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第41話 「私がやります。暇なので」5万円で副会長代理!

マンション自治会は一階多目的室だ。

来るといつものメンバー。

3階横井さん、2階川口さん、1階江本さん、8階の私と管理人代理の佐々木さん、だが会長と副会長が来ていない。

「失礼」

佐々木さんは何やら慌てて外に出た。


その間も続々と住人は集まって来る。

4階吉田さん、5階鈴木さん、6階柏木さん、7階坂本さん。9階松田さん、10階米田さんだ。


「あ、関屋さんこんばんは」

「こんばんは。坂本さん」

ええ?私あの時名乗ってないよね?

『莉緒さんは有名人ですからね』

ええ?なんかやだそれ。


久々に見た坂本さんは相変わらず私好みの顔だ。今日はサイクリングファッションでは無いので余計にイケメンが際立つ。

彼は黒髪なのに私みたいに重たくなくて抜け感がある良い感じの髪色でとっても羨ましい。これは地毛なのか一度抜いて染めているのか??目の色もちょっとだけ明るい気がする。実に羨ましい!

服装は黒のジャケット黒のスラックスに白シャツという至って普通の格好だが大人っぽい。はっ!チラッと見えた高そうな時計!

私が彼の顔をじっと見つめていると、彼は好奇心に満ちた視線を返してきた。


『あまりガン見しない方が良いかと。勘違いされますよ?ちなみにあのスポーツウォッチはそんな高くはないですね。7万といったところでしょうか』

いや7万は高いだろ!!

『高い時計の基準を改めるべきです。正しく価値を知り見る目を養う事は必要です』


そこへ佐々木さんが戻って来た。

「なんでも会長と副会長一緒に出かけて交通事故に遭ったと先程連絡が来まして。今日のところは僕が会長代理になりました」

と佐々木さん。

会長も副会長も奥さんが居なくて一人なんだそうな。だから欠席。


「じゃあ、書記と会計と副会長代理を決めましょう。くじ引きでいいですか?立候補あります?」

まさかのくじ引きとか!

『イベント 副会長代理に立候補しよう 報酬 5万円』

まじか!!金で釣って来る感じか!!!

「じゃあ私やります。暇なので」

「えっ!関屋さんやってくれるんですか?!」

佐々木さんの方にはイベントは出ていないらしく相当驚いている。


だって代理でしょ?来月帰って来るかも知れないし。今日一日で5万円もらえる可能性ありだよ。

勇気ある立候補にめっちゃ拍手が来る。

だってここで代理に立候補したら絶対に書記や会計にならなくて良いんだよ?!


「え、関屋さん大丈夫?心の病だと聞いたし、無理をしない方が良いんじゃない?」

横井さんがぶっ込んでくる。誰が言ったんだよそんな事!佐々木!お前か!!私が睨むと佐々木さんは慌てて首を振る。坂本さんは私達を見て生温い目で微笑んだ。その目をやめろ。

なんだその私たちの痴話喧嘩を楽しんでるみたいなその顔!


「根も葉もない噂です。至って元気ですよ?私はこの中で一番暇そうだから立候補しました」

「そうなの?先日も倒れたし、拒食症だって噂もあるし、具合悪いならくれぐれも無理しないで。私あなたが心配で。あなたはそれ以上痩せなくて良いのよ?」

横井さんが大袈裟に私に言う。噂の元凶がわざとらしい。私はため息を吐きかけてやめ、笑顔で言った。


「倒れたのは事実ですが、心の病は嘘ですよ。拒食症も嘘ですね。どうやら私は嫌われているらしくて変な噂が多いんです。この機会にマンションの為に貢献して挽回しておかないと」

そう言って川口さん江本さんにも笑いかける。


「嘘の噂も多いんですね。会ってみたら普通の人で安心しました」

可愛らしい系女子、柏木さんがニッコリ笑って言う。ちょ、柏木さんとか初対面の人なんですけど何で私の事知ってるんですか?怖いんですけど!


「私達は倒れた事しか話してないわよ?嫌ってはないからね?」

江本さんが慌てて弁明する。

「あの日ニートの噂を信じてきつい事言って本当にごめんなさい。あなたはちゃんと在宅ワークしてるのだものね。これからは噂を信じない様にするわ」

川口さんが頭を下げて謝罪した。江本さんは川口さんの横で、不機嫌そうにしぶしぶ頭を下げた。ニートは事実だけど私はあえて訂正しない。


「まあ、僕も親のすねかじりだとは言われてますけど管理人代理は副業ですからね?ほんと在宅ワークは理解されづらいです」

佐々木さんが乗っかってくる。


「俺も謎のニートだとか親の遺産で遊んで暮らしているとか好き勝手言われてますからね。ちなみに両親とも生きてます」

坂本さんが笑った。いや坂本さんも結構酷い噂だな!

でも噂を笑って受け流すこの大人の余裕!クール系大人イケメン魅力天元突破である。やばい。何だこの充足感は!!

あれ?愛陽?ちょ、ツッコミ待ちだよ?


「坂本さんも佐々木さんもごめんなさい。これからは噂を信じない様にするわ」

横井さんは皆の前で頭を下げて謝罪した。

『報酬 イベント噂の否定 自治会メンバー好感度アップ』

はあ?!今の一連の流れイベントだったの?


くじ引きで書記は柏木みつきさん、会計は坂本隆二さんに決まった。柏木さんは19歳フリーター。親が忙しいので彼女が自治会の仕事をするという。鑑定によると坂本さんは佐々木さん江口さんと同じく24歳。本人曰く一人暮らしで在宅ワーク。仕事大好きで、時々気晴らしに自転車で出掛けるぐらいだから謎のニートと噂が立ったのだと明るく笑った。こんなとこに住めるのだからそこそこ稼ぎはありそうだ。


『報酬 副会長代理に立候補しよう 5万円 自治会メンバー好感度大幅アップ』


市報と回覧板、防災マップと連絡先、お土産と自治会員証を貰って、役職無しのみ帰る。


このお土産、洗剤やラップ、ゴミ袋やスポンジを貰える。ようは一年間自治会頑張れって事だ。それは佐々木さんのパパンの知り合いに頼んで買ってるらしいよ。

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