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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第30話】氷城の巫女サクヤ


 神殿(しんでん)(つつ)んでいた清浄(せいじょう)冷気(れいき)は、(いま)やシオンから(はな)たれる支配(しはい)波動(はどう)により、(あま)く、そして重苦(おもくる)しい(ねつ)()びた「情欲(じょうよく)空気(くうき)」へと()()えられていた。


 ヴァルグリムが(ひざまず)き、魔物(まもの)軍勢(ぐんぜい)忠誠(ちゅうせい)(ちか)(なか)、シオンは神殿(しんでん)最奥(さいおう)にある祭壇(さいだん)へと悠然(ゆうぜん)()(すす)める。


 その背後(はいご)には、かつての守護者(しゅごしゃ)セレナ、(あら)たな手駒(てごま)となった巫女(みこ)サクヤ、そしてリーナたちが(したが)い、一人(ひとり)のホストが(きず)()げる(あら)たな帝国(ていこく)開闢(かいびゃく)を、(いき)()(おも)いで見守(みまも)っていた。


素晴(すば)らしい(なが)めだ。この(きた)()てが、今日(きょう)から(おれ)玉座(ぎょくざ)となる」


 シオンが祭壇(さいだん)中央(ちゅうおう)()つと、神殿(しんでん)そのものが(かれ)呼応(こおう)するように脈動(みゃくどう)(はじ)める。


 サクヤは足元(あしもと)から(つた)わるその振動(しんどう)に、巫女(みこ)としての本能(ほんのう)(おんな)としての情動(じょうどう)同時(どうじ)()さぶられた。


 かつて家族(かぞく)仲間(なかま)(とも)()(なが)して(まも)()こうとした聖域(せいいき)が、(いま)自分(じぶん)完全支配(かんぜんしはい)する一人(ひとり)(おとこ)の「所有物(しょゆうぶつ)」へと変貌(へんぼう)している。


 その事実(じじつ)が、彼女(かのじょ)(うち)(ねむ)っていた(かく)れた情欲(じょうよく)()()こし、理性(りせい)(はげ)しくかき(みだ)した。


「サクヤ」


 シオンの(こえ)が、彼女(かのじょ)鼓膜(こまく)(やさ)しく、しかし(あらが)いがたい力強(ちからづよ)さで()らす。


 サクヤは()()らすことなどできなかった。


 (かれ)()ばれるだけで、心臓(しんぞう)(おく)()けつくような(ねつ)()びて(うず)く。


「この神殿(しんでん)封印(ふういん)(かぎ)は、お(まえ)身体(からだ)(きざ)まれているのだろう?」


 シオンの指摘(してき)に、サクヤは羞恥(しゅうち)(あか)らんだ(ひとみ)(おお)きく()らして(うなず)く。


 巫女(みこ)としての秘儀(ひぎ)、その代償(だいしょう)心身(しんしん)への過酷(かこく)(しば)りだった。


 だが、(いま)彼女(かのじょ)にとって、その(しば)りはもはや(かせ)ではない。


 シオンという圧倒的(あっとうてき)な「支配者(しはいしゃ)」にすべてを(ゆだ)ねるための、至高(しこう)契約(けいやく)()ぎなかった。


「……はい。(わたし)刻印(こくいん)()くことができるのは、(わたし)(むす)ばれた(もの)だけ……それがこの神殿(しんでん)の、最後(さいご)守護(しゅご)です」


 サクヤが(しぼ)()すように()げると、シオンは満足(まんぞく)げに(わら)った。


 (かれ)祭壇(さいだん)巨大(きょだい)玉座(ぎょくざ)(ふか)腰掛(こしか)け、ひれ()すサクヤの(あご)指先(ゆびさき)()()げる。


 シオンの魔力(まりょく)は、神殿(しんでん)形作(かたちづく)っていた無数(むすう)(こおり)(はしら)(あわ)いピンク(いろ)()()げていく。


 神聖(しんせい)儀式(ぎしき)()は、(いま)愛欲(あいよく)城塞(じょうさい)へと変貌(へんぼう)()げていた。


 シオンはサクヤの巫女装束(みこしょうぞく)(ひも)を、まるで獲物(えもの)()でるかのようにゆっくりと()いていく。


 (しろ)(きぬ)(すべ)()ち、彼女(かのじょ)()(とお)るような白磁(はくじ)(はだ)(あら)わになるたび、サクヤは(あま)情熱的(じょうねつてき)吐息(といき)()らした。


 シオンの(おお)きな()彼女(かのじょ)(やわ)らかな(ふく)らみを(つつ)()むと、サクヤは背中(せなか)(おお)きく()らせ、快楽(かいらく)(なみ)(あらが)えずに(ふる)えた。


「……ッ、あ、シオン(さま)……っ! そこは、巫女(みこ)の……っ」


 サクヤの身体(からだ)がシオンの支配的(しはいてき)快楽(かいらく)()()えられていく。


 (かれ)秘所(ひしょ)指先(ゆびさき)(しの)ばせると、巫女(みこ)として(まも)(つづ)けてきた清純(せいじゅん)身体(からだ)が、(あま)(みつ)(したた)らせてシオンを()()れる準備(じゅんび)(はじ)めた。


