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第57話 夜明けの囁き。届かなかった唇と、深まる絆

目を覚ますと佐々木さんの腕が私の肩の上にあった。

彼は布団も被らず横で眠っていて、その佐々木さんの背中側にカリクが、お腹にノッテがまとわりついて眠っていた。

私が佐々木さんの腕をどかすと彼がうっすら目を開けた。


「あ、え。おはよ?」

「おはよ。アオ。」


彼はがばりと起き上がる。

「わ!うわ!!ごめん!何もしてないからね!」

「分かってるよ。昨日側にいてずっと声かけててくれてありがとう。私も強くなるから。アオにばっかり負担かけてごめん。」

佐々木さんはお腹にノッテをぶら下げたまま、まだ寝てる私を見下ろした。


『アオ 愛情アップ』


ごめん、愛陽、佐々木さん愛情告知無しで。

『分かりました。』


「違うよ。負担とか無い。ちゃんと村のみんなは勇者の僕が守るし、君もノッテも泣かなくて良い様に全部僕が頑張るからね。」


佐々木さんはぎこちなく笑う。そうして彼は作り笑いで私の髪に触れようとしたけど、私は起き上がる。

「わっ、ごめん。」

思ったよりも至近距離だったので佐々木さんは慌てて避ける。その勢いでノッテが佐々木さんのお腹から剥がれて膝の上に滑り落ちた。


「ちょ、ノッテ、降りて。」

佐々木さんが慌ててノッテを降ろすと、今度はカリクがのそりと佐々木さんの膝に寝そべった。珍しくヤキモチを妬いたらしい。張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。


「よしよしカリク。」

佐々木さんがインベントリからおやつを一個出して食べさせた。

皆で戯れてるけど、ここは真面目なシーンだぞ。


「だめだよ。皆で心まで強くならないと。私達は仲間だよ。アオは心の経験値独り占めしちゃだめ。」


私は佐々木さんの目をまっすぐ見つめた。

「私にもアオを支えさせて。」

佐々木さんはじっと私を見つめる。


「りお…。」


彼が私の肩に手を置いて、ほんの少しだけ顔を斜めに傾け恐る恐る近付こうとする。私も佐々木さんに向かって少しだけ体を伸ばす素振りをした。

その時。


「ノッテもがんばるー。ないてごめー。」


「わ!ノッテ!」

ノッテはカリクの背中に飛び乗って私との間に割り込み、佐々木さんにしがみついた。

「キャウン」

「カリクごめー。いたかったねー。ごめー。」

ノッテは飛び降りてカリクの背中を撫でた。

佐々木さんは苦笑する。

「ノッテ。ありがとう。昨日は難しい事頼んでごめんよ。」

「にゃー。」


「わう。」

カリクは佐々木さんから離れて私の隣に来て伏せた。私はカリクを撫でる。

「カリクもありがとう。無理しないでね。ちゃんと私の事も頼ってよ?カリク。」

「くぅん。」


「嬉しいのも辛いのも全部皆で分け合おう。」

「うん。分け合お。ありがと。りお。」

「ぎゅーしよー!なかまー。」

ノッテが右腕で私を、左腕で佐々木さんを抱くと、その向い側にカリクがお座りしたので私も同じ様にノッテとカリクを抱く。

「仲間だよ。りお、ノッテ、カリク。」

佐々木さんがノッテとカリクごと私の肩を抱いた。


『報酬 パーティ絆アップ カリク思念伝達』


寝ている間に何かイベントが出ていたみたいだ。

この仲間としての絆が 最大の報酬だ。


「カリク嬉しいね。良かったね。」

「わう。」

カリクからぼんやりと嬉しい、仲間、と伝わってきた。私も嬉しいよカリク。

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