表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/70

【第48話】黒鉄の要塞落ちる


 魔将軍(ましょうぐん)バルゴスが(ちり)となって消滅(しょうめつ)し、静寂(せいじゃく)(もど)った大広間(おおひろま)


 不落(ふらく)()ばれた『黒鉄(くろがね)要塞(ようさい)』の心臓部(しんぞうぶ)は、(いま)完全(かんぜん)にシオンの支配下(しはいか)()かれていた。


 (ゆか)()()くす重装兵(じゅうそうへい)たちの亡骸(なきがら)と、四散(しさん)した鋼鉄(こうてつ)残骸(ざんがい)が、(さき)ほどまでの蹂躙劇(じゅうりんげき)(すさ)まじさを物語(ものがた)っている。


 シオンは玉座(ぎょくざ)へと(あゆ)()り、()物顔(ものがお)でその()もたれに(ふか)身体(からだ)(あず)けた。


 その堂々(どうどう)たる(たたず)まいは、侵入者(しんにゅうしゃ)ではなく、最初(さいしょ)からこの(しろ)(あるじ)であったかのような絶対(ぜったい)(てき)風格(ふうかく)(はな)っている。


 シオンが不敵(ふてき)()みを()かべて見下(みお)ろすと、(かたわ)らに(ひか)える七人(ななにん)美女(びじょ)たちは、一斉(いっせい)にその()(ふか)(ひざまず)いた。


 彼女(かのじょ)たちの(ひとみ)宿(やど)るのは、(あるじ)への盲目(もうもく)(てき)崇拝(すうはい)と、(たたか)いを()えたばかりの(あつ)高揚感(こうようかん)である。


 シオンと(たましい)奥底(おくそこ)(まじ)わり、その絶対(ぜったい)(てき)支配(しはい)()()れた彼女(かのじょ)たちにとって、シオンの勝利(しょうり)こそが至上(しじょう)(よろこ)びであり、()きる意味(いみ)そのものとなっていた。


見事(みごと)(たたか)いぶりだ、これほど(はや)くバルゴスの軍勢(ぐんぜい)()()ばすとはな。期待(きたい)以上(いじょう)(はたら)きだ」


 シオンの(ひく)(たの)しげな(こえ)大広間(おおひろま)(ひび)(わた)る。


勿体(もったい)なきお言葉(ことば)にございます、シオン(さま)。すべてはあなた(さま)から(さず)かった(おお)いなる(ちから)と、この()()たす(あい)結晶(けっしょう)()ぎませんわ」


 ルビリアとアルテミシアが豊満(ほうまん)胸元(むねもと)()らし、(ねつ)っぽい吐息(といき)()らしながらシオンを見上(みあ)げる。


 彼女(かのじょ)たちの妖艶(ようえん)(ひとみ)は、すでに(つぎ)の「報酬(ほうしゅう)」を(もと)めて(うる)んでいた。


「ふふ、バルゴスの(あわ)てた(かお)最高(さいこう)傑作(けっさく)だったわねぇ。シオン(さま)()(とお)り、本当(ほんとう)にただの鉄屑(てつくず)みたいに(くだ)()るなんて」


 ルミナリアが自身(じしん)(くちびる)(ゆび)()て、くねらせるようにして身体(しんたい)(ふる)わせる。


 彼女(かのじょ)幻術(げんじゅつ)によって五感(ごかん)(くる)わされ、同士討(どうしう)ちを(えん)じた兵士(へいし)たちの末路(まつろ)(おも)()し、無邪気(むじゃき)微笑(ほほえ)んでいた。


「シオン、要塞(ようさい)残存(ざんぞん)する魔導兵器(まどうへいき)管理権限(かんりけんげん)、すべて(わたし)の『魔導解析(まどうかいせき)』によって完全(かんぜん)掌握(しょうあく)。これでこの要塞(ようさい)は、いつでもシオンの手足(てあし)として機能(きのう)するわ」


 リーナが(ひとみ)(あや)しく(ひか)らせ、淡々(たんたん)と、しかし(ほこ)らしげに報告(ほうこく)する。


「ふん、当然(とうぜん)結果(けっか)ね。あんな鈍重(どんじゅう)連中(れんちゅう)、シオン(さま)(てき)ではなかったわ。……でも、これで一族(いちぞく)無念(むねん)(すこ)しは()れたわね、シェリア」


 ルビリアが、(となり)(ひざまず)くダークエルフの王女(おうじょ)シェリアに視線(しせん)()けた。


 シェリアは(いま)だにシオンの足元(あしもと)(かす)かに身体(しんたい)(ふる)わせていた。


 その目元(めもと)には(なみだ)(あと)(のこ)っているが、その表情(ひょうじょう)にあるのは絶望(ぜつぼう)ではなく、(なが)きにわたる呪縛(じゅばく)から解放(かいほう)された純粋(じんすい)歓喜(かんき)と、シオンへの狂信(きょうしん)(てき)(あい)だった。