 サクヤは(かれ)にすがりつき、(ひとみ)(うる)ませながら、自分(じぶん)のすべてが支配(しはい)されていく幸福感(こうふくかん)()(ゆだ)ねた。


 シオンはサクヤを()きかかえ、玉座(ぎょくざ)深奥(しんおう)へと(みちび)く。


 (はげ)しく(かさ)なる吐息(といき)と、氷壁(ひょうへき)反射(はんしゃ)する(つや)やかな音色(ねいろ)神殿(しんでん)(ひび)(わた)る。


 シオンが(こし)()()けるたび、サクヤの身体(からだ)極上(ごくじょう)快楽(かいらく)()(ふる)え、そのたびに神殿(しんでん)封印(ふういん)(かれ)二人(ふたり)へと(ふか)(きざ)()まれていく。


 彼女(かのじょ)身体(からだ)(おく)にある(あつ)刻印(こくいん)が、シオンという強大(きょうだい)魔力(まりょく)()ざり()うことで完全(かんぜん)解放(かいほう)されていった。


 サクヤはシオンの背中(せなか)(つめ)()て、何度(なんど)何度(なんど)名前(なまえ)()びながら、(たましい)までもが(かれ)(うば)()られる(よろこ)びに(おぼ)れた。


「ああ……ッ! (わたし)の……すべてを、支配(しはい)して……っ! ああんっ!」


 シオンの支配(しはい)頂点(ちょうてん)(たっ)した(とき)、サクヤの刻印(こくいん)(まばゆ)(かがや)き、神殿全体(しんでんぜんたい)桃色(ももいろ)(ひかり)(つつ)まれた。


 巫女(みこ)快楽(かいらく)()てで白目(しろめ)をむき、シオンという(あら)たな支配者(しはいしゃ)(あい)全身(ぜんしん)(きざ)()んだ。


 それは、神殿(しんでん)完全(かんぜん)(かれ)手中(しゅちゅう)()ちた瞬間(しゅんかん)でもあった。


 (はげ)しい結合(けつごう)余韻(よいん)(なか)で、シオンは満足(まんぞく)げにサクヤを()きしめた。


 彼女(かのじょ)(ひとみ)には、かつての孤独(こどく)守護者(しゅごしゃ)面影(おもかげ)はなく、ただ一人(ひとり)(おとこ)にすべてを(ささ)げた(おんな)献身的(けんしんてき)(かがや)きだけが宿(やど)っていた。


「……今日(きょう)からここが(おれ)たちの拠点(きょてん)だ。名前(なまえ)は『氷城(ひょうじょう)・シオン』。魔王軍(まおうぐん)がこの()(うば)いに()るなら、いつでも()い。(おれ)のコレクションがまた(ひと)()えるだけだ」


 シオンは(かたわ)らに(ひか)えるセレナの(あご)指先(ゆびさき)()()げ、その忠誠心(ちゅうせいしん)確認(かくにん)する。


 そこから()える景色(けしき)は、もはや(きた)()ての(さび)れた聖域(せいいき)ではなく、(かれ)支配(しはい)する冷酷(れいこく)熱狂的(ねっきょうてき)帝国(ていこく)への()(ぐち)だった。


「さあ、(つぎ)はどんな(てき)()めてくるのか。魔物(まもの)軍勢(ぐんぜい)か、あるいは魔王自身(まおうじしん)か」


 シオンが(つぶや)くと、雲間(くもま)から()した陽光(ようこう)神殿(しんでん)()らした。


 それは、(かれ)らを祝福(しゅくふく)するような、(あたた)かな(ひかり)だった。


 魔王軍(まおうぐん)残党(ざんとう)も、王国(おうこく)騎士(きし)たちも、(みな)がこの氷城(ひょうじょう)()(ひろ)げられる支配(しはい)(うたげ)()(よし)もない。


 シオンはサクヤの耳元(みみもと)で、(あま)(ささや)いた。


「サクヤ、今夜(こんや)(おれ)に、お(まえ)のすべてを(おし)えてくれ。この神殿(しんでん)秘密(ひみつ)も、お(まえ)身体(からだ)(おく)(ねむ)(ねつ)も、すべて(おれ)のものだ」


 その言葉(ことば)に、サクヤは(ふる)える(こえ)で「はい、主様(あるじさま)」と(こた)えた。


 氷獄(ひょうごく)咆哮(ほうこう)は、支配(しはい)祝祭(しゅくさい)へと姿(すがた)()え、物語(ものがたり)はより(ふか)く、より淫靡(いんび)領域(りょういき)へと()()んでいく。


 大陸全土(たいりくぜんど)(おお)支配(しはい)(かげ)は、(いま)確実(かくじつ)(あゆ)みを(すす)めていた。



(だい)31()(つづ)




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