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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第34話】ルビリア・ブラッドローズ


 鉄血(てっけつ)の砦(とりで)の最奥(さいおう)、冷(つめ)たい石造(いしづく)りの床(ゆか)に、魔戦士(ませんし)ルビリア・ブラッドローズの身体(からだ)が投(な)げ出(だ)された。


 冷酷(れいこく)なる夜(よる)の女王(じょおう)と恐(おそれ)られたその威厳(いげん)は、今(いま)や泥(どろ)のように溶(と)け去(さ)り、荒(あら)い吐息(といき)と滴(したた)る蜜(みつ)の甘(あま)い香(かお)りだけが部屋(へや)を満(み)たしている。


 シオンは優雅(ゆうが)な足(あし)運(はこ)びで、跪(ひざまず)き喘(あえ)ぐルビリアへと歩(あゆ)み寄(よ)る。


 彼(かれ)の視線(しせん)は、獲物(えもの)を玩(もてあそ)ぶ捕食者(ほしょくしゃ)のそれだった。


「随分(ずいぶん)と熱(あつ)い身体(からだ)になったな、ルビリア。先(さき)ほどまでの冷(つめ)たい眼差(まなざ)しはどこへ行(い)った?」


 シオンが冷(つめ)たい声(こえ)で囁(ささや)き、その指先(ゆびさき)でルビリアの熱(ほて)った頬(ほお)を撫(な)でる。


 ルビリアは脳(のう)が焼(や)け切(き)れそうなほどの快楽(かいらく)の渦(うず)の中(なか)で、必死(ひっし)にシオンの足首(あしくび)にすがり付(つ)いた。


「あ……シオン様(さま)……っ! 身体(からだ)が、壊(こわ)れそうです……ッ! 私(わたし)の中(なか)に……貴方(あなた)の支配(しはい)を……もっと、もっと与(あた)えて……ッ!」


 純血(じゅんけつ)のサキュバスとしての高(たか)い誇(ほこ)りは、彼(かれ)の絶対的(ぜったいてき)な愛欲(あいよく)の魔力(まりょく)によって、完璧(かんぜん)に雌(めす)としての本能(ほんのう)へと置(お)き換(か)えられていた。


 シオンは冷笑(れいしょう)を浮(う)かべ、ルビリアの黒(くろ)い軽装鎧(けいそうよろい)の金具(かなぐ)を力任(ちからまか)せに剥(は)ぎ取(と)っていく。


 無機質(むきしつ)な音(おと)を立(た)てて重(おも)い防具(ぼうぐ)が床(ゆか)に転(ころ)がるたび、ルビリアの肌(はだ)が露出(ろしゅつ)し、シオンの目(め)に焼(や)き付(つ)けられる。


 胸元(むなもと)から腹部(ふくぶ)へ、そして秘所(ひしょ)へと続(つづ)く曲線(きょくせん)は、魔戦士(ませんし)として鍛(きた)え抜(ぬ)かれた強(つよ)さと、愛欲(あいよく)に染(そ)まった淫靡(いんび)な弱(よわ)さが混(ま)ざり合(あ)う、至高(しこう)の芸術(げいじゅつ)品(ひん)だった。


「ふむ……。悪(わる)くない。」


 シオンがルビリアの豊(ゆた)かな膨(ふくら)みを無遠慮(ぶえんりょ)に鷲(わし)掴(づか)みにすると、ルビリアは全身(ぜんしん)を弓(ゆみ)なりに反(そ)らせて絶叫(ぜっきょう)的(てき)な喘(あえ)ぎを漏(も)らす。


「あ、ぁあっ! シオン様(さま)……ッ! 痛(いた)い、けど……ああんっ! もっと、もっと触(さわ)って……ッ! 雌(めす)としての本能(ほんのう)が……貴方(あなた)を求(もと)めて狂(くる)いそうです……っ!」


 シオンは己(おのれ)のそれをルビリアの秘所(ひしょ)に当(あ)て込(こ)み、躊躇(ちゅうちょ)なく一気(いっき)に突(つ)き入(い)れる。


「あ、ぁあああああっ!?」


 裂(さ)けそうな快感(かいらく)と、身体(からだ)の深奥(しんおう)まで支配(しはい)されるような圧倒的(あっとうてき)な質量(しつりょう)に、ルビリアは眼(め)を見開(みひら)き、白目(しろめ)を剥(む)く。


 彼女(かのじょ)の体内(たいない)に流(なが)れ込(こ)むのは、ただの情欲(じょうよく)ではない。


 シオンの魔王(まおう)的(てき)な支配者(しはいしゃ)としての強制(きょうせい)的(てき)な「命令(めいれい)」の波動(はどう)そのものだった。


 その一突(ひとつ)き一突(ひとつ)きのたびに、ルビリアの理性(りせい)が砕(くだ)け、シオンの色(いろ)に染(そ)まっていく。


「見(み)ろ、ルビリア。魔戦士(ませんし)の誇(ほこ)りなんてものは、俺(おれ)の前(まえ)ではこの程度(ていど)の玩具(おもちゃ)に過(す)ぎない」


 シオンはルビリアの髪(かみ)を強(つよ)く掴(つか)み、自分(じぶん)の顔(かお)へ引(ひ)き寄(よ)せる。


 ルビリアは涙(なみだ)と唾液(だえき)で顔(かお)を濡(ぬ)らしながら、恍惚(こうこつ)的(てき)な笑(え)みを浮(う)かべる。


「あ、あぁ……ッ! 壊(こわ)して……ッ! 私(わたし)の魔戦士(ませんし)としての魂(たましい)も、この身体(からだ)も、全(すべ)て貴方(あなた)の好(す)きなように調教(ちょうきょう)してください……ッ! 魔王(まおう)様(さま)への忠誠(ちゅうせい)も、誇(ほこ)りも、全部(ぜんぶ)貴方(あなた)に捨(す)てさせられた! 今(いま)の私(わたし)は、ただシオン様(さま)の欲(よく)を満(み)たすための牝犬(めすいぬ)ですっ……!」


