表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/68

【第61話】最後の四天王落ちる


 パキパキと(たか)(おと)()てて崩壊(ほうかい)していく漆黒(しっこく)(よろい)破片(はへん)が、冥府(めいふ)(たに)(つめ)たい地面(じめん)へと(ころ)がっていく。


 最強(さいきょう)(うた)われた執行者(しっこうしゃ)胸当(むねあ)ての奥深(おくぶか)くへと()()されたシオンの指先(ゆびさき)からは、禍々(まがまが)しくも甘美(かんび)紫黒色(しこくしょく)魔力(まりょく)オーラが絶間(たえま)なく流出(りゅうしゅつ)していた。


 それは「(せい)捕食者(ほしょくしゃ)」としての絶対的(ぜったいてき)支配(しはい)(ちから)であり、あらゆる防壁(ぼうへき)融解(ゆうかい)させる快楽(かいらく)奔流(ほんりゅう)だった。


「ひ、ぎぅあぁぁぁっ……!? (あつ)い、(たましい)(しん)が、()かれる……! ()が……()純粋(じゅんすい)なる()概念(がいねん)が、このような不浄(ふじょう)(せい)に、()(つぶ)されるなど……!」


 感情(かんじょう)(はい)していたはずの執行者(しっこうしゃ)ネクロスの(こえ)は、いまや(おさ)えきれない快楽(かいらく)衝撃(しょうげき)と、自身(じしん)根源(こんげん)()()えられる絶望(ぜつぼう)によって(はげ)しく(ふる)えていた。


 (よろい)完全(かんぜん)(はじ)()ぶと、その中から(あらわ)れたのは、蒼白(あおじろ)(たましい)(ほのお)形成(けいせい)された肉体(にくたい)()つ、(おどろ)くほど端正(たんせい)(せん)(ほそ)(うつく)しき武人(ぶじん)精神体(せいしんたい)だった。


 しかし、その清廉(せいれん)精神体(せいしんたい)も、シオンの指先(ゆびさき)から(つた)わる快楽(かいらく)(どろ)にまみれ、じわじわと(みだ)らな紫黒色(しこくしょく)へと()まりつつある。


「クフフ、心地(ここち)よいだろう? お(まえ)拠所(よりどころ)にしていた冷徹(れいてつ)()など、(おれ)(はな)圧倒的(あっとうてき)(せい)(まえ)ではただのうたた()()ぎん。ほら、もっとその(たましい)(ふる)わせて、(おれ)征服欲(せいふくよく)()たしてみせろ」


 シオンは冷酷(れいこく)微笑(ほほえ)みながら、()()した指先(ゆびさき)をさらに(ふか)く、精神核(せいしんかく)(おく)へと(ねじ)()んでいく。


 その瞬間(しゅんかん)、ネクロスの精神核(せいしんかく)へと「(せい)捕食者(ほしょくしゃ)」の絶対的(ぜったいてき)紋章(もんしょう)()()けられた。


 最強(さいきょう)武人(ぶじん)としての(ほこ)りは快楽(かいらく)暴力(ぼうりょく)によって瞬時(しゅんじ)粉砕(ふんさい)され、その蒼白(あおじろ)(ひとみ)(またた)()陶酔(とうすい)(ひかり)へと()()えられていく。


 かつて魔王城(まおうじょう)絶対的(ぜったいてき)門番(もんばん)として君臨(くんりん)していた執行者(しっこうしゃ)が、いまやシオンの足元(あしもと)(ちから)なく(くず)(おち)ち、(おのれ)精神体(せいしんたい)(つや)めかしくくねらせながら、その脚元(あしもと)(はい)いつくばって(ゆる)しを()う。


 その光景(こうけい)を、シオンの背後(はいご)(ひか)える八人(はちにん)美女(びじょ)たちが、それぞれの感情(かんじょう)宿(やど)した(ひとみ)()つめていた。


「さすが、シオンね。魔王軍(まおうぐん)最強(さいきょう)武人(ぶじん)すらも、あなたの(まえ)ではただの子供(こども)()ぎないわね」


 リーナが(ふか)敬愛(けいあい)()ちた視線(しせん)をシオンへと()ける。


 その(となり)では、妖精族(ようせいぞく)ルミナリアが、傲慢(ごうまん)()みを()かべてネクロスを見下(みお)ろしていた。


本当(ほんとう)ね。あれだけ大口(おおぐち)(たた)いておいて、シオン(さま)指先(ゆびさき)(ひと)つでこれほど無様(ぶざま)()ちるなんて。でも、これで本当(ほんとう)四天王(してんのう)全滅(ぜんめつ)。いよいよ魔王城(まおうじょう)喉元(のどもと)ね」


「ふん、当然(とうぜん)結果(けっか)よ。シオン(さま)(あい)素晴(すば)らしさを()れば、死人(しびと)だろうと(なに)だろうと(あらが)えるはずがないわ」


 ウルフ(ぞく)ルナリスが()(ほこ)ったように(むね)()る。


 その豊満(ほうまん)(むね)()れるのを横目(よこめ)に、サキュバスのルビリアが嫉妬(しっと)(あお)るようにシオンの(うで)へと(みずか)らの双丘(そうきゅう)()()けた。


