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甲板に上がって来たコウキはボロボロなっているアレクを見て驚き急いでアレクのもとに向かった。
「大丈夫かアレク凄い音がしたけど」
「なんとか大丈夫ですギリギリでしたが」
「コウキ様アレク隊長あいつを倒したんですよついにやったんです」
「死体は確認した?」
「いえですが隊長が確かに上で撃ち落としました。」
「うんそれは聞いたし信じるよでもこの船にこれほどダメージを与える生物の死体が浮いてこないのは不思議だと思わないか?」
「そうなのですか」
「生物なら必ず浮いてくるさ空気が入ってるからね周辺警戒をしてくれ急いで港に戻ろうアレクの治療もしないといけないからさ」
コウキは親衛隊とラミスに次々指示を出していく。アレクは骨折以外にも切り傷も見られ海上では感染症の危険もある。早めの治療をしなければならない。
「コウキ様これくらい大丈夫です私は問題なく動けます」
コウキはアレクを見てこうして歴史上の将軍などは病で命を落としていったのだろうと感じた。衛生面も整っていない環境で戦場に身を置いていればしょうがないが少なくともしっかりと処置をすれば助かる場合もあるはずだ。しかし歴戦の将軍ほどこういう時にこれくらいなどとあなどり見栄だけで戦っていたのではないだろうか。
「だめだよアレクしっかりと安静にしてなさい」
「分かりました休ませてもらいます」
アレクは隊員に連れられて船室に運ばれていった。とりあえず汚れを落とし応急手当をして後は港で処置すれば大丈夫だろう。
「さて俺はまだ見てないけどあいつはどうなった?」
コウキは見張りをしていた人に聞いて回る。しかし誰も海竜の姿を見たものはいない。
きっと海中で回復しているのだろう。
「これだけ危険な怪物なんだからここを逃してこの島の付近に潜伏されたら危険だなここでケリをつけてしまおうか」
「しかしどうやって奴を発見しますか?」
「ちょっと待ってな今考えてるからさ」
コウキは海竜を発見するための方法を考えていく。現代の考え方で行けばソナーがあれば一発で分かるんだけどな。
『ソナーって確か振動だよな魔法の性質的には行けるな』
コウキは振動のイメージをしていく。そして扇状に振動を飛ばしてみた。自分の魔力にため跳ね返ってきたら分かる。試しに飛ばしてみた振動は同じタイミングで跳ね返ってきた。なるほどなこんな感じか。感覚をつかめたためコウキは広範囲にソナーを飛ばしていった。すると船の後方の島から近い位置に大きな反応があったよく見たら水面が赤黒くなっている部分がある。
「見つけたあそこだ」
コウキは海竜の反応があった方に指を指して皆に伝える。さて問題はどうやって倒すかなわけだがこれ以上船に攻撃をさせてダメージを入れるわけにわいかない。このさえこっちから出向いてやるか。
「さてほんじゃ行ってきますか」
「ちょっとコウキさん変なこと考えてるんじゃないの行くって何よ」
「何言ってるんだアリスあいつは多分こっちに来るつもりないぞじゃ行くしかないじゃないか」
「そんなの危ないじゃない」
「大丈夫だってアレクが瀕死にしてくれたんだから余裕だってじゃちょっと行ってくるから」
言うが早いかコウキは上着を脱いで愛槍の蜻蛉切を手に持ち海に飛び込んでしまった。それを見ていた隊員は一気に慌て出す。
「おいコウキ様が飛び込んだぞ」
「何してんだアリス止めないとダメだろ」
「そんなこと言われてもいきなりで」
「もう分かったからとりあえず追いかけるぞコウキ様が狙われる前にこっちが目立たなければ狙われたら終わりだぞ」
危機感を覚えた隊員たちは急いで海に飛び込んでいく。最初に飛び込んだ隊員はコウキを探すがコウキは既にかなり離れた位置を泳いでいた。しかもかなり早いスピードで泳いでいる。
