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さて港から村に移動中のコウキ達は二日目をむかえていた。何度か移動しているコウキではあるが今回は整備されているためかなり快適な旅になっている。移動の時間がもったいないので移動中にもこれからやる事を決めていた。
「なぁハシヒメ」
「どうしましたかコウキ様?」
「今この村には700人近い人が生活しているわけなんだが今はゴルドからの支援と村で育てた野菜によって何とか食糧が保たれているわけだ」
「そうですねゴルド様からはかなりの量を支援いただいてありがたいですね」
「確かにかなりゴルドには支えて貰っているなしかしこれからはしっかりと自分達で食糧を作らなければいけないと思っているんだ。」
「はい全力でお手伝いさせて頂きますよ家に畑まであれば幸せですね」
「そこでだハシヒメ一世帯当たりどれだけの畑があればいいと思う?」
「そうですね一般的な畑では麦はだいたい半年ほどで収穫できると言われていますから春から育て始めたとしても収穫までかなり時間が掛かると思います。それからまた冬に備えて備蓄もしないといけませんからやはりかなりの広さは必要になるのではないかと」
「そっかなるほどなふむふむ」
ハシヒメの考察は最もな事だろうと思う。いきなり人口が倍以上に増えたのだ。リザードマンの皆は既に魚を取り食糧を確保してくれているから助かっているがドワーフの皆にはまだ我慢してもらっている。ただこの島は魔力が濃いらしく作物は早く大きく育つため作り出せば一気に備蓄出来るだろう。それにコウキとしては麦だけでなく稲も作る予定である。米の存在が広まればかなりの余裕が生まれる事だろう。獣人の皆はかなりの大食いだからな。まぁ春になって作り出せば何とかなるだろう。
それからコウキは色々と考えながらもう一日かけて村に着いたのだった。
「いやーついたね皆お疲れ様アレク達は戻ってくれていいよ俺はヒート達の所に案内するからさ」
「分かりました私は報告があるのでお供しますお前たちは荷物を片付けて今日は休んでくれていいぞもちろん訓練していてもいいぞ」
「はーい」
アレクの指示に隊員達は退散していった。少し雰囲気が緩んでいたがアレクは見逃していたようだ。たまには休息させるのもいいのかもしれない。親衛隊の皆が解散した後コウキ達は皆を連れて会議室の方に向かった。中ではジンが事務作業をしていた。
「さしぶりジン帰って来たぞそれと移住組の皆も連れてきた」
「お久しぶりですコウキさん是非紹介してください」
ジンは手を止めてこっちに来てくれた。コウキとアレクは皆を紹介していく。手前にいるのがドワーフの代表の奥さんでフーレその横に技術班で職人のグロッテ次にリザードマンの二人戦士のフロスとストーム最後にコウキの秘書として働いてくれているハシヒメという順に紹介をしていった。ジンは一人ひとり丁寧にあいさつを交わしてくれていた。こういう時にヒートは雑なのでジンの対応は凄く助かる。
「さてみんなジンとの顔見せも終わったわけだが皆はどうするんだ?」
村では一ヶ月ほど滞在するため皆の予定を確認していく。フーレはステラと色々お話したり婦人会の皆と交流を持ちたいらしい。グロッテはとりあえず村を見て回った後ヘイゼル工房で作業を手伝いたいと言っている。リザードマンの二人はこっちの訓練に混ざるそうだ。こっちにいる戦士たちは中々に強力な奴らがいる。ヒートを中心に毎日獣人の皆は鍛え上げられているため全員が歴戦の戦士だ。また鬼人族は魔法も駆使して多才な攻めで相手を一気に殲滅するかなり強力な部隊となっている。フロスとストームは強い奴らと戦えることがかなり楽しみらしい。
「まぁ今日は何もなしだ疲れを取るためにもゆっくりしようか皆解散」
ひとまず二日半ほどかけて移動してきたため疲れも溜まっているため休憩も必要だろう。フーレはステラに用事がありハシヒメは俺について行くと言っているので一緒に家に帰る事にした。家に戻るとステラは外に出ているようだ。多分ヘイゼルとバロメのお世話だろう。お腹も大きいしそろそろ出産の時期だろうから世話も大変そうだ。
