【第49話】新たなる刻印
『黒鉄の要塞』の最深部にある玉座の間は、妖艶な熱気と濃厚な魔力に満たされていた。
玉座に深く腰掛けたシオンの前には、リーナ、ルナリス、ルミナリア、セレナ、ルビリア、アルテミシア、そして新たに加わったシェリアの七人が、一寸の乱れもなく整列し、熱い視線を主へと捧げている。
「クフフ、良い表情だな、お前たち。先ほどの戦いで、俺の愛がどれほどお前たちの肉体を強化するか、身をもって理解したはずだ」
シオンは不敵に微笑みながら、ゆっくりと立ち上がる。
「だが、あの程度の強化はまだ序の口に過ぎん。これからの戦いは、魔王軍の深部へと切り込むことになる。フレアロードやリヴァイアといった、バルゴスとは格の違う化け物どもを効率よく絶望へ叩き落とすためには、お前たちの肉体をさらに俺の魔力に適応させる必要がある」
その言葉に、美女たちの肩が甘やかな期待で微かに跳ね上がる。
なかでもサキュバスのルビリアは、自身の翼を小刻みに震わせ、肉体の奥から湧き上がる衝動に濡れた吐息を漏らしていた。
「シオン様……それは、私たちにさらなる『愛』を授けてくださる、ということでしょうか」
アルテミシアが潤んだ瞳をさらに熱く燃やし、自身の豊満な胸元に手を当てながら一歩前に出た。
彼女の肌は、シオンの魔力に反応して、すでに内側から微かに発光しているかのようだ。
「その通りだ。お前たちの魂の奥底、魔力の根源に、俺の絶対支配の刻印を深く焼き付ける。それにより、お前たちは俺の愛と完全に同調し、限界を超えた魔力を引き出すことが可能となる」
シオンが右手を掲げると、その手のひらに、ドロリとした紫黒色の濃密な魔力球が形成された。
「さあ、誰からその身に刻まれたい?」
シオンの抗い難い魅力に満ちた問いかけに真っ先に動いたのはシェリアだった。
「シオン様!私に、私に最初の刻印を……っ。バルゴスへの復讐を遂げ、私のすべてはあなた様のものとなりました。この命も、魂も、これ以上ないほどあなた様の愛で染めていただきたいのです!」
シェリアはシオンの足元へ跪き、その靴に額を擦り付けるようにして懇願した。
「フッ、いいだろう、シェリア。その忠誠、褒めてやる」
シオンは跪くシェリアの顎を強引に持ち上げ、その首筋に、魔力を集束させた右手の指先を突き立てた。
「あ、ぁ、あぁぁぁッ……!?」
シェリアの口から、悲鳴とも歓喜の絶叫ともつかない艶っぽい声が漏れ出る。
シオンの紫黒色の魔力が、彼女の肌を侵食するように、複雑な術式の紋様となって首筋から胸元へと急速に広がっていく。
それは肉体を内側から焼き焦がすような激痛を伴うものであったが、それと同時に、脳髄をドロドロに溶かすような圧倒的な快楽と全能感が、彼女の全身の体内を駆け巡った。
シェリアの瞳が完全に虚ろになり、シオンの魔力に翻弄されながらも、その表情には至上の幸福感が浮かんでいる。
刻印が完了すると、彼女からは以前とは比較にならないほどの魔力が、より研ぎ澄まされた形で立ち上っていた。
「はぁ、はぁ……素晴らしい……。身体の奥が、シオン様の魔力で満たされて……熱い……」
シェリアは恍惚とした表情のまま、シオンの足元に力なく崩れ落ち、外套の裾を愛おしそうに握りしめた。
「ふふ、ずるいわ、シェリアさん。私だって、シオン様の魔力でもっとめちゃくちゃにされたいのに」
ルミナリアが自身の身体を抱きしめるようにして身をよじり、羨望の眼差しを向ける。
「順番だ、ルミナリア。お前たち全員の肉体に、逃れられぬ絶対の楔を打ち込んでやる」
