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ドゴォォォォォッ‼
海竜の先制攻撃を受け船全体が大きく揺さぶられた。衝撃はかなりのもので立っていられないほどだった。しかし海竜の攻撃は止まらない。
「次が来るぞ耐えろ‼」
すぐさま状況判断をして海竜の行動を見抜いたアレクは全体に聞こえるように叫び荷2撃目が来るのを知らせた。甲板にいた全員は咄嗟に近くにあったものに摑まりなんとか衝撃を耐えた。二発目はアレクが知らせたこともあり踏ん張る事が出来すぐさま反撃に移る。
「次が来る前に追い払うぞ隊員ボウガン構え‼………撃ってぇ‼」
アレクの指示に素早く反応した隊員たちは一斉に矢を装填するとアレクの指示で一斉に放った。矢は真っすぐ飛んで行き半分ほどが命中した。アレクは一瞬の時間で攻撃を分析する。高速で動く船と海竜に矢を半分も当てたのはかなりの制度で皆良く鍛えている。そして矢が当たった部分を見ると一本の矢が体に刺さり後は弾かれていた。
「なぜあの矢だけ刺さったんだ?」
アレクは深く考える。海竜は一本の矢にかなり痛がっていたが攻撃をやめるつもりはないようで次の行動に移っていた。
「二列陣形形成感覚を3空けたのち交互に矢を放て一発目以外の射撃は訓練どうりだ」
アレクの指示で12人の隊員は6人ずつに分かれていく。そして矢を構えた。一発目の指示が出されると交互に二発目三発目と打ち込んでいく。いくらコウキが開発した連射性の高いボウガンとはいえ装填する時間はかかるその隙を埋めるために二つに分けて途切れることなく矢を打ち込んでいった。矢は次々に命中していき海竜もかなり痛がっている。アレクが観察していると矢が刺さっている本数が増えてきた。よーく見ると一発目の矢は鱗を貫通出来なかったがヒビを入れる事が出来ていた。そこに2発目が入ると鱗を貫通して肉体に届いていた。
「なんて硬い鱗だあの矢は兵士の鎧だって貫通するほどの威力だぞ」
すこしずつではあるが確実にダメージを入れることに成功していた。しかし隊員が持っている矢の数には限りがある早くも矢が付きかけている。しかもただやられているだけの海竜ではない。矢を受けながらも何度か船に体当たりを仕掛けていた。アレクのもとにラミスが駆け寄ってくる。
「アレク様先ほどの攻撃で船に亀裂を発見しましたこれ以上は船が持ちません」
「なんだと船が沈めばあいつの餌になるだけだぞ」
アレクとラミスが話している時だった。海竜は一気に水中にもぐったかと思うと水中から飛び上がった。そのまま後ろのマストめがけて体当たりを仕掛け勢いそのままにマストを食いちぎって水中に飛び込んでいった。
「まずいマストを失えば動けなくなるぞ」
ラミスは海竜の攻撃でマストが無くなったことに恐怖していた。マストが根元から折られそこから船にヒビが入っていた。そのヒビはコウキがいる船室にまで届き水を打ち付ける大きな音と巨大な破壊音にコウキは驚いた。
「なんだ今の音それにここまでヒビが入るなんてこのままじゃいよいよ持たないぞ大丈夫なのかアレク」
これ以上船にダメージがあるようならばコウキは迷わずアレク達を助けに行く予定だ。しかし今はアレクの言葉を信じて待つことにした。
甲板の上では即席の作戦会議が行われていた。海竜は今水中に再び潜ってしまったため居場所がつかめない。しかしもう一度同じ攻撃を食らえば船がもたないだろう。なんとしても食い止めなければならない。親衛隊の隊員達は必死になって意見を出している。
「クソッあんな攻撃どうやって止めればいいんだ」
「俺たちが海に飛び込んで囮になるか?全員が違う方に泳げば海竜も狙いが付けられないだろうしコウキ様さえ逃げる時間を稼げれば問題ないだろ」
「しかし俺たちを無視して船に行ったらどうなる狙い撃ちだぞ」
「じゃあどうするんだ」