コウキが飛び込んだ時の事だ。コウキは水中で体に水の抵抗が少なくなるように体の前に水質変化の魔法をかけて抵抗を少なくした。その後足の裏から風の魔法で推進力を得てから海竜の反応があった方に泳いでいったのだ。そのまましばらく反応の方に進んで行く。途中でいったん呼吸をするために会場に戻った。
「即席だったけど以外に早く進めるぞさっさと倒してしまおうか」
コウキは再び潜って海竜の元に向かった。反応のあった近くまで来ると水中は血で薄汚れており岩場の影で海流が身を潜めていた。コウキは蜻蛉切を構えると一気に距離を詰めていった。コウキが海竜に接近すると向こうもこちらに気が付いたようで戦闘態勢に入っていた。しかしアレクの攻撃が効いているのだろ動きは鈍く下あごは傷つき開きずらくなっている。海竜は口で攻撃するのをあきらめるとコウキを囲むように泳ぎ出しコウキの横に来た時に体当たりを仕掛けるように向かってきた。しかしコウキは水質を変化させているため海竜の接近に合わせて押し出されるよようにして横にそれていく。
『水が左右にされるように操作したがこうなったか』
海竜は泳ぐときに発生する水の流れと反応してコウキを海竜が当たる前に押し出したのだ。これなら海竜の攻撃が当たる事はない。コウキは蜻蛉切の投擲体制をとる。
『狙いは一発次の攻撃の瞬間あの時の巨大エビを倒した時のように鋭い一撃で決める』コウキは構えをしたまま海竜が迫ってくるタイミングをまった。
一方親衛隊は急いでコウキを追って泳いでいた。一人でも多くの隊員が海竜の的になりコウキを助けるために必死になって泳いでいるが全く追いつく気配はない。しかも遠目から見ていると海竜はコウキの周りを泳ぎしまいには体当たりを仕掛けている。不思議な事にコウキは水中でもすんなりかわしていたがそう何度も避けれるわけがない。相手は水中のプロなのだ。必死になって隊員は泳ぐがいよいよ海竜がコウキの方を向いて猛スピードで泳ぎ出した。
『まずいもうおしまいだ』
隊員達が誰しも諦めたその時だった。コウキの手から蜻蛉切が放たれたのだ。コウキの手から離れた蜻蛉切は吸い込まれるようにして海竜の脳天から貫き体を貫通して飛んで行った。
「⁉」
その光景を目撃した隊員たちは息継ぎをすることも忘れて衝撃の光景を見ていた。脳天から貫かれた海竜は悶えることなく一瞬で生命が失われ海面に向かって浮いていった。コウキは蜻蛉切を回収すると浮上していった。我に返った隊員達も浮上してコウキのもとに向かった。
「プハッー苦しかったけど何とか倒せた良かった」
コウキが顔を出して浮かんでいると隊員たちも下から上がってきていた。
「ちょっとコウキさんなんで一人で行っちゃうのよ危ないでしょ」
「ごめんここで逃がしたくなかったからさせっかくアレクが瀕死まで追い込んだのに逃がしたら手柄が台無しだからな」
コウキが上がって来た隊員達から怒られている時ラミスが船を操り迎えに来てくれた。皆が引き上げられ海竜の死体を船の後方に括り付けると改めて港に向かった。コウキは船室で港に着くまで事情を知ったアレクに怒られるのだった。さて港に何とかたどり着くことが出来たコウキ達であったが船の状況は散々のあり様だった。マストは一本俺推進力は大きく下がり根元から折れたためそこから船体に大きな亀裂が入っている。コウキが回収して骨組みを増やしていなければ確実に沈んでいただろう。第二甲板から横が削れ一部は船内が見えてしまっているほどである。出迎えのためにやって来たクリスは船の惨状に驚いてかなり心配していた。港に着くと急いでアレクは仮拠点に運ばれていった。運ばれるときアレクはまだ見栄を張って大丈夫だっと言っていたが無視しておいた。今は隊員達がもうひと頑張りして船から物資を下ろしている。いつ沈んでもおかしくない状態のため急いで作業が行われていた。