シオンはクフフと笑い、次々と美女たちを呼び寄せ、その肉体の核心へと深層刻印を焼き付けていった。
アルテミシアは背中に、ルミナリアは下腹部に、リーナは額に、ルナリスは両腕に、セレナは胸元に。
そしてサキュバスのルビリアには、その淫靡な本能をさらに引き出すべく、太ももの内側へと直接、指先で刻印をなぞり、深く焼き付けた。
だが、真の儀式はここからだった。
シオンは衣服を脱ぎ捨て、より濃厚な魔力の結合を行うべく、彼女たちの身体を直接貫いていった。
玉座の上で、アルテミシアの豊満な肉体がシオンの荒々しい動きに合わせて激しく揺れる。
シオンが腰を打ち付けるたびに、結合部から紫黒色の魔力の火花が散り、アルテミシアの胎内へとシオンの遺伝子とともに絶対支配の魔力が直接注ぎ込まれていく。
「あぁっ! シオン様、奥、奥が熱い......! あなたのもので、私の中が完全に満たされていく……っ!」
アルテミシアは快楽の絶頂に達しながら、その背中に浮かび上がる刻印をさらに鮮明に輝かせた。
続いてルビリアがシオンの引き締まった身体に跨り、自ら腰を激しく振り始める。
性欲を糧とするはずのサキュバスが、逆にシオンの圧倒的な征服欲の毒に犯され、完全に悦びの奴隷へと調教されていく。
「う、あぁっ……! シオン様、これ、は……っ! 私の淫魔の血が、あなた様の魔力に、完全に塗り替えられていく……っ!」
ルビリアは快楽のあまり尾を激しく震わせ、瞳を反らせて絶頂の吐息を漏らす。
シオンが彼女の腰を掴み、さらに深く突き上げると、ルビリアは巨大な弧を描いて身体をのけぞらせ、濃密な魔力の中で激しく果てた。
大広間には、肉体と肉体が激しくぶつかり合う淫靡な音と、美女たちの甘い悲鳴、そして魔力が衝突する怪しい駆動音が絶間なく響き渡ることとなった。
全員への交わりと刻印が完了したとき、彼女たちの戦闘バフは永続的なものへと昇華され、魔王軍の四天王すら一対一で圧倒できるほどの暴虐的な力を手に入れるていた。
全員がシオンの魔力との交わりの余韻に酔いしれ、床に横たわりながら荒い息を吐く中、リーナによって最適化された広間中央の魔道端末が警報を鳴らす。
端末から投影された立体地図のホログラムが、先ほどよりもさらに鮮明に輝く。
「シオンの魔力との同調で、魔道端末の精度が三百パーセント向上。それに伴って、看過できない情報をキャッチしたわ」
リーナの真剣な声に、シオンは再び衣服を身に纏い、玉座から視線を向けた。
「ほう、何だ?」
「北の『焦熱の火山地帯を統治する火炎公爵フレアロードが、黒鉄の要塞陥落の報を受け、独自の進撃部隊をこちらへ向けて進軍させている模様です。その数、およそ五千。先鋒を務めるのは、フレアロードの直属の部下であり、炎の魔獣を従える猛将プログレスとのことです」
地図上の一角が赤く点滅し、こちらへと向かう無数の光点が示される。
バルゴスの敗北を知り、即座に要塞を奪還、あるいはシオンたちを圧殺するために動き出したのだ。
「クフフ、ハハハハハッ! 面白い、実に面白いな! バルゴスという鉄屑が消えた途端、次の獲物が自ら進んで首を差し出しに来るとはな!」
シオンの狂気的な笑い声が、シオンの魔力と同調して要塞全体を大きく振動させる。
玉座から立ち上がったシオンを見上げる七人の美女たちの瞳には、恐怖など微塵もなかった。
あるのは、新しく授かった主の力を試したくて堪らないという、狂信的な渇望だけであった。
「お前たち、新しい力の初陣だ。迫り来る炎の雑魚どもを、一匹残らず返り討ちにしてやれ!」
「仰せのままに」
美女たちの声が響き渡る。
第50話へ続く