「クフフ、(わたし)愛欲(あいよく)術式(じゅつしき)()いたのも、シオン(さま)から(そそ)がれた極上(ごくじょう)魔力(まりょく)のおかげですわ。ねえ、シオン(さま)? この(あと)、あの(あたら)しい下僕(げぼく)(まじ)えて、もっと(わたし)内側(うちがわ)から()たしてくださいませ……?」


 ルビリアの挑発的(ちょうはつてき)言葉(ことば)に、魔女(まじょ)アルテミシアが陶酔(とうすい)した表情(ひょうじょう)でシオンのもう片方(かたほう)()両手(りょうて)でそっと(にぎ)りしめる。


「ルビリア、シオン(さま)(わずら)わせるものではありません。アルテミシアはいつでも、あなた(さま)がその高貴(こうき)(かわ)きを(いや)すための(うつわ)として、お(そば)でお()ちしております」


「アルテミシアの()(とお)りです……。シオン(さま)、お(つか)れではございませんか? (わたし)神聖魔術(しんせいまじゅつ)で、あなた(さま)のお身体(からだ)極上(ごくじょう)快楽(かいらく)とともに(いや)して()()げます」


 人化(じんか)したフェンリルのセレナが銀色(ぎんいろ)(かみ)()らしながら(ある)()り、慈愛(じあい)()ちた、しかしどこか狂信的(きょうしんてき)(ひとみ)でシオンを(みつ)める。


 その背後(はいご)からは、エルフのシェリアが(うるお)んだ(ひとみ)をさらに(うる)ませ、シオンの(ふく)(すそ)(ひか)えめに(つか)みながらコクコクと(ふか)(うなず)いていた。


「シェリアも……シェリアもシオン(さま)のお(やく)()ちたいです……。どんな(よご)仕事(しごと)でも、あなた(さま)のためなら、この(いのち)のすべてを(よろこ)んで(ささ)げます……っ」


 そして、魚人族(ぎょじんぞく)のリヴァイアが、(つや)やかな身体(からだ)をシオンの背中(せなか)へとぴったりと()()い、その首筋(くびすじ)(あま)えるように(いき)()きかける。


「シオン(さま)……この冥府(めいふ)(たに)(おく)にある魔王城(まおうじょう)()くには、このネクロスの(ちから)必要(ひつよう)ですが......でも、一番(いちばん)にあなた(さま)(あい)されるのは、(わたし)ですよね……?」


 八人(はちにん)美女(びじょ)たちからの(くる)おしいほどの寵愛(ちょうあい)独占欲(どくせんよく)()けられながら、シオンは足元(あしもと)恍惚(こうこつ)(ふる)えるネクロスの背中(せなか)乱暴(らんぼう)()みつけた。


 ネクロスはそれすらも極上(ごくじょう)愛撫(あいぶ)であるかのように、背中(せなか)()らせて(あま)悲鳴(ひめい)()げる。


「クフフ、()()(ごえ)だ。ネクロス、お(まえ)のその『()』を()()大鎌(おおがま)権能(けんのう)、これからは魔王城(まおうじょう)結界(けっかい)概念(がいねん)ごと()(くだ)くための最高(さいこう)(きば)になってもらう。それまでは精々(せいぜい)(おれ)のためにその精神体(せいしんたい)(ふる)わせていろ」


「はっ……御心(みこころ)のままに、()絶対(ぜったい)主様(あるじさま)……!」


 ネクロスはシオンの(くつ)()めるようにして平伏(へいふく)した。


 これで魔王軍(まおうぐん)四天王(してんのう)完全(かんぜん)にシオンの下僕(げぼく)へと()()がり、彼の()くなき支配欲(しはいよく)()やしとなったのだ。


素晴(すば)らしいわ、シオン(さま)、これで世界(せかい)完全(かんぜん)にあなた(さま)のものになりますね」


 アルテミシアが歓喜(かんき)(ひとみ)(かがや)かせる。


 シオンは黒石(くろいし)(もん)見上(みあ)げ、その(おく)(ねむ)魔王(まおう)莫大(ばくだい)魔力(まりょく)と、それを(うば)()くした(あと)()(はい)(しん)絶対(ぜったい)支配(しはい)快感(かいかん)(おも)(えが)き、(のど)(おく)(ひく)(わら)った。


()くぞ、お(まえ)たち。魔王(まおう)という最後(さいご)玩具(おもちゃ)を、(おれ)たちの欲望(よくぼう)(うみ)へと(しず)めてやる」


「はっ!!」


 八人(はちにん)美女(びじょ)たち、そして完全(かんぜん)理性(りせい)(うば)われたフレアロード、泥状(どろじょう)から少年(しょうねん)姿(すがた)へと固定(こてい)されたファントムロード、そして(あら)たに下僕(げぼく)となった執行者(しっこうしゃ)ネクロスが、一斉(いっせい)歓喜(かんき)興奮(こうふん)(ふる)えながら平伏(へいふく)する。


 黒石(くろいし)(もん)が、シオンの(はな)圧倒的(あっとうてき)紫黒色(しこくしょく)覇気(はき)によって内側(うちがわ)から爆散(ばくさん)し、魔王城(まおうじょう)へと(つづ)最後(さいご)(みち)(ひら)かれた。


無敵(むてき)軍勢(ぐんぜい)()()れ、絶対(ぜったい)捕食者(ほしょくしゃ)シオンは、世界(せかい)頂点(ちょうてん)へと(ある)みを(すす)めるのだった。





(だい) 62()(つづ)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