 激(はげ)しく腰(こし)を打(う)ち付(つ)け、ルビリアの身体(からだ)の奥(おく)の熱(あつ)い場所(ばしょ)を執拗(しつよう)に突(つ)くたびに、シオンの支配(しはい)感(かん)は高(たか)まる。


 ルビリアの淫魔(いんま)の羽(はね)が乱(みだ)れ、空(くう)を掻(か)く。


 彼女(かのじょ)の秘所内(ひしょない)は痙攣(けいれん)的(てき)にシオンのそれを吸(す)い付(つ)け、甘(あま)い悦楽(えつらく)の蜜(みつ)を大量(たいりょう)に噴(ふ)き出(だ)す。


「最高(さいこう)のコレクションだな、お前(まえ)は。魔族(まぞく)軍(ぐん)の最強(さいきょう)の夜(よる)の女王(じょおう)が、こうして俺(おれ)の下(もと)で喘(あえ)いでいる」


 シオンの低(ひく)い声(こえ)に、ルビリアは蕩(とろ)けきった表情(ひょうじょう)で、何度(なんど)も自分(じぶん)の舌(した)をシオンの頬(ほお)に這(は)わせる。


「ああ……ッ! 全(すべ)てを奪(うば)ってください……っ! 貴方(あなた)の……ッ! 貴方(あなた)の攻(せ)めで、私(わたし)を何度(なんど)でも支配(しはい)してっ……ッ! ああっ、奥(おく)っ! 奥(おく)に……っ!」


 激(はげ)しい交(まじ)わりは、砦(とりで)の冷(つめ)たい壁(かべ)を震(ふる)わせる。


 ルビリアの瞳(ひとみ)はもはや魔王(まおう)軍(ぐん)の将(しょう)ではなく、ただ一(ひと)人(り)の支配者(しはいしゃ)に狂信(きょうしん)的(てき)な愛(あい)を捧(ささ)げる奴隷(どれい)のそれだった。


 何(なん)度(ど)もの絶頂(ぜっちょう)を繰(く)り返(かえ)し、その度(たび)にルビリアは精神(せいしん)の境界(きょうかい)を崩壊(ほうかい)させて行(い)く。


 シオンが最後(さいご)の支配(しはい)を刻(きざ)み込(こ)もうと、さらに強(つよ)く腰(こし)を突(つ)き上(あ)げると、ルビリアは空(くう)を仰(あお)ぎ見(み)て、高(たか)い絶叫(ぜっきょう)と共(とも)に意識(いしき)の海(うみ)へと沈(しず)んでいった。


「あ、ああああっ! シオン様(さま)っ……ッ! 私(わたし)、私(わたし)……っ! 貴方(あなた)の、貴方(あなた)の所有物(しょゆうぶつ)ですっ……っ!」


 荒(あら)い呼吸(こきゅう)の中(なか)で、シオンは満足(まんぞく)げにその髪(かみ)を乱暴(らんぼう)に撫(な)でる。


 砦(とりで)の外(そと)では、寝返(ねがえ)った魔族(まぞく)たちが、自分(じぶん)たちの新(あたら)しい支配者(しはいしゃ)であるシオンの凱旋(がいせん)を祝(いわ)うかのように、静(しず)まり返(かえ)っていた。


 支配(しはい)は完了(かんりょう)した。


しかし、その勝利(しょうり)の余韻(よいん)の中(なか)で、シオンは窓(まど)から遠(とお)く南方(なんぽう)の空(そら)を眺(なが)める。


 闇(やみ)の深奥(しんおう)から、地響(じひび)きが微(かす)かに伝(つた)わって来(く)る気(き)がした。


 魔王(まおう)は既(すで)に動(うご)いている。


 この鉄血(てっけつ)の砦(とりで)での出来事(できごと)は、今後(こんご)繰(く)り広(ひろ)げられる壮大(そうだい)な支配(しはい)の物語(ものがたり)の、まだ序章(じょしょう)に過(す)ぎないのだ。


 シオンは腕(うで)の中(なか)で、まだ身体(からだ)を痙攣(けいれん)させているルビリアを抱(だ)き寄(よ)せ、獰猛(どうもう)に口元(くちもと)を歪(ゆが)めた。


「魔王(まおう)か……。面白(おもしろ)い。この地(ち)を足掛(あしが)かりに、大陸(たいりく)全土(ぜんど)を俺(おれ)の色(いろ)に染(そ)め上(あ)げてやる」


 闇夜(やみよ)に溶(と)け込(こ)む砦(とりで)の上空(じょうくう)で、歪(いびつ)な月(つき)がシオンたちの支配(しはい)を笑(わら)っていた。


 物語(ものがたり)は、更(さら)なる淫靡(いんび)で冷酷(れいこく)な領域(りょういき)へと踏(ふ)み込(こ)んでいく。



第(だい)35話(わ)へ続(つづ)く




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