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第六話 連行

「つ、いて、きて、もら、う」


宇宙人はそう言った。

教室の端に降り注ぐ光の柱が一層強い輝きを放った。


その柱の中にいる私からは、周囲が眩しすぎてもうほとんど何も見えなくなった。


椅子に座っている感覚が急に無くなった。

ふわ、と私の身体は宙に浮いていた。


ぐんぐんと上昇していく。

皆が下の方に見える。

光り輝く視界の中で全員がこちらを見上げているような気配がした。


もう天井につくんじゃないかという高さまで上がって、まだぐんぐん上昇していく。

空気の抵抗がある気はしない。

しかしど上昇する速度もどんどん上がっている気がする。


そして数秒間その奇妙な感覚に耐えたあと、上昇していく慣性がふっと途切れた。


直後、ずどん、とお尻が固い床にぶつかる感触がした。

視界のまばゆい光は徐々にその光量を落としていく。

なにやら部屋のような場所にいるのがわかって、それが自分の勉強部屋ぐらいの大きさであること、

そして部屋の壁が一面白色であることが認識できた。

私の身体を包む光はほとんど消え失せた。


改めてあたりを見回す。

真っ白な部屋だ。大きな正方形のタイルを敷き詰めたような床や壁。とても簡素だった。

私はその部屋の中心でしりもちをついている。

空調の音が僅かにする。

匂いはない。

隣を見ると、私をここに連れて来た宇宙人がいる。


私の座高よりはさすがに宇宙人の身長のほうが高く、直立している彼は座っている私の方を見下ろしていた。

黒く大きな瞳に意識が引っ張られる。


「つ、れて、きた」

宇宙人は小ぶりな唇を小さく動かしてそう言った。


連れてこられた。

「どこに?」

「われ、わ、れの宇宙探査機」


なるほど。

私は宇宙人の方に体を向け、正座の姿勢で彼(彼女?)の話を聞く。


「あ、なた、わたしたちの、たから、たべた」


たから、宝。

ひょっとしなくても、あの銀杏みたいな粒のことだ。

突然空からふってきて不思議には思ったのだけれど、近くにあるどこかの木から飛ばされてきたのかと思って食べてしまった。


「あれは何だったの?」

「そ、れは、ひみつ」


なんだ、秘密か。しかし秘密では納得がいかない。


「どうして秘密なの?」

「そ、れは、いえない」


言えないらしい。


「あれを、あなた、の、はらのなかからとり、だす。その、ために、われわれの、わくせいまで、きて、もらう」


ということで、正式に他の星に行くことが決まったようだった。


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