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ホスト転生  作者: 阿門 甲斐吽


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【第21話】月夜の誓約


 宴(うたげ)の熱気(ねっき)が最高潮(さいこうちょう)に達(たっ)し、獣人(じゅうじん)たちの咆哮(ほうこう)が牙(きば)の森(もり)を震(ふる)わせる中(なか)、俺(おれ)はガレウスに連(つ)れられ、ウルフ族(ぞく)の集落(しゅうらく)の奥(おく)、月(つき)の光(ひかり)が直接(ちょくせつ)降(ふ)り注(そそ)ぐ聖(せい)なる洞窟(どうくつ)へと案内(あんない)された。


 ルナリスは恥(は)じらいに頬(ほお)を紅潮(こうちょう)させながら、俺(おれ)の腕(うで)に寄(よ)り添(そ)って歩(ある)く。


 彼女(かのじょ)の白銀(はくぎん)の髪(かみ)が、月(つき)の光(ひかり)を浴(あ)びて淡(あわ)い光(ひかり)を放(はな)っている。


 洞窟(どうくつ)の入(い)り口(ぐち)に立(た)つと、ガレウスは満足(まんぞく)げに頷(うなず)き、俺(おれ)たちを二人(ふたり)きりにして去(さ)っていった。


 静寂(せいじゃく)が訪(おとず)れる。


 洞窟(どうくつ)の中(なか)は外(そと)の喧騒(けんそう)とは対照的(たいしょうてき)に、清冽(せいれつ)で甘(あま)い水(みず)の匂(にお)いと、獣人(じゅうじん)の体温(たいおん)の残香(ざんこう)が漂(ただよ)っていた。


 俺(おれ)はルナリスを奥(おく)の寝台(しんだい)へと導(みちび)き、その華奢(きゃしゃ)な肩(かた)を抱(だ)き寄(よ)せた。


「シオン様(さま)……私(わたし)、本当(ほんとう)に貴方様(あなたさま)のものになっていいのですか。胸(むね)が、壊(こわ)れてしまいそうで……」


 ルナリスは震(ふる)える指先(ゆびさき)で俺(おれ)の胸元(むなもと)に触(ふ)れ、潤(うる)んだ瞳(ひとみ)で俺(おれ)を見(み)つめる。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の青(あお)い瞳(ひとみ)を深(ふか)く覗(のぞ)き込(こ)み、愛(いと)おしげにその頬(ほお)を撫(な)でた。


「ルナリス。君(きみ)のその清(きよ)らかな心(こころ)も、震(ふる)える身体(からだ)も、すべて俺(おれ)に委(ゆだ)ねてくれ。俺(おれ)が君(きみ)の心(こころ)を満(み)たし、この森(もり)で一番(いちばん)幸(しあわ)せな女(おんな)にしてやる」


 言葉(ことば)と共(とも)に、俺(おれ)は彼女(かのじょ)の唇(くちびる)を優(やさ)しく奪(うば)った。


 ルナリスは微(かす)かな吐息(といき)を漏(も)らし、俺(おれ)の首(くび)に腕(うで)を回(まわ)して応(こた)える。


 彼女(かのじょ)の唇(くちびる)は花蜜(かみつ)のように甘(あま)く、俺(おれ)のホストとしての本能(ほんのう)を鋭(するど)く刺激(しげき)した。


 俺(おれ)はゆっくりと彼女(かのじょ)の衣(ころも)を解(と)き、雪(ゆき)のように白(しろ)い肌(はだ)を露(あら)わにする。


 月(つき)の光(ひかり)に照(て)らされたその柔(やわ)らかな曲線(きょくせん)は、まさに神(かみ)が作(つく)りし芸術品(げいじゅつひん)だった。


 俺(おれ)が彼女(かのじょ)の胸元(むなもと)に唇(くちびる)を這(は)わせると、ルナリスは背中(せなか)を大(おお)きく反(そ)らせ、獣(けもの)の唸(うな)りのような可愛(かわい)らしい声(こえ)を上(あ)げた。


 彼女(かのじょ)の体温(たいおん)は急速(きゅうそく)に上昇(じょうしょう)し、愛撫(あいぶ)されるたびに全身(ぜんしん)が甘(あま)く蕩(とろ)けていく。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の純真(じゅんしん)さを少(すこ)しずつ塗(ぬ)り替(か)えるように、執拗(しつよう)に、そして優(やさ)しく、彼女(かのじょ)の悦(よろこ)びの頂点(ちょうてん)を探(さぐ)り当(あ)てていく。


「ぁ……っ、シオン、様(さま)……っ! そこ、は……っ!」


 ルナリスは恍惚(こうこつ)の中(なか)で俺(おれ)の名(な)を呼(よ)び、爪(つめ)を立(た)てて俺(おれ)の背中(せなか)に愛(あい)の証(あかし)を刻(きざ)む。


