【第38話】漆黒の調教
本殿の奥に位置するシオンの私室。
そこは鉄血の砦の中で最も濃密にシオンの魔力が澱む、快楽の絶対領域であった。
完全に理性をへし折られ、シオンの所有物として最適化されつつある魔女アルテミシアは、冷たい黒の鎧をすべて剥ぎ取られ、大理石の床に這いつくばっていた。
白い肌は、内側から湧き上がる熱情によって艶やかな桃色に上気し、血のように赤い髪が乱れて床に広がっている。
「ハァ、ハァ……シオン、様……。体が、熱くて……おかしく、なって、しまいます……っ」
一切の感情を持たなかったはずの魔女の面影は皆無だった。
アルテミシアの内側から溢れ出た熱い蜜が彼女の太ももを伝い、床に小さな水溜まりを作っている。
その様子を、シオンは玉座に腰掛け、冷徹な愉悦を瞳に宿して見下ろしていた。
「まだお前の『忠誠のすべてを塗り潰してはいないぞ、アルテミシア。魔王への未練ごと、その身体に俺の存在を刻み込んでやる。こちらへ来い」
「はい……っ、シオン様……!」
シオンの命令に、アルテミシアは歓喜の吐息を漏らしながら、浅ましい牝犬のように四つん這いでにじり寄った。
かつて一国の軍隊に匹敵する魔力で恐れられた魔女が、いまやシオンの足元で愛を乞うだけの存在に成り下がっている。
シオンが彼女の豊かな胸を乱暴に掴み、引き上げると、アルテミシアはそれだけで脳髄を灼かれるような快感に身を震わせた。
「あ、ぐ……ぅ、んんっ! 触れられただけで……脳が、溶けて……っ!」
「本番はこれからだ。お前のその冷徹な誇りが、絶頂の悲鳴へと変わる瞬間を特等席で見せてもらおう」
シオンはアルテミシアをうつ伏せに組み伏せ、容赦なく溢れる密の奥へと自身の猛りを突き挿した。
「ひゃあぁあぁあーーーっっ!?」
静寂な私室に、アルテミシアの引き裂かれたような絶頂の喘ぎが響き渡る。
シオンの「性の捕食者」の能力が、肉体の結合を通じてダイレクトに彼女の精神へと介入していく。
ただの肉体の交わりではない。
シオンの濃厚な魔力が彼女の魔術回路を激しく蹂躙し、魔王ギルガザードへの忠誠や記憶を、甘美な愛欲の炎で強制的に焼き尽くしていく精神の調教であった。
「ん、あ、熱い、熱いぃッ! シオン様、何かが、私の中に、入って……満たされていく……っ!」
「嫌か? アルテミシア。お前が大事に抱えていた理性など、俺の楔の前にはただの玩具に過ぎない」
「嫌、じゃない、です……っ! もっと、もっと私を壊してください……! ギルガザード様なんて、もう、どうでもいい……私は、シオン様の、お人形……っ!」
シオンが容赦のない速度と質量で彼女の腰を打ち据えるたびに、アルテミシアの瞳から完全に知性が失われ、ドロドロに溶けた陶酔だけが溢れ出ていく。
彼女の背中は激しくのけ反り、白目を剥きかけながらも、本能的にシオンの肉体を求め、その腰を必死に揺らし返した。
腰がぶつかり合う卑俗な肉の音が室内に鳴り響く。
アルテミシアの白い肌には、シオンの絶対支配の紋様が、前夜のルビリアのそれよりもさらに濃く、鮮やかに浮かび上がり、脈動していた。
彼女の体内からは抗うことのできない蜜が溢れ、二人の結合部を濡らし、さらに快楽を加速させていく。
「あ、は、ぁぁ! 嘘……私、こんな、淫らな声、っ……んほおぉぉーっ!」
シオンが最奥の敏感な一点を激しく抉ると、アルテミシアの身体が弓なりに硬直した。
限界を超えた快感が彼女の脳髄を完全にクラッシュさせ、言葉にならない喘ぎと共に、彼女の肉体は幾度目かも分からない激しい絶頂を迎えた。
全身の神経が快楽の電流に灼かれ、ビクビクと細かく痙攣する。
だが、シオンの攻めは緩まない。
気絶することすら許さない絶対の支配は、彼女が絶頂の余韻に震える最中にも、さらに深く、容赦なく突き入れられる。
「お前のすべてを、俺の快楽で最適化してやる。永遠に俺だけの狂信者として生きろ」
「はいぃぃっ! シオン様、私の、絶対の主様……っ! あなたの種で、私を、全部、汚して……っ!」
ドロドロに溶けたアルテミシアの最奥に向けて、シオンの濃厚な魔力を孕んだ熱い質量が、一滴残らず解き放たれた。
アルテミシアの体内がシオンの存在で満たされると同時に、彼女の魂の底にあった魔王への忠誠心は完全に消滅し、シオンへの絶対的な依存と狂信へと書き換えられた。
戦いが終わり、シオンの胸元に力なく崩れ落ちたアルテミシアの瞳には、かつての冷徹さは微塵もなかった。
あるのは、ただ一人の男にすべてを捧げた、恍惚とした奴隷の光だけだった。
魔王軍最強の一角が、完全にシオンの檻へと囚われた瞬間である。
第39話へ続く




