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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第50話】焦熱の進撃


 『黒鉄(くろがね)要塞(ようさい)』を出撃(しゅつげき)したシオンと七人(ななにん)美女(びじょ)たちは、北方(ほっぽう)(ひろ)がる『焦熱(しょうねつ)火山地帯(かざんちたい)境界(きょうかい)へと(あし)()()れていた。


 大地(だいち)はひび()れ、その()()からはドロリとした溶岩(ようがん)(かわ)のように(なが)()している。


 大気(たいき)熱波(ねっぱ)によって(はげ)しく(ゆが)み、()()むだけで(はい)()()げるような硫黄(いおう)臭気(しゅうき)()()めていた。


 常人(じょうじん)であれば一歩(いっぽ)(すす)むことすら躊躇(ためら)過酷(かこく)環境(かんきょう)だが、シオンに(したが)美女(びじょ)たちの足取(あしど)りに(みだ)れはない。


 シオンから(さず)かった『刻印(こくいん)』が(ふたた)()かび()がり、彼女(かのじょ)たちの肉体(にくたい)魔王軍(まおうぐん)四天王(してんのう)匹敵(ひってき)する、あるいはそれをも凌駕(りょうが)する次元(じげん)へと()()げていた。


 アルテミシアの背中(せなか)、ルミナリアの下腹部(かふくぶ)、リーナの(ひたい)、ルナリスの両腕(りょううで)、セレナの胸元(むねもと)、シェリアの首筋(くびすじ)、ルビリアの(ふと)ももの内側(うちがわ)


 それぞれに(きざ)まれた紫黒色(しこくしょく)紋様(もんよう)は、この過酷(かこく)火山地帯(かざんちたい)熱気(ねっき)極上(ごくじょう)快楽(かいらく)へと変換(へんかん)し、彼女(かのじょ)たちの魔力(まりょく)をさらに(たか)ぶらせる触媒(しょくばい)となっていた。


 昨夜(さくや)儀式(ぎしき)でシオンの濃厚(のうこう)遺伝子(いでんし)魔力(まりょく)直接(ちょくせつ)胎内(たいない)へと(そそ)()まれた彼女(かのじょ)たちは、肉体(にくたい)(しん)から()()がる全能感(ぜんのうかん)()いしれ、その()(はげ)しく(うず)かせていた。


「クフフ、お(まえ)たちの(あたら)しい(ちから)試す(ためす)には、これ以上(いじょう)ない舞台(ぶたい)だ」


 シオンは漆黒(しっこく)外套(がいとう)をなびかせ、不敵(ふてき)(わら)う。


 その視線(しせん)(さき)赤黒(あかぐろ)(けむり)()()める大地(だいち)()こうから、無数(むすう)地響(じひび)きと(とも)巨大(きょだい)軍勢(ぐんぜい)姿(すがた)(あらわ)した。


 火炎公爵(かえんこうしゃく)フレアロードの直属部隊(ちょくぞくぶたい)、その(かず)およそ五千(ごせん)


 全身(ぜんしん)()(さか)(ほのお)(よろい)(つつ)んだ魔兵(まへい)たちが隊列(たいれつ)()み、その中央(ちゅうおう)には、一際(ひときわ)巨大(きょだい)(ほのお)魔獣(まじゅう)『インフェルノハウンド』に(またが)猛将(もうしょう)プログレスが()っていた。


 プログレスの()巨大(きょだい)大斧(おおおの)からは、周囲(しゅうい)空間(くうかん)爆破(ばくは)するほどの超高熱(ちょうこうねつ)火炎(かえん)()()している。


「フン、バルゴスを(やぶ)った不届(ふとど)(もの)どもがどんな軍勢(ぐんぜい)かと(おも)えば、(おとこ)一人(ひとり)(うし)ろに(おんな)七人(ななにん)……。魔王軍(まおうぐん)要塞(ようさい)(うば)ったなどというから警戒(けいかい)したが、随分(ずいぶん)()められたものだな!」


 プログレスの()(はう)うような怒号(どごう)が、火山地帯(かざんちたい)(ひび)(わた)る。


()(あるじ)、フレアロード(さま)大地(だいち)(けが)した(つみ)、その(いのち)(にく)()()くしてやることで(つぐな)え! 全軍(ぜんぐん)突撃(とつげき)ぃッ!」


 プログレスの号令(ごうれい)(とも)に、五千(ごせん)(ほのお)軍勢(ぐんぜい)一斉(いっせい)突撃(とつげき)開始(かいし)した。


 大地(だいち)(ゆれ)れ、()(うみ)津波(つなみ)となってシオンたちへと()()せる。


 だが、シオンは微動(びどう)だにせず、ただ愉悦(ゆえつ)()ちた(こえ)(つぶや)いた。


「お(まえ)たち、()け。()刻印(こくいん)覇道(はどう)を、その(ちから)証明(しょうめい)してみせろ」


 七人(ななにん)美女(びじょ)たちが、同時(どうじ)()()った。


 その速度(そくど)は、肉眼(にくがん)では(とら)えられないほどの神速(しんそく)


