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ガロスはコウキの話を聞くと隊員と家族にコウキの話を伝えに行った。ガロスの隊は30人いる隊員の中で半数ほどが家庭を持っている。なのでもし全員が移るとなった場合結構な人が移る事になる。とりあえずガロスを待つことに決めたコウキはラミスの船で作業が終わるのを待っていた。ちょうど昼休憩を終えたくらいにガロスがコウキのもとに来ていた。コウキ様の話を伝えた所全員が移る事を決めたようです少しでも力になりたいと言うことで今移動する準備をしています。
「そっか皆来てくれるのかそうなるとこっちの家が空いちゃうかな?」
「それなのですが良ければ各家庭には子供がいるのですが子供たちが住むというのはどうでしょうか成人している子も多いので自立したいという意見も出ていますから」
「そっかそれなら任せたよこっちが頼む方だから自由に使ってくれていいよもちろん移ってくれた人にも家は用意するからさ」
「分かりましたとりあえず最初は物資を運びますのでその後で人は移ってもらいます。」
コウキはガロスの家族での対応を聞いて自分の考えを見直していた。思い付きで温泉に引っ越すと考えていたがコウキもステラと一緒に住んでいるのだ。勢いで告白してしまったが気持ちに嘘はない。
「そうだせっかく温泉なんだから観光地みたいにしたらどうだろう」
温泉というのはやはりいいもので一度入れば皆気に入るはずだ。港を作るわけだし島以外の人間を当然この島に来ることになる。そうなったらビジネスチャンスだしこの島に人が入って来て盛り上がれば移住する人も増えるだろう。そのための準備をしようと決めたコウキであった。
さてラミス達の出航の準備が整いコウキは本格的に港を整備するために動き出した。今回もアレク達は護衛のために一緒に行動しているが今回はラミス達の船で移動のためかなり楽に行けそうだ。
「ではコウキ様出航しますね」
「頼むよ」
ラミス達はすっかり熟練の動きで船を動かしている。しかも今回の航海だがアレク達が乗たことによって新たな試みがなされている。それは魔法と船を使った高速で移動する方法である。始めはラミア達が魔法を受け止められるように船を安定させる。
「ではアレクさんお願いします」
「任せておけラミス少しづつ行くぞ」
ラミスから準備が出来たと伝えられたアレクは帆に向かって魔法を発動させる。風の魔法で帆に風を送るのだ。ラミス達が操る帆はアレクから発生した帆をいっぱいに受け止めドンドン加速し出した。
「これは凄いですねこのやり方で進めばかなり早く動けますよ」
この時代の船というのは帆で海流や季節から風の流れを読んでそれに合わせて上手く船を操らなければならない。しかしこうして魔法を使える人間が人口的に魔法を生み出すことが出来たらどうだ。船乗りは常に風を読む必要もなく船の操縦だけに集中できる。しかも常に全速力で移動することが出来るだ。この世界では魔法というものがありつつ高位の限られた人間しか魔法が使えないとされていたので生活など一般的なことで魔法を使うという考えが浮かばなかったのだ。コウキは誰でも魔法が使えるということを証明し数々の魔法を生活に組み込んできた。今回の船も大成功だ。
「ん?ちょっと待てよ」
「どうしましたコウキ様私が何か失敗でもしましたか」
すこし疑問を抱いたコウキにすぐさまアレクがきずいた。
「いやアレクは完璧だよただね風の魔法の性質について気になってさ」
風というのは空気が温度の違いによって温められたら上昇したり冷されたら下降したりするという性質があるのだがそれによって空気が移動してその移動が風になるのだ。しかし風の魔法というのは消して温度が変化して風が発生しているわけではない。魔力によって空気を動かしているのだ。
