第31話 CM詠唱でプールどーん!承認欲求が生む創造魔法
しばらく佐々木さんは興奮しながら自分に治癒をかけたりして練習していたが、我に返って制作作業に戻る。
今度はタブレットに錬金術を使い、カリクが水の上を走り回り、結界を張って雷を放つ映像を作った。
皆でプールからあがりクリーンをかけ結界を張る。
「カリク、これ見て。地球では無理だけど、ここでならお前はこれができるんだ」
佐々木さんは映像を見せながらカリクに話しかける。
「プールに向かってやってみて。僕らに当てちゃダメだよ?機械類にも絶対当てちゃダメ」
あおーーーーん!
カリクの遠吠えとともに凄まじい雷がプールに落ちた。
「まじか!プールが壊れた!直さないと!」
「待ってー!!僕に直させてーー!!」
佐々木さんが走ってくる。
「整地!!!かーらーのー!!!」
何故か佐々木さんがえらい興奮しておる。
佐々木さんの口から、いつもと違う声が紡がれた。
「あなたが求めるものはなんですか?」
そして佐々木さんのキメ顔。
「例えば水。澄みきった爽やかなウオーター」
ぶっは。佐々木さん。何その声。
どどーーん!!!
なんということでしょう!
目の前にはスポーツクラブさながらの50メートルプールが!!鑑定すると、なんと温水プールなのだ!適度な温度と清潔さが保たれるらしい。
「やばい!佐々木さん!!出てくるもののグレード上がった!」
「詠唱の長さかも知れない」
「待ってあれ詠唱なの?!じゃあ最後まで言えば例のスポーツクラブも再現されるかも!」
私が爆笑しながら冗談を言うと佐々木さんは続けて詠唱しだした。
ちょ、何で知ってるの。そのCMもう放映してない
何故材料が一切ないのに再現されたのかは謎だし、行った事は無いので正しいのかは知らないが、一部再現された。だが箱ではなく、ジム部分はまるで撮影セットだ。二面しか壁が無いのだ。はっ!トイレだ!!男女別個室トイレがあるぞ!!これでいちいち家に帰らなくて済む!!
「佐々木さんあれよく全部覚えてたねえ。私達生まれてないでしょ」
「やばいwwもうこれ魔法というか、錬金術も超えて創造魔法の域でしょ」
キラッキラの目である!彼は自分のチートが現実を変える力を持っている事に興奮しているのだ。
あっ!出たよ創造魔法!!共有不可だって。CMをネットで調べて必死で覚えた甲斐があった」
なんだって!共有不可だって?!?!
CMは、ネタ的には親世代がたまに言うので知ってたけど、私達は例えば水までしか知らなかったはずだ。地元で有名なのは誰に聞いてもそのフレーズだけだからだ。
ここのプールを見て初めてスポーツクラブのCMだと知った佐々木さんが興味を持ちインターネットで調べた。でも映像が良くない。それがどうしても許せなくて佐々木さんはクリアな映像をCG(錬金術)で作り直し、佐々木さんの声を入れて朝から親にこれを見せたらバカウケしたんだそうだ。
彼は元ネタを知らない私に、自分が作った動画と元ネタ並べて同時再生して見せてくれた。
あえて見ればCGとは分かる様に作ってあるが再現度よ。
親はあまりにウケて絶賛した。映像の仕事に理解の無かった親が自分の腕を認めてくれたのが嬉しくなって動画配信したらしい。今佐々木さんの作ったネタ映像がインターネットで流れているという。著作権大丈夫か?!
ていうかこんなネタ動画を夜を徹して作ってたとかめっちゃひく。
『作ったのはこの映像だけではないでござるよ!?』
「やばい!ちょい仮眠してから行こ!このまま戦ったら死ぬ」
佐々木さんが笑いながら言った。
「うん。そだね」
不必要に明るい声なのは、気を遣ってくれてるからだ。お昼寝は二度もしたし、別に何も疑ってないのに。
「関屋さん、僕あっちで寝てくる。2時間だけ眠らせてね!関屋さんも眠った方が良いよ?」
佐々木さんはめっちゃ明るく言ってスポーツジムにある休憩用の長椅子に横になった。
頭の下に腕を敷き、足を組むと、すぐ寝息が聞こえて来た。
「秒で寝るの特技なの?」
まるであのキャラクターみたいな寝姿。
『仮眠魔法を作ったみたいですね』
仮眠魔法とかどうやって映像化した!
『国民的アニメのキャラクターを参考にしたみたいです。それに細かく条件付けして設定資料を作り、イメージしやすい様に自分の容姿で眠っている動画にした様で、こちらは非公開ですね。永遠曰く0.93秒で眠れるのだとか』
「ええ。ずるい」
佐々木さんは寝返りを打った。一度眠ればあのポーズを解いても大丈夫みたいだ。
『近くに行って観察すれば多分覚えますよ?』
「それは嫌」
『莉緒さんの容姿で寝ている動画を作ってもらいますか?』
「それも嫌!」
私はテーブルの横に置いてあった部屋から持って来た布団に入った。
「おやすみ。ノッテ、カリク、あなたたちも寝なよ?」
カリクは佐々木さんが寝ている長椅子の横に行き、少し眺めたと思うと伏せて目を閉じた。
「りおいっしょねるー」
私が布団をあけるとノッテが入って来た。
「アオのニオイー。すきー」
私はクリーンした。
「ふにゃー。なんでー」
私はちょっとウトウトしてくる。
『報酬 皆で仮眠 睡眠コンサルタント資格 カリク好感度大幅アップ』
また謎の資格を得た。
※この物語はフィクションです。実在する団体、サービスとは関係ありません。検索しても出ません。多分。




