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アリスは三人を連れて目的地に向かっていた。
「ねぇねぇアリスちゃんちょっといいかな」
「はいえーと…」
「あっ!ごめん私はチカ鬼人族の村を守っていたわよろしくこっちがハシヒメ様村の長の娘でこっちがスズ私の元で一緒に鍛えていたわ」
「ハシヒメですよろしくお願いします」
「スズよよろしく」
「私はアリスウェアトーガです三人ともよろしくお願いします」
アリスが緊張しながら三人を案内しているとチカがアリスの様子に気が付いたのか話しかけてきた。
「アリスちゃんは戦士なのねその名前たしかティファニーさんと同じだけど」
「はい母です。父は海兵隊の将軍をしています」
「そっかてことはアリスちゃんも強いんだいい獲物持ってるもんね」
チカはアリスが腰に下げている二振りの獲物を見抜いていた。それはコウキが鍛え上げた双剣で魔剣であった。
「あぁこれですか見ますか?」
「いいのか是非見せてくれ」
アリスは剣を一振り抜いて見せる。チカは剣を受け取ると刃を慎重に見た。波紋から色長さ色々見ていった。
「これは素晴らしい業物だねこれを持っているということはアリスちゃんは相当優秀な騎士というわけだこれも名のある匠の作品なの?」
「ここまで立派な剣私にはまだ使いこなせていませんお恥ずかしい限りです。この剣はコウキさんに助けも求めた時に稽古をつけてくれてこの剣までいただきました。コウキさんには感謝しても感謝しきれません。凄い方です必ずやコウキさんの力になりたいと思っています」
そのままアリスはコウキと出会った時から今に至るまでを話していった。いかにコウキが凄い人間であるのか。とても熱く語ったおnだった。
「アリスちゃんはコウキ様が好きなのね。そんな出会い方をしたらしょうがないか」
「そんなコウキさんにはステラさんがいますし私なんて妹くらいにしかみられていません」
「そっかアリスちゃんはいい子だね」
チカの話にアリスは顔を真っ赤にしていた。恥ずかしそうにもじもじしている。
「それにしてもコウキ様は人種にしてはいい体格だとは思ったけどやっぱり強いのかそれに人格も優れていてこれほどの業物を作る技術も持っている。ドワーフの豪商が目を付けるわけだわ。あそこまででかい商会が逃げ落ちた鬼人族なんかに声をかけるはずないと思っていたけどコウキ様に取り入るためなら金も出すわけだ」
チカはずっと不思議に思っていたのだ。鬼人族は各地で傭兵として活動していたのだ。しかし傭兵として活躍しているのは男の方で女は普通に家庭に入り特に何かに突出しているわけではない。男が使えるから女も生活できるのだ。それが今回のエゥーズ大国のクーデターにより治安は悪化し男のほとんどは治安が悪化したと同時に出てきた盗賊との闘いで命を落としてしまった。男達は勇敢にたたかったがいかんせん人数が違い過ぎた。圧倒的な戦力差に負けてしまい。村の女子供は家を追われたのだ。つまり今の私達にあまり価値は無いのだ。それが助けられたわけだから不思議がるのも当然だ。
「コウキさんは純粋にこの島を発展させたいと思っていますし貴族のような野心もありませんから三人も安心してくださいね」
「それはどうかな」
「え?どういうことですか」
「野心はあると思うよ野心を持つことは大切な事さ。野心のない人間がここを発展させようなんて思わないさ。隣にあんなにきれいなお嫁さんがいるんだから野心のない人間なら二人で静かに生きればいいだろ」
「そんなコウキさんは悪い人じゃありませんよ」
チカの言葉を聞いたアリスはコウキが悪く言われていると思い少し苛立ちを感じてしまった。親衛隊の訓練では常に相手も読み分析しろと言われているがやはりアリスはこういう所は甘いのかもしれない。そんなアリスの雰囲気の変化にチカはすぐに反応する。
「ちょっと待ってアリスちゃん別にコウキ様を悪く言ってるんじゃないんだ」
「でも野心があるとか…」
「そうだなアリスちゃんは野心という言葉に悪いイメージがあるようだな。きっと悪い大人しか見ていないんだろうな」
それもそのはずである。アリスは第三王子の企てにより国を失い父は捉えられ死にかけていたのだ。野心家に第三王子のような印象を持っているアリスにとって野心があるとはつまりそういうことなのだ。
「あのなアリス良く聞いてくれな。野心っていうのはそうだなその人にとって成し遂げたい目標というかかなえたい目標みたいなものだ。人によっていい物にも悪い物にもなるんだ。かの大陸ジオストンの政府機関だって最初はバラバラの種族の若者が大国にしたいという野心の元に集まった者たちが作り上げたのが今の大国に繋がっているんだよつまり野心があるってことは向上心があるってことなんだよ」
「なるほどそういうことだったんですね勘違いしていました」
チカの必死の説得によりなんとかアリスは不機嫌を直してくれた。それになんとか胸をなでおろすチカであった。
「あのアリスさん私もお話したいのですが」
「もちろんですよハシヒメさんなんでも聞いてください」
「えっとステラさんとコウキ様は夫婦なのですよね」
「そうですねあの二人はとても仲がよく深い絆が生まれています。ステラさんが付けている首飾りだってコウキさんがステラさんのために送ったものなんですよとても綺麗で羨ましいです」
「あのルビーの首飾り結構いいものですよねいいですねそういうの憧れます」
「ですよねこの前もですね二人で出かけて…」
ハシヒメとの会話でアリスはテンションが上がり女子トークに花を咲かせながら目的地に向かって行くのであった。
一方コウキはドワーフの居住地に行く前にゴルドの元に訪れてた。次来る時に欲しいアイテムなど話あっていた。
「そうだゴルド砂糖が欲しいんだけどサトウキビの種が欲しいな」
「なるほどサトウキビですか分かりました用意しておきましょう」
「この島にもまだ何か自生しているかもしれないけど全部探していくわけにもいかないからな後何か香辛料なんかあればそっちも頼むよ」
「ではこちらで見繕って持って来ましょう次は春になると思います」
「春っていうとどれくらいかな」
「そうですね後一ヶ月もしない内に寒さも和らいできて新芽が見られるでしょうな」
「なるほどなかなり寒かったし雪も結構降るから冬は長いのかと思ったけど意外と早いんだな一年の半分くらい冬かと思ったよ」
コウキのイメージ的にはここは北欧くらいの気候なのかと思っていた。しかしここは神の作った魔法の世界なのだ。前の常識は通用しないようだ。幸いにも夏が日本ほど熱くないことが幸いなのだが良く考えてみれば温暖化によって気温が上がったって言われているし文明水準的にはこの世界では温暖化など無縁のはずなのでこれくらいなのかもしれない。
「半年も雪が降っていては生活ができませんぞコウキ様は面白い事をいう人だ」
「そうだなじゃ頼むよ次までに売れそうなもの色々用意しとくから」
「はいよろしくお願いします」
さてゴルドと話を終えたコウキはベーグの所に顔を出した。既にかなり整地されており建設が始まっていた。コウキはいったんドワーフの建築風景を見学していた。まず山肌を削り出し棚上にしてから壁に方に穴を空けていく。ある程度掘ると骨組みを中に組み壁を付けていた。
「なるほど半分山の中に埋めるような感じか分かったぞ」
ドワーフの建築の仕方を見るとコウキも手伝うためにベーグの元に向かった。魔法を使ってやればかなり早く出来るし強化も出来て安全性も上がるだろう。