コウキはそこから魔法の本質について考えていく。例えば火の魔法物を燃焼させるというのは燃える物質の温度が上がり火が出るわけだがそれが魔力なわけだ。水は自分の魔力が見ずになっている。風は魔力で空気を動かしている。土は魔力で土を動かし雷は魔力だぶつかって摩擦が生まれて電器が生まれていると考える。つまり魔力という性質は変化するという性質と物体を動かすという性質があるのではないだろうか。これは基本魔法であるため発展していった魔法は他にも色々ありそうだが少なくとも今分かる事はこの二つだ。
だとするならば蒸気機関のピストンを動かすという動作を蒸気ではなく魔力で代行できる。コウキは魔法を付与することができ多分同じことが皆出来ると思っているのだ。
つまりピストンを魔力駆動にしてしまえばボイラーも必要ないエンジンのみで駆動機関を作る事が出来る。
「これだよこれが出来れば技術と魔法の融合だ」
「コウキ様また何か思いついたのですね」
「あぁまだ検証段階なんだがやってみる価値はある」
コウキは思いついたら即行動が基本なので船の中にある倉庫に走っていった。中にインゴットがあるはずなので前アリスの剣を打った所まで行きピストンの形にインゴットを変化させた後魔力を込めていく。基本魔力構成は属性ではなく物を動かすというイメージを込めていく。ピストンが出来た後タービンなどを作成し箱を作って中にセットしたそれをタービンの動力はスクリューに繋げて小型ボートに船の上から繋げてあるタイプのエンジンを作っていく。船の後部にエンジンがありスクリューが伸びて水中の中に入り回転するタイプのエンジンだ。エンジンが出来ると丸太で小型ボートを作っていく。
「しまった倉庫の中で作ってしまった」
小型ボートとはいえ5人は乗れるほどの大きさでとても一人では外に運ぶことが出来ない。コウキは親衛隊の皆に手伝ってもらって無事に甲板に運び出すことが出来た。
「コウキさん船なんて作ってどうしたの?それに後ろについてるおっきい箱な何?」
「なんだステラ気になるのかしょうがないから俺の試作一号に一緒に乗っていいぞ」
「えっ?試作って大丈夫なの」
「理論的には問題ないし船自体はただの船だから失敗しても進まないだけだよ」
「そうなのじゃ乗せてもらうわ」
「よしアレクいったん魔法停止だラミス船を止めてくれないか」
コウキの話を聞いてアレクは手を止めてラミスは帆を畳んだ。船の速度が落ちやがて停止した。
「船自体は止まりましたが海流はとまらないのでとどまる事は出来ませんよ」
「これくらいなら十分だよこの船下ろしてくれ」
早速船に乗り込んだコウキとアリスは第二甲板から上陸用の甲板に移動し海に直水する。
「よしアリスしっかり捕まっておくんだぞ」
「分かったわ」
アリスが船のへりにしっかりと捕まったことを確認すると魔道エンジンを起動させた。するとピストンが動き出しエンジンがうなりを上げてスクリューが動き出した。船は推進力を得てグングン進んで行く。
「なんだ帆も無いのに動き出したぞどうなっているんだ」
「船の上から見学していた船員たちは興奮気味にコウキ達を見ていた。コウキとアリスを乗せたボートはドンドン速度を上げて進んで行く。
「大成功だぞアリスこれは凄いな」
「でもコウキさんちょっとこの船早すぎない?怖いわ」
「そうか?船なんてこんなもんだろ」
現在コウキ達の船は時速30キロほどで移動していた。コウキからしたら普通の速度だがアリスは30キロで進んだことなど無いのだ。風を受けて進む帆船でしかもあの大きさなのだとても早く進むことなど出来ない。コウキはこの速度を楽しんでいたがアリスが恐怖で引きつった顔をしていたので速度を緩める事にした。コウキはエンジンを調整しようとしてあることに気が付いた。
「あれこのエンジンどうやって調整するんだ?」
「え?コウキさん大丈夫なの」
「分からんどうしようか」
コウキが船の上からエンジンについて考えている時アレク達も焦り出していた。
「ちょっとまてコウキ様ドンドン離れていっていないかしかも物凄いスピードだぞこのままだと見失ってしまうぞ」
「確かにあの船とんでもなく早いな」
見学していた船員たちも慌て出している。
「まずいラミスすぐに出航だ俺も魔法を全力で展開する‼」
「分かりましたすぐに出航します」
船員たちは慌ただしく出航準備をして帆を張り直した。




