第34話 気付け!家よりも発言が地雷だ!
あれからしばらく経つ。明日から4月だ。
二人でちゃぶ台に向かい合ってせっせと領収書作りに勤しむ。テーブルには錬金術で淹れたコーヒーと、あのチーズケーキ。
「関屋さんがチーズケーキ作ってくれるなんてめっちゃ嬉しい。自分で作らなくて良かった」
「今度二人で乳搾りに行こうよ。楽しいよ」
雑談しながら使った食材から不自然にならない程度の金額を領収書に。多めに作っておこう。
「予算が余ったや~つ」
私はついついCMソングを歌ってしまう。
「関屋さん、ここでその歌はやめよう。スーパーが再現されてしまう」
だってほんとに予算余ったんだもん。
私は父親からの食費をインベントリにしまう。たんす預金というやつだ。
「少しは貯金した方がいいよ。君は働いていないから、車とか買いたくなった時困るだろ?」
急にお金が出てきたら贈与を疑われるか。
「車は別に欲しくないけど」
「車は必要だよ」
「飛べるのに?」
「監視カメラにうつるから地球で飛んじゃダメ!非常階段駆け下りもギリギリだからね!君は走るのが早すぎるの!」
怒られてしまった。
「運動は必要だよ」
「その分食べてね?君さ、痩せたのは故意じゃないとか言ってるけど絶対嘘でしょ。思考回路がダイエッターのそれだから。君カロリーとか栄養成分に詳しすぎるんだ。僕わかってるんだからね?」
いや、今の服を着てた頃は38キロだったけど、それは仕事のストレスのせいだ。一般的な体重に収まるならそれでいい。
「過度に痩せたいわけじゃないよ。一般的に痩せ型の方が好まれるから45以上にはなりたくないけどね」
ベスト体重は42だと思ってるがそれを言って過去に父親にめちゃくちゃ叱られたので言わない。
「それどこの一般論?!ちょいポチャの方が好きな男も結構いるよ?!」
「グラママラスなのがお好みですか。男の子ですね」
すると佐々木さんの顔が耳まで真っ赤になる。
「ちょ!卑猥な言い方やめて?!」
よしはぐらかせた。これ以上痩せたくはないがあまり太るのも嫌だもの。
彼はここに来てからずっと間取りを書いている。
「ねえ関屋さん、キッチンなんだけど」
彼は逐一仕様をどうするか聞いてくる。
「私間取りには詳しくないから」
「こういうのは日々の大部分を過ごす女性が決めるものらしいんだよ。うちのお袋はそう言ってた。一生の事なのに勝手に男が決めて建ててしまったら離婚案件だって」
いやいや、彼は一体何を言っているのか。
「それは結婚して地球で家を建てる人の話でしょ?ここに建てる家はあとからいつでも錬金術で変更できるよ?」
「そうか。何なら地球の家も後から変更できるね。じゃあサプライズで建ててからプロポーズもありなのかな。ある県ではそうするとか昔テレビで見たけど、お袋はそれを地雷だと言うんだ」
というか母親とそういう話めっちゃしてるな。マザコンか?!
『アオはチート婚活の道をまっしぐらでござる!』
『彼は今人生の設計図を莉緒さんに承認してもらいたいだけです。彼の感情はオーバーフローしていますから、生温い目で見守ってあげましょう』
いやさすがにおかしいだろ。
とりあえず目を覚まさせないと、出会って一か月未満で結婚はさすがにない。
「誰にプロポーズするのか知らないけど、やっぱり家は相手の人と決めた方がいいよ。大切な事を相談無しで勝手に決める人と結婚するのは節目節目で喧嘩になる可能性があるから不安になるかも。それにそのお相手に創造魔法の事言う訳にいかないでしょ?」
「ねえ関屋さん僕ね……」
佐々木さんは私を見て驚愕の顔をした。
「え、ちょっと何その顔。何でひいてるの?」
むしろ何故ひいている理由が分からないのか。彼の未来のお嫁さんのために結構地雷発言をしていると一応指摘してあげる。
「いや、マザコン発言著しいなと思って」