「はい……。本当(ほんとう)に、(ゆめ)のようです。一族(いちぞく)脅迫(きょうはく)し、(わたし)道具(どうぐ)のように(あつか)ってきたバルゴスが、これほど無様(ぶざま)()()るなんて……」


 シェリアはシオンの(ひざ)にそっと両手(りょうて)をかけ、まるで(すが)(りつ)くようにして(かお)(ちか)づける。


「シオン(さま)……(わたし)はもう、あなた(さま)なしでは(いき)をすることすらできません。この肉体(にくたい)も、一族(いちぞく)(つた)わる暗殺(あんさつ)技術(ぎじゅつ)も、すべてをあなた(さま)道具(どうぐ)としてお使(つか)いください。どのような(めい)であっても、(わたし)(よろこ)んで()(うみ)()()みましょう」


 シオンはクフフと(ひく)(わら)い、シェリアの(なが)銀髪(ぎんぱつ)(いと)おしそうに()()げた。


()(こころ)がけだ、シェリア。お(まえ)たちの(やみ)(ひそ)(ちから)は、これからの(たたか)いで(おお)いに(やく)()つ。まずは、この要塞(ようさい)(そと)(にが)しておいたお(まえ)一族(いちぞく)をすべて()(もど)せ。(おれ)配下(はいか)として、(あら)たなる(かげ)軍隊(ぐんたい)組織(そしき)する」


(おお)せのままに、()唯一(ゆいいつ)(あるじ)()(かみ)よ……」


 シェリアは至福(しふく)表情(ひょうじょう)()かべ、シオンの()自身(じしん)(ほお)()()せた。


 その姿(すがた)は、魔王軍(まおうぐん)最凶(さいきょう)暗殺者(あんさつしゃ)(おそ)れられた冷徹(れいてつ)面影(おもかげ)はなく、完全(かんぜん)調教(ちょうきょう)された忠実(ちゅうじつ)(めす)そのものであった。


 セレナが(しず)かにシオンの(まえ)(すす)()て、その(するど)嗅覚(きゅうかく)大広間(おおひろま)(そと)空気(くうき)(さぐ)るように(はな)()らした。


「シオン(さま)、バルゴスを()()ったことで、この地域(ちいき)魔王軍(まおうぐん)勢力図(せいりょくず)完全(かんぜん)崩壊(ほうかい)します。しかし、これで(ほか)四天王(してんのう)たちも(だま)ってはいないでしょう。すでに、(わたし)たちの存在(そんざい)()づき(はじ)めている気配(けはい)があります」


 シオンは玉座(ぎょくざ)肘置(ひじお)きを指先(ゆびさき)でリズミカルに(たた)きながら、満足(まんぞく)げに口元(くちもと)(ゆが)めた。


「それでいい。むしろ、()こうから()()てきてくれた(ほう)手間(てま)(はぶ)けるというものだ。バルゴスは四天王(してんのう)(なか)でも最弱(さいじゃく)脳無(のうな)しだったが、(のこ)りの三人(さんにん)はもう(すこ)(たの)しませてくれるだろうな」


 リーナが要塞(ようさい)(のこ)されていた魔導端末(まどうたんまつ)操作(そうさ)し、魔王軍(まおうぐん)内部資料(ないぶしりょう)大広間(おおひろま)中央(ちゅうおう)投影(とうえい)した。


「シオン(さま)(つぎ)なる標的(ひょうてき)候補(こうほ)ですが、ここから(きた)位置(いち)する『焦熱(しょうねつ)火山地帯(かざんちたい)統治(とうち)する、火炎公爵(かえんこうしゃく)フレアロード。あるいは、西(にし)の『深淵(しんえん)(うみ)』を支配(しはい)する、妖術師海王(ようじゅつしかいおう)リヴァイア。この二者(にしゃ)が、現在(げんざい)(もっと)警戒(けいかい)(つよ)めております」


 シオンは投影(とうえい)された地図(ちず)をじっと()つめ、不敵(ふてき)()みを(ふか)くした。


火炎公爵(かえんこうしゃく)に、海王(かいおう)か。どちらを(さき)絶望(ぜつぼう)(ふち)(たた)()としてやるか……。まずは、この黒鉄(くろがね)要塞(ようさい)完全(かんぜん)()(もの)とし、戦力(せんりょく)(ととの)える」


 その(とき)、シオンのレベルが()がり(あら)たな能力(のうりょく)解放(かいほう)される。


 「バルゴスを(たお)したことで(おれ)のレベルが(あが)がったようだ。お(まえ)たちの肉体(にくたい)に、もっと(ふか)く、(おれ)(あら)たな(ちから)(きざ)()んでやろう」


 その言葉(ことば)()いた(おんな)たちの身体(しんたい)が、一斉(いっせい)(あま)やかな歓喜(かんき)(ふる)えた。


 シオンの支配(しはい)がさらに(ふか)まることを、彼女(かのじょ)たちの(たましい)(はげ)しく渇望(かつぼう)している。






(だい)49()(つづ)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