崩壊を始めた『爆炎の魔宮』の玉座の間は、かつての荘厳な熱気とは異なる、どす黒く妖艶な魔力の波動に支配されていた。
魔王軍四天王の一角、火炎公爵フレアロードは、自身の放った最大火力の炎をシオンに片手で圧縮された光景を前に、完全に戦意を喪失していた。
その巨躯は恐怖によって激しく震え、流動する溶岩の鎧は、シオンの放つ漆黒の支配の光に触れた瞬間から、ボロボロと剥がれ落ちていく。
「な、何だ、この魔力は……。我が炎が、内側から冷たく塗りつぶされていく……っ!」
フレアロードは頭を抱え、地面に膝を突いた。彼の体内に流れる純粋な火炎の魔力へ、シオンの「性の捕食者」としての能力が、愛欲の毒となって急速に侵入していた。
それは肉体を破壊する痛撃ではなく、魂の根源、魔力の核を直接、ドロドロの快楽と絶対支配の鎖で縛り上げる、抗い難い精神の侵食だった。
「四天王ともあろう者が、その程度の毒で声を上げるか。お前のその強固な自尊心と誇り高き血が、俺の闇に染まっていく様は、実に見応えがあるな」
シオンは冷酷な笑みを浮かべ、フレアロードの前にゆっくりと腰を下ろした。
その背後には、深層刻印の輝きをさらに増した七人の美女たちが、冷徹な、そしてどこか興奮を孕んだ瞳で、四天王が堕ちていく様を見つめている。
「シオン様、この哀れな炎のデクノボーを、どのように料理いたしますか?」
ダークエルフのシェリアが、首筋の刻印を妖しく明滅させながら歩み出た。
彼女の持つ双剣が、フレアロードの首筋を冷たく撫でる。
「かつては魔王軍で大きな面をしていた四天王が、今やシオン様の足元で犬のように震えている。ふふ、愉快ですね。私と同じように、その身も心も、徹底的にシオン様の色に染め上げてしまいましょう」
「待て、シェリア。こいつの調教には、ルビリアの力を使うのが一番効果的だろう」
シオンが視線で促すと、太ももの内側に刻印を持つサキュバスのルビリアが、艶然とした笑みを浮かべて前に出た。
彼女の背中にある淫魔の翼が、嬉々として小刻みに震えている。
「お任せください、シオン様。いくら強靭な肉体と精神を持った四天王といえど、あなた様の絶対支配の魔力が混ざった私の魅了からは、絶対に逃れられませんわ」
ルビリアはフレアロードの前に膝を突くと、その大きな顔を両手で優しく包み込んだ。
彼女の指先から、シオンの魔力と同調した紫黒色の「愛欲の毒」が、フレアロードの脳髄へと直接注ぎ込まれる。
「さあ、偉大なる火炎公爵様。その熱い炎を、シオン様のためだけの、甘い快楽の火種に変えてしまいなさい。あなたを縛る魔王への忠誠など、この極上の悦びの前には何の意味も持たないのですから」
「う、あぁぁぁぁッ……!!」
フレアロードの口から、凄まじい絶叫が上がった。だが、それは苦痛の叫びではなかった。
彼の瞳は次第に焦点を失い、どろりとした欲情の色に染まっていく。
全身の溶岩の鎧は完全に消滅し、露出した褐色の肌には、シオンの支配を示す紫黒色の紋様が、まるで生き物のように急速に這い回り、焼き付けられていった。
火炎公爵としてのプライド、数千年にわたり築き上げてきた魔族としての誇りが、シオンの邪悪な魔力によって、内側から徹底的に破壊され、都合の良い奴隷の精神へと書き換えられていく。
「あ、は……シオン、様……。我が、絶対の、主……。私は、あなたの、犬……」
フレアロードは、涎を流しながら地面に額を擦り付けた。
かつて一国を恐怖に陥れた四天王の面影はそこにはなく、ただシオンの足元で許しと快楽を乞う、哀れな調教済みの獣が横たわっていた。
「フハハハハ! 見事な堕ちっぷりだな、フレアロード! お前のその炎の魔力、これからは俺の要塞の動力源として、そして我が軍勢の駒として、死ぬまで使い潰してやる」
シオンの狂気的な高笑いが、半壊した魔宮に響き渡る。
完全にフレアロードを屈服させたシオンのもとへ、後方で戦況を管理していたリーナが歩み寄った。
「シオン、火炎公爵フレアロードの完全な制圧により、この『焦熱の火山地帯』の全ての資源、および残存する魔兵一万以上が、我が軍の支配下に入りました。要塞へのエネルギー供給路も確立され、出力は従来の五百パーセントを超えたわ」
「上出来だ、リーナ。お前たちの刻印も、この火山地帯の魔力を吸い上げて、さらに馴染んできたようだな」
シオンが振り返ると、アルテミシアやルミナリアたちが、その豊満な肉体を微かに震わせながら、シオンに熱い視線を送っていた。
「シオン様……。この地を満たす熱気が、全てあなた様との交わりの余韻のように感じられて……身体の奥が、ずっと熱くて、堪らないのです……」
アルテミシアが、潤んだ瞳で自身の胸元を掻きむしるようにしながら、シオンにおねだりの視線を向ける。
「ふふ、アルテミシアったら、もう我慢できないの? 私だって、シオン様の魔力で、もっとめちゃくちゃにされたいんだから」
ルミナリアもまた、妖艶な笑みを浮かべてシオンの腕に絡みついた。
「クフフ、良いだろう。この魔宮を完全に掌握した記念だ。お前たち全員に、再び俺の『愛』を深く刻み込んでやる。フレアロード、お前は城門の前で、番犬として周囲を警戒していろ」
「仰せのままに……我が神、シオン様……」
完全に理性を失ったフレアロードは、玉座の間を出ていき、城門の前で忠実な犬として跪いた。
そして、爆炎の魔宮の奥深くで、再び淫靡で濃厚な儀式が始まる。
シオンは衣服を脱ぎ捨て、七人の美女たちの肉体を、次々と貪るように貫いていった。
火山地帯の濃厚な魔力を吸収した彼女たちの胎内は、以前よりも遥かに敏感になっており、シオンの荒々しい突き上げを受けるたびに、魔宮が揺れるほどの膨大な魔力の火花を撒き散らした。
「あぁっ! シオン様、凄い、前よりも激しくて、頭がどうにかなっちゃいそうですっ!」
ルミナリアが四つん這いになり、シオンの激しい腰使いに合わせ、絶頂の悲鳴を上げる。
続いて、サキュバスのルビリア、ダークエルフのシェリア、そしてアルテミシアが、シオンの圧倒的な征服欲の毒に犯され、玉座の上で幾度も果て、快楽の波に溺れていく。
交わりが終わり、全員がシオンの魔力の余韻に浸りながら床に横たわる中、リーナが魔導端末を操作し、次なる標的のホログラムを投影した。
「火山地帯の掌握により、次なる四天王、海王リヴァイアの統治する『深海の大結界』への進軍ルートが確保されました。奴らは我々の火山地帯攻略を察知し、すでに結界の防衛を最大に高めているようだわ」
投影された青く輝く広大な海原の地図を見つめ、シオンは漆黒の外套を羽織り、不敵に笑った。
「クフフ、海の化け物どもか。俺の毒が、広大な海をどれほど黒く染め上げられるか、今から楽しみだな。行くぞ、お前たち。魔王の首を獲る前に、まずは四天王を全て、俺の奴隷にしてやる」
「仰せのままに……我が絶対の主よ」
七人の美女たちの、狂信に満ちた声が魔宮に響き渡る。
第53話へ続く