうこく)(ほこ)直属(ちょくぞく)近衛騎士団(このえきしだん)一体(いったい)となって、無限(むげん)()()るかのような魔物(まもの)魔獣(まじゅう)()れを相手(あいて)死闘(しとう)()(ひろ)げている。


 しかし、()()せる魔物(まもの)(かず)はあまりにも(おお)く、前線(ぜんせん)(まも)騎士(きし)たちの防衛線(ぼうえいせん)はあちこちで(やぶ)られかけていた。


 手負(てお)いの魔獣(まじゅう)突撃(とつげき)()け、近衛騎士(このえきし)地面(じめん)(たお)()む。


 それを(すく)おうと冒険者(ぼうけんしゃ)()()すが、(つぎ)なる魔物(まもの)容赦(ようしゃ)なく(きば)()く。


 疲労(ひろう)(いろ)()(にじ)んだ騎士(きし)冒険者(ぼうけんしゃ)たちの表情(ひょうじょう)には、恐怖(きょうふ)絶望(ぜつぼう)(いろ)()かび(はじ)めていた。


「くそっ、(つぎ)から(つぎ)へと……! このままでは王城(おうじょう)(もん)突破(とっぱ)されてしまうぞ! 全員(ぜんいん)()(とど)まれ!」


 近衛騎士団(このえきしだん)副団長(ふくだんちょう)()まみれになりながら大声(おおごえ)()()げるが、その(こえ)にも疲労(ひろう)(いろ)(かく)せない。


 (だれ)もが絶望(ぜつぼう)(ふち)()たされたその瞬間(しゅんかん)戦場(せんじょう)空気(くうき)一瞬(いっしゅん)(こお)りつかせるほどの圧倒的(あっとうてき)紫黒色(しこくしょく)魔力光(まりょくこう)が、王城(おうじょう)(まえ)(ひらめ)いた。


「そこまでだ。これ以上(いじょう)王都(おうと)(たみ)(きず)つけることは(おれ)(ゆる)さない」


 (ひび)(わた)ったシオンの(しず)かな、しかし有無(うむ)()わせぬ威圧感(いあつかん)(はな)(こえ)が、戦場(せんじょう)喧騒(けんそう)完全(かんぜん)()(なが)した。


 疾風(しっぷう)(ごと)戦場(せんじょう)中央(ちゅうおう)(あらわ)れたシオンの背後(はいご)から、九人(きゅうにん)美女(びじょ)たちと、ウルフ(ぞく)豹族(ひょうぞく)精鋭(せいえい)戦士(せんし)たちが一斉(いっせい)展開(てんかい)する。


「シオン(さま)のご命令(めいれい)です! 王都(おうと)(おびや)かす(おろ)(もの)どもを一匹(いっぴき)(のこ)らず(たた)(つぶ)しなさい!」


 レオナが(たか)らかに号令(ごうれい)()げると同時(どうじ)に、戦闘(せんとう)火蓋(ひぶた)()って()とされた。


 先陣(せんじん)()ったのは、(あら)たに(くわ)わった豹族(ひょうぞく)とウルフ(ぞく)戦士(せんし)たちだった。


 (すぐ)れた動体視力(どうたいしりょく)俊敏(しゅんびん)()のこなしで魔物(まもの)たちの(ふところ)()()み、(するど)(つめ)一撃(いちげき)(おも)みで次々(つぎつぎ)魔物(まもの)たちの陣形(じんけい)()(くず)していく。


 その後方(こうほう)では、リーナの展開(てんかい)した広範囲(こうはんい)魔導陣(まどうじん)魔物(まもの)たちの(うご)きを(しば)()け、ルミナリアの魔術(まじゅつ)とルナリスの戦斧(せんぷ)疾風(しっぷう)(ごと)連撃(れんげき)(てき)首筋(くびすじ)()()っていく。


 セレナが(はな)神聖(しんせい)(ひかり)()(やみ)(はら)い、シェリアの影魔法(かげまほう)死角(しかく)から(せま)魔獣(まじゅう)確実(かくじつ)沈黙(ちんもく)させた。


 さらに、魔族(まぞく)であるルビリアの魅惑(みわく)(じゅつ)数体(すうたい)強力(きょうりょく)魔獣(まじゅう)同士討(どうしう)ちさせ、アルテミシアの(はな)った紅蓮(ぐれん)(ほのお)()れを()()くす。


 リヴァイアは水流(すいりゅう)(あやつ)り、(あば)れる魔獣(まじゅう)たちの足元(あしもと)瞬時(しゅんじ)凍結(とうけつ)させて(うご)きを(ふう)じた。


 そして、シオン自身(じしん)(はな)圧倒的(あっとうてき)な「(せい)捕食者(ほしょくしゃ)」としての支配(しはい)波動(はどう)戦場(せんじょう)全体(ぜんたい)(つつ)()む。


 シオンの姿(すがた)()ただけで、一部(いちぶ)強力(きょうりょく)魔獣(まじゅう)ですら恐怖(きょうふ)ではなく陶酔(とうすい)服従(ふくじゅう)(ひざ)()り、戦意(せんい)完全(かんぜん)喪失(そうしつ)していった。


 圧倒的(あっとうてき)実力差(じつりょくさ)と、完璧(かんぺき)すぎる連携(れんけい)(まえ)に、王都(おうと)蹂躙(じゅうりん)していた魔物(まもの)()れは、わずか数十分(すうじゅっぷん)でみるみるうちに(かず)()らし、ついに最後(さいご)一匹(いっぴき)となっていた巨大(きょだい)なオークの巨獣(きょじゅう)が、ルミナリアの一撃(いちげき)によって両断(りょうだん)され、地面(じめん)(くず)()ちた。


「やった……! 魔物(まもの)をすべて()()たしたぞ……!」


王都(おうと)が……(すく)われた……!」


 (たたか)いを()()びた近衛騎士(このえきし)たちや冒険者(ぼうけんしゃ)たちから、()れんばかりの歓喜(かんき)歓声(かんせい)安堵(あんど)(なみだ)()()こった。


 ()()まった王都(おうと)広場(ひろば)に、人々(ひとびと)笑顔(えがお)希望(きぼう)(もど)ったかのように(おも)われた。


 しかし、その歓喜(かんき)()ちた平穏(へいおん)は、あまりにも(みじか)かった。


「……()て、(そら)(いろ)がおかしいぞ……?」


 (だれ)かのその恐怖(きょうふ)()ちた(つぶや)きを合図(あいず)に、王都(おうと)(おお)(くも)(はげ)しい熱風(ねっぷう)によって一瞬(いっしゅん)()()ばされた。


 上空(じょうくう)()()から(あらわ)れたのは、太陽(たいよう)(ひかり)(さえぎ)るほどの巨大(きょだい)(つばさ)(ひろ)げた、紅蓮(ぐれん)(うろこ)()伝説(でんせつ)怪物(かいぶつ)......。


 巨大(きょだい)なファイヤードラゴンだった。


 その巨体(きょたい)(はな)圧倒的(あっとうてき)熱量(ねつりょう)殺気(さっき)が、(すく)われたばかりの王都(おうと)(ふたた)絶望(ぜつぼう)(そこ)へと()()とそうと、ゆっくりとその(つばさ)()ばたかせるのだった。






(だい)68()(つづ)






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