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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第60話】冥府の執行者ネクロス


 八人(はちにん)美女(びじょ)たちが、それぞれの武器(ぶき)魔導(まどう)(かま)え、殺気(さっき)(はな)っていた。


 直後(ちょくご)冥府(めいふ)(たに)空気(くうき)完全(かんぜん)(こお)りつく。


 先手(せんて)()ったのは、黒石(くろいし)門前(もんぜん)()冥界(めいかい)執行者(しっこうしゃ)だった。


 (かれ)(かつ)()げた巨大(きょだい)大鎌(おおがま)(しず)かに一閃(いっせん)する。


 その瞬間(しゅんかん)(おと)(ひかり)消失(しょうしつ)した。


 (はな)たれたのは、()れた生者(せいじゃ)(たましい)強制的(きょうせいてき)冥府(めいふ)(そこ)へと()きずり()む、絶対的(ぜったいてき)な「()」の概念(がいねん)攻撃(こうげき)


 (とお)()ける(かぜ)さえもが瞬時(しゅんじ)腐敗(ふはい)し、冷酷(れいこく)虚無(きょむ)(あらし)となってシオンたちへと(きば)()いた。


全員(ぜんいん)迎撃(げいげき)体制(たいせい)に! (やつ)の『()結界(けっかい)』に()侵食(しんしょく)されないように()をつけて!」


 リーナの(するど)号令(ごうれい)(ひび)く。


 魔王軍(まおうぐん)最強(さいきょう)武人(ぶじん)(はな)圧倒的(あっとうてき)圧迫感(あっぱくかん)は、周囲(しゅうい)大地(だいち)生命力(せいめいりょく)(くろ)腐食(ふしょく)させていく。


 だが、シオンにつき(したが)従者(じゅうしゃ)たちがその程度(ていど)(ひる)むはずもなかった。


「シオン(さま)(みち)(さえぎ)不浄(ふじょう)(やいば)など、この(わたし)(たた)()ってみせる!」


 巨大(きょだい)戦斧(せんぷ)(かま)えたガルガロスが門前(もんぜん)大地(だいち)()り、()(さき)突撃(とつげき)した。


 シオンに()()げられた極大(ごくだい)魔力(まりょく)宿(やど)し、(せま)()()波動(はどう)へと()(こう)から戦斧(せんぷ)(たた)きつける。


 (くろ)火花(ひばな)爆発的(ばくはつてき)()り、空間(くうかん)()()くような衝撃音(しょうげきおん)(ひび)いた。


()わせるわよ、ルミナリア! (せい)なる(ひかり)よ、()(けが)れを完全(かんぜん)拒絶(きょぜつ)しなさい!」


 人化(じんか)したセレナの両手(りょうて)から純白(じゅんぱく)神聖(しんせい)結界(けっかい)展開(てんかい)され、妖精族(ようせいぞく)のルミナリアが(みずか)らの魔力(まりょく)をそこへ(そそ)()む。


「シオン(さま)への(のろ)いは、この(わたし)たちが身代(みが)わりとなってでも(すべ)()()ります!」


 二人(ふたり)(いの)りが(かさ)なり、シオンたちの前面(ぜんめん)絶対的(ぜったいてき)(ひかり)(たて)形成(けいせい)され、執行者(しっこうしゃ)ネクロスの()残滓(ざんし)(はげ)しく相殺(そうさい)して霧散(むさん)させた。


(まも)ってばかりじゃ退屈(たいくつ)でしょ? (はち)()にしてあげるわ!ルナリス(わたし)詠唱(えいしょう)()わるまで援護(えんご)して!」


()かったわ」


 ルナリスが(たて)となり、リーナが愛用(あいよう)魔道書(まどうしょ)(ひら)いて詠唱(えいしょう)(はじ)める。


 (つぎ)瞬間(しゅんかん)極大(ごくだい)魔力弾(まりょくだん)空間(くうかん)爆破(ばくは)しながら(せま)り、さらに黒耀(こくよう)魔女(まじょ)アルテミシアが陶酔(とうすい)した表情(ひょうじょう)漆黒(しっこく)一閃(いっせん)追撃(ついげき)として(はな)った。


「シオン(さま)御前(ごぜん)です! 無様(ぶざま)(くだ)()りなさい!」


 しかし、最強(さいきょう)執行者(しっこうしゃ)ネクロスは大鎌(おおがま)をただ一振(ひとふ)り、(なな)上方(じょうほう)へと(はら)っただけで、それらの猛攻(もうこう)文字通(もじどお)概念(がいねん)ごと()()いて()へと()してしまった。