「とりあえず二人ともゆっくりしてくれ家の中にあるものなら自由に使っていいよ」
コウキは蜻蛉切を壁に立てるとキッチン兼リビングの椅子に座りのんびりしていた。フーレは慣れた手つきでお茶を入れてハシヒメは落ち着きなくソワソワしていた。三人で他愛のない会話をしながら時間をつぶしているとステラが家に帰って来た。しかも鬼人族の女の子ハナと一緒にだ。二人はすっかりなじみなんだか親子みたいだ。
「お帰りステラなんだがお母さんみたいだな」
「何言ってるのよコウキくんあら二人も来ていたのねご苦労様」
「フーレはステラに会いたがってるから連れてきたよそれにハナちゃんも元気だった?」
「はいコウキ様」
初めて会った時はかなり暗い印象だったが今ではしっかりと会話できるようにまでなっていた。素晴らしい変化だ。それからステラと皆でお話をしながら過ごした。夜になるとフーレとハシヒメは出ていった。空き家を宿のようにして使ってもらうことになっている。
皆が帰った後コウキはリュディアの洞窟に来ていた。さしぶりに顔を出しておかないと怒られるからね。部屋をノックすると返事が返って来た。中に入るとリュディアは相変わらずな感じだった。
「やぁリュディアさしぶり元気だったかい?」
「さしぶりじゃなコウキよおかげ様でことしの冬は快適に過ごさせてもらったぞ」
リュディアの部屋はコウキが試験的に作った暖房によって温度が一定の暖かさに保たれておりかなり快適な部屋になっていた。コウキとしても喜んでくれているのならば作ったかいがあったというものだ。それからコウキはリュディアと港に行くまでに戦った海竜の話や温泉の話などして過ごした。リュディアはアラクネのため温泉に入れるのか分からないがもし入れるのなら是非入ってもらいたい。
「そうじゃコウキよおぬし中々やるではないか見直したぞ」
「ん?なんの話だよ急に」
「なんじゃそちステラから何も聞いておらんのか?」
「ステラ?世間話はしたけど特に驚くようなことはなかっぞ」
「そうかではわらわから少しだけ教えておいてやろうステラ最近体の入れ替わりが無いようじゃぞ」
「入れ替わりってなんだよ」
「知らんのか無知ほど怖い物はないと言うが入れ替わりとはな女が命を宿すために定期的に来るものじゃそれがないということは体を新しくする必要がないということじゃ」
「え⁉それってもしかして」
「これ以上は語るまいよはよう家に戻ってやらんか」
リュディアの話から察するに入れ替わりとは女性に起きる辛い日の事だろう。それがないということは…コウキは急いで家に帰った。ハナも夜になると鬼人族がすむ所に帰るらしく家にはステラ以外いないのだが
「ステラ聞いたよリュディアから」
「お帰りコウキくん聞いたのね子供出来たかもしれないわ」
コウキとステラは既に夫婦になっていたため当然行為もあったわけだがまさかこんなにすぐに発展するとは考えてもいなかった。今まで実感があまりなかったがいよいよコウキは家族を持つ自覚をしなければいけない。
「なんで言ってくれなかったんだよびっくりしたぞ」
「コウキくんを驚かせようと思ってね少し待ってたのよそれに一人で寂しかったもの」
ステラの話にコウキは心が痛くなった。港が出来たあたりでいったん帰っても良かったのだがなんだかんだ伸びてしまっていた。その間ステラには一人で頑張って貰っていたのだ。まだ体系に変化もみられていなかったため全然気が付かなかった。
「ごめんなステラ決めたよ俺はもうステラの所から離れないからなるべく負担もかけないようにするからステラは隊長に気おつけて頑張ってくれ」
「ありがとコウキくんそうするわ」
コウキはステラの体を支えながらベッドまで連れて行ってあげた。夜更かしも行く無いからな。さて村に帰ってきてからビックニュースが舞い込んできたわけだがそうなるとやはり今後について真剣に考えなければならないと思った。