 獣人(じゅうじん)特有(とくゆう)の感度(かんど)の高(たか)さは、俺(おれ)の技巧(ぎこう)を何倍(なんばい)にも増幅(ぞうふく)させ、彼女(かのじょ)の理性(りせい)を完全(かんぜん)に焼(や)き尽(つ)くした。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の腰(こし)を抱(だ)き寄(よ)せ、深(ふか)く、ゆっくりと一(ひと)つになる。


 その瞬間(しゅんかん)、彼女(かのじょ)の中(なか)から溢(あふ)れ出(だ)したのは、ウルフ族(ぞく)が守(まも)り抜(ぬ)いてきた膨大(ぼうだい)な「月(つき)の魔力(まりょく)」だった。


 二人(ふたり)の身体(からだ)が重(かさ)なり、愛撫(あいぶ)のたびに煌(きら)めく光(ひかり)の粒子(りゅうし)が洞窟内(どうくつない)に舞(ま)う。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の悦(よろこ)びを受(う)け入(い)れながら、その魔力(まりょく)を俺(おれ)のホストのスキルへと昇華(しょうか)させていく。


 彼女(かのじょ)が愛(あい)に溺(おぼ)れ、何度(なんど)も何度(なんど)も天(てん)へと突(つ)き上(あ)げられるたび、俺(おれ)の身体(からだ)にはより強(つよ)く、より深(ふか)い「守護(しゅご)の力(ちから)」と「聴覚(ちょうかく)の鋭敏(えいびん)さ」が宿(やど)っていった。


 ルナリスの青(あお)い瞳(ひとみ)が愛(あい)の熱(ねつ)で濁(にご)り、彼女(かのじょ)は俺(おれ)の胸(むね)に爪(つめ)を食(く)い込(こ)ませながら、最後(さいご)の一撃(いちげき)と共(とも)に獣人(じゅうじん)の本能(ほんのう)を爆発(ばくはつ)させた。


 洞窟全体(どうくつぜんたい)が甘(あま)い吐息(といき)に満(み)たされ、静寂(せいじゃく)が戻(もど)った頃(ころ)には、ルナリスは俺(おれ)の腕(うで)の中(なか)で、幸福感(こうふくかん)に浸(ひた)りきって微睡(まどろ)んでいた。


彼女(かのじょ)はうっすらと目(め)を開(あ)け、とろけるような微笑(ほほえ)みを俺(おれ)に返(かえ)した。


 牙(きば)の森(もり)での宴(うたげ)は、まだ終(お)わらない。


 俺(おれ)という新(あら)たな王(おう)を迎(むか)えた獣人(じゅうじん)たちの祝祭(しゅくさい)は、夜明(よあ)けまで続(つづ)いていくのだ。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)を抱(だ)き上(あ)げ、戦利品(せんりひん)を抱(かか)える王(おう)のような気分(きぶん)で、洞窟(どうくつ)の入口(いりぐち)へと歩(ある)き出(だ)した。

 

 ルナリスの肌(はだ)は、まだ余韻(よいん)で薄(うす)っすらと桃色(ももいろ)に染(そ)まっていた。


 彼女(かのじょ)の吐息(といき)が俺(おれ)の胸元(むなもと)で柔(やわ)らかく弾(はじ)け、その度(たび)に俺(おれ)の心(こころ)には、獣人(じゅうじん)の純粋(じゅんすい)な献身(けんしん)が流(なが)れ込(こ)んでくる。


「……シオン様(さま)、私(わたし)……貴方様(あなたさま)との契(ちぎ)りを通(つう)じて、自分(じぶん)が今(いま)まで感(かん)じたことのないほど、自分(じぶん)という存在(そんざい)が満(み)たされていくのが分(わ)かります」


 ルナリスは俺(おれ)の胸(むね)に頬(ほお)をすり寄(よ)せ、子猫(こねこ)のように甘(あま)えた声(こえ)で囁(ささや)いた。


 彼女(かのじょ)にとって、この夜(よる)は単(たん)なる一夜(いちや)の交(まじ)わりではない。


 一族(いちぞく)の未来(みらい)を背負(せお)った巫女(みこ)のような存在(そんざい)である彼女(かのじょ)が、俺(おれ)という外(そと)の世界(せかい)の男(おとこ)に、その全(すべ)ての聖(せい)なる力(ちから)を捧(ささ)げたのだ。


 彼女(かのじょ)の青(あお)い瞳(ひとみ)が、深(ふか)い愛情(あいじょう)と畏敬(いけい)の念(ねん)で俺(おれ)を映(うつ)し出(だ)している。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の白銀(はくぎん)の髪(かみ)を優(やさ)しく梳(す)きながら、ホストとして、そしてこの獣人(じゅうじん)たちの新(あたら)しい支配者(しはいしゃ)として、さらなる愉悦(ゆえつ)の演出(えんしゅつ)を考(かんが)えた。