 ()(さき)敵陣(てきじん)へと()()んだのは、ダークエルフの王女(おうじょ)シェリアだった。


 彼女(かのじょ)首筋(くびすじ)刻印(こくいん)禍々(まがまが)しく発光(はっこう)すると、両手(りょうて)(にぎ)られた双剣(そうけん)に、周囲(しゅうい)(ほのお)さえも吸収(きゅうしゅう)する漆黒(しっこく)(やみ)(やいば)形成(けいせい)される。


「シオン(さま)から(さず)かったこの(ちから)……お(まえ)たちのような雑魚(ざこ)(ほのお)など、一瞬(いっしゅん)()()してやる!」


 シェリアが()(ひるがえ)すたび、(ほのお)魔兵(まへい)たちの(くび)次々(つぎつぎ)(ちゅう)()った。


 彼女(かのじょ)(はな)(かげ)斬撃(ざんげき)は、(てき)(ほのお)(よろい)ごと肉体(にくたい)一刀両断(いっとうりょうだん)にし、その(たましい)強引(ごういん)()()っていく。


「ふふ、シェリアさんに()けてられないわね。(わたし)可愛(かわい)魔導弾(まどうだん)、たっぷり(あじ)わって!」


 ルミナリアが下腹部(かふくぶ)刻印(こくいん)明滅(めいめつ)させ、虚空(こくう)無数(むすう)魔導陣(まどうじん)展開(てんかい)した。


 これまでは青白(あおじろ)かった魔導光(まどうこう)は、シオンの魔力(まりょく)同調(どうちょう)したことで不気味(ぶきみ)紫黒色(しこくしょく)へと変貌(へんぼう)している。


「いっけぇー!」


 (はな)たれた数百(すうひゃく)魔導弾(まどうだん)は、着弾(ちゃくだん)同時(どうじ)(てき)軍勢(ぐんぜい)内側(うちがわ)から爆破(ばくは)した。


 高熱(こうねつ)(ほのお)(あやつ)るはずの魔兵(まへい)たちが、ルミナリアの(はな)つ「愛欲(あいよく)(どく)」を(はら)んだ魔力爆発(まりょくばくはつ)によって、(ぎゃく)にドロドロに()かされ、絶叫(ぜっきょう)()げながら消滅(しょうめつ)していく。


 黒耀(こくよう)魔女(まじょ)とよばれたアルテミシアは、背中(せなか)刻印(こくいん)から大鎌(おおがま)のような光翼(こうよく)()ばたかせ、最前線(さいぜんせん)でプログレスの直衛隊(ちょくえいたい)蹂躙(じゅうりん)していた。


「シオン(さま)(あい)絶対(ぜったい)……それを(はば)(もの)は、(だれ)であろうと(わたし)排除(はいじょ)します!」


 彼女(かのじょ)()るう大剣(たいけん)は、一振(ひとふ)りの一撃(いちげき)数十(すうじゅう)魔兵(まへい)()()ばす。


 その圧倒的(あっとうてき)破壊力(はかいりょく)冷酷(れいこく)(たたか)いぶりは、かつての面影(おもかげ)完全(かんぜん)凌駕(りょうが)していた。


 後方(こうほう)ではリーナが冷静(れいせい)戦況(せんきょう)分析(ぶんせき)し、(ひたい)刻印(こくいん)(ちから)要塞(ようさい)超長距離(ちょうちょうきょり)魔導砲(まどうほう)遠隔起動(えんかくきどう)させていた。


「シオン(さま)(てき)右翼(うよく)後方(こうほう)に、黒鉄(くろがね)要塞(ようさい)から要塞砲(ようさいほう)精密爆撃(せいみつばくげき)実行(じっこう)します。(てき)()(みち)はありません」


 (てん)から()(そそ)紫黒色(しこくしょく)光条(こうじょう)が、プログレスの軍勢(ぐんぜい)後方(こうほう)容赦(ようしゃ)なく消滅(しょうめつ)させ、(てき)完全(かんぜん)孤立無援(こりつむえん)絶望(ぜつぼう)へと()()んでいく。