()(まえ)では、あらゆる魔導(まどう)奇跡(きせき)も、(ひと)しく()へと()運命(うんめい)にある」


 ネクロスの(よろい)隙間(すきま)から、蒼白(そうはく)(たましい)(ほのお)(はげ)しく()らめく。


 その圧倒的(あっとうてき)()(まえ)に、戦場(せんじょう)一瞬(いっしゅん)静寂(せいじゃく)(おとず)れた。


「なら、これはどうかしら!? 四天王(してんのう)最強(さいきょう)貴方(あなた)(わたし)快楽(かいらく)(つう)じるか(ため)してみましょう!」


 サキュバスのルビリアが妖艶(ようえん)()みを()かべ、強烈(きょうれつ)愛欲(あいよく)魔力(まりょく)()()らした。


 シオンの濃密(のうみつ)魔力(まりょく)(せい)捕食者(ほしょくしゃ)によって強化(きょうか)された呪術(じゅじゅつ)は、精神(せいしん)()たないはずのネクロスの漆黒(しっこく)(よろい)をじわじわと紫黒色(しこくしょく)()めていく。


「な……たかが、サキュバスごときの魔力(まりょく)()(たましい)防壁(ぼうへき)が、内側(うちがわ)から(ねつ)(おか)されるだと……!?」


 冷徹(れいてつ)だったネクロスの(こえ)に、(はじ)めて明確(めいかく)動揺(どうよう)(はし)る。


(いま)よ、リヴァイア、ファントムロード、フレアロード! (やつ)(うご)きを()めなさい!」


 リーナの命令(めいれい)(くだ)る。


御心(みこころ)のままに、リーナ(さま)!」


 魚人族(ぎょじんぞく)女王(じょおう)リヴァイアが深海(しんかい)水魔力(みずまりょく)でネクロスの足元(あしもと)氷結(ひょうけつ)させて拘束(こうそく)し、いまや少年(しょうねん)姿(すがた)へと(かえら)えられたファントムロードが幻影(げんえい)(やみ)五感(ごかん)(うば)()る。


 さらに、理性(りせい)剥奪(はくだつ)されシオンの下僕(しもべ)()したフレアロードが、極大(ごくだい)地獄(じごく)火炎(かえん)()びせた。


 (すさ)まじい大爆発(だいばくはつ)()()こり、ネクロスの(よろい)(あか)融解(ゆうかい)して蒸気(じょうき)()げた。


 だが、(やつ)大鎌(おおがま)大地(だいち)()()て、執念深(しゅうねんぶか)(たましい)(ほのお)()()がらせる。


()が『冥府(めいふ)(かま)』が健在(けんざい)である(かぎ)り、魔王様(まおうさま)(もん)絶対(ぜったい)(くぐ)らせぬ!」


 ネクロスが自身(じしん)(たましい)そのものを大鎌(おおがま)へと集束(しゅうそく)させ、周囲(しゅうい)空間(くうかん)ごと消滅(しょうめつ)させるほどの()のエネルギーを凝縮(ぎょうしゅく)していく。


「クフフ、(じつ)見事(みごと)執念(しゅうねん)だ。だが、お(まえ)()う『()』など、(おれ)欲望(よくぼう)(まえ)にはただの空腹感(くうふくかん)()ぎん」


 シオンは仲間(なかま)たちの攻撃(こうげき)()(せい)し、ゆっくりと()(すす)めてネクロスの()(まえ)へと(せま)った。


 シオンの肉体(にくたい)から()(のぼ)ったのは、()概念(がいねん)すらも力任(ちからまか)せに上書(うわが)きし、(むさぼ)()くす「(せい)捕食者(ほしょくしゃ)」の(しん)(ちから)紫黒色(しこくしょく)魔力(まりょく)オーラだった。


「お(まえ)()(つかさど)るなら、(おれ)はその(ことわり)ごと、(おれ)(せい)(かて)にしてやろう」


 シオンが不敵(ふてき)微笑(ほほえ)み、右手(みぎて)()()す。


 ネクロスが絶叫(ぜっきょう)とともに(はな)った絶対(ぜったい)()一撃(いちげき)は、シオンのオーラに正面(しょうめん)から()()められ、あろうことか美味(びみ)なる快楽(かいらく)のエネルギーへと強制(きょうせい)変換(へんかん)されてその肉体(にくたい)へと吸収(きゅうしゅう)されていった。


「ば、バカな……!? ()()概念(がいねん)を、()らって(せい)しただと……!?」


 ネクロスの(こえ)(そこ)しれぬ恐怖(きょうふ)絶望(ぜつぼう)()ざり()う。


「さあ、その頑丈(がんじょう)(よろい)中身(なかみ)()せてもらおうか」


 シオンは一瞬(いっしゅん)(ふところ)へと()()むと、抵抗(ていこう)する()(あた)えず、その胸当(むなあ)ての奥深(おくぶか)くへと捕食者(ほしょくしゃ)指先(ゆびさき)容赦(ようしゃ)なく()()した。


「あああぁぁああっ!? ()(たましい)が、()かされる……!?」


 最強(さいきょう)執行者(しっこうしゃ)であるはずのネクロスの(たましい)が、絶対的(ぜったいてき)支配(しはい)によって(はげ)しく歓喜(かんき)絶望(ぜつぼう)(ふる)(はじ)める。


 その漆黒(しっこく)(よろい)が、内側(うちがわ)から(あふ)()圧倒的(あっとうてき)快楽(かいらく)(ねつ)()えかねて、パキパキと(おと)()てて崩壊(ほうかい)(はじ)めた。




(だい)61()(つづ)





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