 この絆(きずな)を単(たん)なる関係(かんけい)で終(お)わらせるつもりはない。


 俺(おれ)は彼女(かのじょ)の耳元(みみもと)で、さらに禁断(きんだん)の言葉(ことば)を紡(つむ)ぐ。


「ルナリス、君(きみ)の力(ちから)はもう俺(おれ)と共(とも)にある。これから始(はじ)まる俺(おれ)たちの旅路(たびじ)で、君(きみ)のその月(つき)のような美(うつく)しさと、内(うち)に秘(ひ)めた激(はげ)しい情熱(じょうねつ)を、俺(おれ)の傍(かたわ)らで存分(ぞんぶん)に見(み)せつけてくれ。……俺(おれ)が君(きみ)を、世界(せかい)で一番(いちばん)贅沢(ぜいたく)な女(おんな)にしてやる」


 俺(おれ)の言葉(ことば)に、彼女(かのじょ)は目(め)を見開(みひら)き、そして震(ふる)えるほどの喜(よろこ)びを顔(かお)いっぱいに浮(う)かべた。


 彼女(かのじょ)にとって、俺(おれ)の承認(しょうにん)こそが、獣人(じゅうじん)として、そして一人(ひとり)の女(おんな)としての最高(さいこう)の栄誉(えいよ)なのだ。


 洞窟(どうくつ)の中(なか)に、二人(ふたり)の幸福(こうふく)な笑(わら)い声(ごえ)が静(しず)かに溶(と)けていく。


 ふと、洞窟(どうくつ)の外(そと)からガレウスの力強(ちからづよ)い呼(よ)びかけが聞(き)こえてきた。


「シオンよ! 宴(うたげ)の酒(さけ)がもうすぐ尽(つ)きるぞ! 最高(さいこう)の夜(よる)を、もっと楽(たの)しもうではないか!」


 俺(おれ)はルナリスを優(やさ)しく下(お)ろし、彼女(かのじょ)の衣(ころも)を整(ととの)えてやった。


 彼女(かのじょ)は少(すこ)し名残惜(なごりお)しそうにしながらも、凛(りん)とした表情(ひょうじょう)を取(と)り戻(もど)し、俺(おれ)の横(よこ)に並(なら)んだ。


 その瞳(ひとみ)には、もはや迷(まよ)いはない。


 俺(おれ)という絶対的(ぜったいてき)な主人(しゅじん)の背中(せなか)を、誇(ほこ)らしげに見(み)つめている。


 俺(おれ)たちは再(ふたた)び、焚(た)き火(び)の光(ひかり)が踊(おど)る広場(ひろば)へと足(あし)を踏(ふ)み入(い)れた。


 俺(おれ)たちの登場(とうじょう)に、獣人(じゅうじん)たちが一斉(いっせい)に歓声(かんせい)を上(あ)げる。


 レオナが俺(おれ)を見(み)つけると、少(すこ)しだけ悔(くや)しそうな、しかし隠(かく)しきれない愛情(あいじょう)を込(こ)めた表情(ひょうじょう)で駆(か)け寄(よ)ってきた。


「おかえりなさい、シオン。……ルナリス、顔色(かおいろ)がとてもいいわね。さては、良(よ)い時間(じかん)を過(す)ごしたようね?」


 レオナはルナリスの肩(かた)を抱(だ)き、獣人(じゅうじん)らしい姉妹(しまい)のような親愛(しんあい)を見(み)せつつ、俺(おれ)に対(たい)しては挑戦的(ちょうせんてき)な視線(しせん)を送(おく)る。


 俺(おれ)はそんな二人(ふたり)の美女(びじょ)を両脇(りょうわき)に従(したが)え、手(て)にした獣人酒(じゅうじんしゅ)の杯(さかずき)を高々(たかだか)と掲(かか)げた。


「ガレウス、レオナ。今夜(こんや)の宴(うたげ)は、俺(おれ)にとって忘(わす)れられない最高(さいこう)の夜(よる)だ。この森(もり)の獣人(じゅうじん)たちの魂(たましい)、そして君(きみ)たちの温(ぬく)もり……すべて俺(おれ)の心(こころ)に刻(きざ)み込(こ)んだ」


 俺(おれ)の宣言(せんげん)に、宴(うたげ)はさらに激(はげ)しく盛(も)り上(あ)がる。


 獣人酒(じゅうじんしゅ)の樽(たる)が次々(つぎつぎ)と開(あ)けられ、歌声(うたごえ)が森(もり)の頂(いただき)へと駆(か)け上(あ)がっていく。


第(だい)22話(わ)へ続(つづ)く



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