「な、なんだこの()(もの)どもは……!? たった七人(ななにん)(おんな)に、()精鋭部隊(せいえいぶたい)が……!」


 プログレスは()(まえ)光景(こうけい)(しん)じられず、驚愕(きょうがく)()見開(みひら)いた。


 わずか数分(すうふん)(あいだ)に、五千(ごせん)軍勢(ぐんぜい)半数(はんすう)以下(いか)にまで激減(げきげん)していた。


 しかも、彼女(かのじょ)たちの攻撃(こうげき)()けるたびに、味方(みかた)兵士(へいし)たちは恐怖(きょうふ)ではなく、(あらが)(がた)快楽(かいらく)(どく)(おか)されたような奇妙(きみょう)絶叫(ぜっきょう)()げて(くず)()ちていく。


(つぎ)(わたし)(ばん)ですねぇ、猛将(もうしょう)さん?」


 プログレスの背後(はいご)から、淫靡(いんび)(こえ)鼓膜(こまく)()らした。


 ハッと()(かえ)ると、そこには(ふと)ももの内側(うちがわ)刻印(こくいん)(あや)しく(かがや)かせたサキュバスのルビリアが、空中(くうちゅう)浮遊(ふゆう)していた。


「お(まえ)、いつの()に!」


「シオン(さま)から極上(ごくじょう)(あい)()たされた(わたし)身体(からだ)……その余剰(よじょう)魔力(まりょく)だけでも、あなたなんて一瞬(いっしゅん)(くる)わせられるわよ」


 ルビリアが(ひとみ)(あや)しく(ひか)らせ、魅了(みりょう)吐息(といき)()きかける。


 シオンの絶対(ぜったい)支配(しはい)魔力(まりょく)()ざったその誘惑(ゆうわく)は、精神耐性(せいしんたいせい)()つプログレスの脳髄(のうずい)瞬時(しゅんじ)破壊(はかい)した。


「あ、ガ、がはっ……! な、なんだ、この、(あたま)が、()けるような……っ!」


 プログレスは(またが)っていた魔獣(まじゅう)から(ころ)()ち、(あたま)(かか)えて地面(じめん)にのたうち(まわ)った。


 (ほのお)(あやつ)猛将(もうしょう)としてのプライドは完全(かんぜん)瓦解(がかい)し、ただルビリアの、そしてその背後(はいご)にいるシオンの(かげ)屈服(くっぷく)せんと、(はげ)しく身悶(みもだ)えしている。


 そこへ、シオンがゆっくりと(あゆ)()る。


「クフフ、使(つか)(もの)にならん雑魚(ざこ)だな。フレアロードへの伝言(でんごん)(やく)にでもしてやろうと(おも)っていたが、その必要(ひつよう)もなさそうだ」


 シオンは冷酷(れいこく)視線(しせん)見下(みお)ろし、右手(みぎて)をプログレスの頭上(ずじょう)にかざした。


「ひ、お(ゆる)し、お許し(ゆるし)ください、シオン(さま)……!」


 完全(かんぜん)調教(ちょうきょう)された奴隷(どれい)のように命乞(いのちご)いをするプログレスの(こえ)無視(むし)し、シオンは()のひらから紫黒色(しこくしょく)魔力(まりょく)(はな)ち、その肉体(にくたい)内側(うちがわ)から木端微塵(こっぱみじん)爆破(ばくは)した。


 (のこ)ったわずかな敵兵(てきへい)も、ルナリスの両腕(りょううで)による鉄拳(てっけん)と、セレナの胸元(むねもと)から(はな)たれる呪詛(じゅそ)波動(はどう)によって完全(かんぜん)全滅(ぜんめつ)した。


 五千(ごせん)軍勢(ぐんぜい)は、一人(ひとり)として()(のこ)ることなく、火山地帯(かざんちたい)(つめ)たい(はい)へと()わった。


 戦場(せんじょう)(しず)まり(かえ)(なか)七人(ななにん)美女(びじょ)たちは(ふたた)びシオンの(まえ)整列(せいれつ)し、その()(ひざ)()いた。


 彼女(かのじょ)たちの(いき)(かす)かに(あら)いが、それは疲労(ひろう)ではなく、(あるじ)(ちから)行使(こうし)したことによる興奮(こうふん)と、肉体(にくたい)(おく)刻印(こくいん)がもたらす甘美(かんび)(うず)きのせいだった。


「シオン(さま)前座(ぜんざ)排除(はいじょ)完了(かんりょう)いたしました。これより、フレアロードの本拠地(ほんきょち)へと進撃(しんげき)いたしますか?」


 アルテミシアが(うる)んだ(ひとみ)見上(みあ)げる。


当然(とうぜん)だ。フレアロードの領地(りょうち)ごと、(おれ)絶対(ぜったい)支配(しはい)(ちから)()()えてやる。()くぞ、お(まえ)たち」


 シオンの(わら)(ごえ)が、焦熱(しょうねつ)(そら)へと(ひび)(わた)る。





(だい)51()(つづ)





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