第58話「時間停止コインパス」佐々木さんが創造した、チート級の「アメ」
家から出ると皆はもう起きていて大きな鍋にスープを作っていた。
「おはようございます。大魔導師様、勇者様、ノッテ様、カリク様。昨日は村を守って下さりありがとうございました。」
村長が深々と頭を下げると、皆がその場で頭を下げて口々に感謝の言葉を言う。
「ううん。皆はもう仲間だから。他人行儀やめて。」
「では、セキヤ様、ササキ様とお呼びします。」
「違うよ。僕アオ。勇者アオ。」
「へへ。私魔導師りお。よろしくね。」
うおおと歓声が上がり、皆からリオアオコールが。そこへ愛陽と永遠が声を揃えて天の声。
『先取り報酬 イベントアトソーヌ仲間宣言 アトソーヌ運営権 称号 アトソーヌの守護者』
息ぴったりか!!
大歓声である。
その後皆でわいわいスープを分け合って、村の外にあった凍ったウルフの死体をインベントリに目視収納し、解体した。
佐々木さんが解凍魔法を使おうとしたけど私は止める。
「凍ったままできそうな気がする。」
私が解体スキルを使うとなんと凍ったまま解体できた。70あった魔石のうち30を村に、20ずつを私と佐々木さんで分け合った。
皮のなめしと毛皮の加工を一つずつやってみせると、錬金術を使える人員が練習したいと言うので皮は全て村に渡す事に。
ウルフ肉は美味しくないけど貴重な食料だ。
佐々木さんが臭い消しの為に秘蔵のアウトドアスパイスや赤い缶のカレー粉を出し、それをお手本にいくつか創造した。ウルフ肉は凍ったまま色んな厚みにスライス、漬け込んで水魔法で水分を抜く。
そのまま食べようとする村人を慌てて止めた。
「生肉ダメだよ!食中毒の危険がある!必ず火を通して!」
佐々木さんは創造魔法で村の端っこに燻製小屋を作り、しいたけ原木用のナラの木の枝を乾燥させてチップにして、ウルフ肉を熱燻した。本当は肉にはヒッコリーがいいのだけどペカンナッツも大切な食料なのだ。
これでそのまま食べられる。食料はいくらあっても足りないのだ!
ウルフチップスと、干し肉のレシピが出た!
塩味、カレー味、スパイシー、プレーンである。
私達はまた来ると言ってはじまりの部屋に戻った。
『莉緒さん、アオ、大型イベント進行中以外の時間は進むのでお気をつけて。』
そうなの?!めっちゃ衝撃の事実。
それと疎外感あるから私の事も莉緒って呼んでね。
『愛陽 絆アップ パーティ絆アップ』
「また村の人の戦闘訓練もしたいよね。今回ダメダメだったから。」
「アトソーヌを贔屓しちゃいけないからエーテーシーも何かの時の為に錬金術と魔法の訓練しときたいけどね。」
『その話も大事でござるが…もう現実逃避をやめるでござる。』
『どうするのかそろそろ決めましたか?』
「坂本さんと横井さんだよね…」
「アメトムチで操るとかいう話だよね。」
佐々木さんは私に向き直る。
「関屋さん、もし坂本さんを引き入れるなら彼の前では僕が君より権限がある様に見せた方が良い。横井さんは君の事が大好きだから本当の事言っても大丈夫なんだけど、坂本さんは君の事を大好きだからこそむしろ困るよね。」
ええ?!そうなの?!
「仲間に入れたら地球のパーティメンバーにもナビがつくの?」
『付きます。』
「じゃあナビに聞けば佐々木さんが主人公じゃないのは分かるよね?」
『地球ナビは異世界ナビより権限が少ないのです。私達が制限した情報を主にばらす事は例え抜け道をついてもできません。』
それから、愛陽は私にだけ伝えて来た。
『アオには伝えませんが、坂本隆二が秘匿事項を根気よく聞き出しナビの反応から予測する以外異世界の情報を知る手立てはありません。』
なるほど。
「バレない様に佐々木さんが上で統一しよ。坂本さんの事はお願いするね。」
「君も、僕を裏切らないでよ?」
「は?!裏切らないよ?」
『坂本はアオと違って大人の男でござるからな。』
「やめて?!僕それめっちゃ気にしてるの!!」
『幸いにも勇者という肩書きはリーダーのイメージがありますからね!絶対に気取られませんように!』
「じゃあ手始めにね、さっき報酬で手に入れた新しいレシピで彼と横井さんにとっておきのアメを与えるよ!」
佐々木さんはウルフの皮と魔石手に持ち、創造魔法と錬金術を使ってとんでもないものを作った!!
ウルフ革のコインパス 時間停止 容量大
「うわああああ!!凄い!!!私も作りたい!!!レシピ共有して!!」
「良いけど君には創造魔法無いから作れないよ?」
そう言って共有してくれた佐々木さんは私のスマホのグレーになった表示を覗き込み、一瞬、満足げに微笑むと、すぐ顔を上げ私の顔を見て至近距離でニヤリした。
「むーかーつーくー!!」
「ふはは。面白い顔。」
佐々木さんが私の頭をポフポフして笑いながら、まるで熱を冷ますように、サッと一歩離れた。むきゃー!子供扱いやめろwww
「勝ち誇んなし!!」
「ノッテもー!ノッテもポンポンしてー。」
「くぅーわうー。」
佐々木さんは急にくるりと振り返ると、ノッテとカリクの前に屈み込んだ。その耳元がほんのり赤い気がする。彼は満面の笑みでノッテとカリクをわしゃわしゃする。
「ノッテ、カリク、めっちゃ可愛い!めっちゃ大好きだよ!!ずっと一緒に居てね!!」
ノッテとカリクを二人一緒にぎゅうっと抱きしめた佐々木さんはとっても幸せそう。
『…告白されましたね。』
『でござるな…』
いやノッテとカリクがな!!!