隊員達の意見をアレクは黙って聞いていた。この隊員たちの話をコウキ様が聞いたらきっと止めるだろうな。一緒に戦うとまでいった人だぞ。船室でコウキとした話をアレクは思い出していた。
『ふん面白いやってやるさ必ずあいつを倒して見せるさ』
アレクは決意を固めた。
「よし次奴が飛び出して来た時に勝負を決める」
「いったいどうやるんですか隊長いつくるかも分からないしあの高さなんて届かないですよどうやって決めるんですか」
「俺がマストに上がるそして一気に決めるさ」
「そんなマストに上がるなんて危険過ぎますよそれにどうやって倒すんですか」
「コウキ様は言っていた。ヒート隊長は無意識に体に雷を纏わせ身体能力を向上させていると皆覚えているかヒート隊長が一人でキングイーグルを倒した時の事を」
アレクの言葉に隊員達は固まった。皆思い出したのだ。ネメア国に害獣キングイーグルが襲ってきたことを。キングイーグルは全長10メートルはあろうかという巨大な鷲で空高くから攻撃してきてネメアの村が次々に襲われていた。報告を受けた兵士が討伐のために繰り出すも空高くを舞う巨大な鷲になすすべなく敗北していった。そこで単身勝負を仕掛けていったヒート戦士長は見事に倒して見せたのだ。あの時の戦士長はいくら鍛えていて最強だとはいえ人の域を超えていた。この戦いでネメアの金獅子と呼ばれるのだがまさにその通りで体は金色に輝き激しい戦闘を繰り広げていた。その金色の光こそヒートが無意識に使っている雷魔法であり基礎ではなくさらにその先に行っていた。あの時のようにアレクもなる事が出来れば必ず海竜を倒せるはずだ。アレクは体の中に流れる魔力を高めていく。港建設のために移動していた時にコウキからまず習ったこと魔法を感知することを体の中から確かめていく。先ほどコウキを追いかけるためにかなりの魔力を使っていたためかなり体内魔力は減っていた。
「かなり少ないが行けるか?」
残り少ない魔力を感知して雷の魔法に変換していく。雷の魔法にしていくとドンドン体から力が溢れていく。アレクの体毛が金色に輝き始めた。回りの隊員たちはアレクを見てこれならば行けるんじゃないかと思い始めた。
「よし成功だこれならば行けるはずだ」
アレクはマストに一気に駆け上がるとこちらの様子を伺っているであろう海竜の気配を探っていく。すると船の後方の方から大きな影が見えた。
「あそこか‼」
位置させ分かれば後はタイミングだけだ。アレクが海竜を睨んでいるいることに向こうも気が付いたのだろう。一回目の攻撃でこちらが反撃出来ないことを向こうも知っているため同じ攻撃をしようとこちらに迫って来た。影がどんどん大きくなってきて海竜が海中から飛び出してきた。アレクはタイミングを見計らって盾を構えている。海竜がマストに近づいてきて口を開けた瞬間アレクは飛び上がり思いっきり下あごにアッパーを食らわせた。
「グガァァァアアアア」
海竜はあまりの威力にそのまま船の壁を削りながら海に落ちていった。しかし海竜が落ちるのに巻き込まれたアレクも一緒に甲板に叩きつけられてしまう。
「隊長‼」
アレクが甲板に叩きつけれるのを見た隊員たちが駆け寄っていく。アレクの体を置きして息を確認すると息はあり。意識もしっかりとしていた。アレクは海竜に巻き込まれて落ちていく瞬間に体を捻り何とか体制を整えると受け身を取っていたのだ。しかしマストの上から落ちたこともあり無傷とはいかず左腕とあばら骨が折れていた。
「はぁはぁ大丈夫だ少し骨が折れているようだが問題ない」
アレクは隊員に無事を知らせると起き上がらろうとしていた。しかし体が痛み上手く立ち上がれない装備していた盾も殴った時の衝撃で外れてしまいどこかに行ってしまっている。
「コウキ様から頂いた武器を無くしてしまうなんてなんということだ」
「何言ってるんですか隊長あれほどの大物を倒したんですからまた新しく作って貰えますよこんな大戦果なんですから」
船の横壁が大きく削れたためコウキもいよいよ心配になり甲板に上がってきた。




