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アリスとアレクの試合を見届けた後船に戻る。
「戻って何するのコウキくん」
「さっきアリスに訓練用の木剣を使いやすいように加工しただろだから戦いになった時に真剣も同じじゃないと意味ないと思ってな」
「じゃあ私は怪我してる人がいないか皆の様子を見てくれわね」
「分かったまた後でな」
ステラと別れたコウキはいったん部屋に戻りベアリーに船にいると伝えた。
「分かったよ誰か尋ねて来たら伝えとくねご飯はどうするんだい?」
「昼には戻るよだからお願いします」
「任せといてね」
その後コウキは船の中の倉庫に来ていた。念のためにインゴットを何個か持って来ておいたのだ。これでアリス用のダガーを作ろうと思う。
「ダガーとはいえ軽いものがいいよなスピードを重視するタイプだったしな。」
刃は薄くそれでいて耐久力の高いギリギリの刃をイメージする。インゴットに魔力を流して剣の形を作っていく。本当は魔力に頼りたくはないのだが今回は設備がないのでしょうがない。
「そういえば罠を作る要領で魔法を込めたらどうなるんだろうな」
スパイダーギャング討伐の時に罠の中に燃焼の魔法と風の魔法を組み込んで罠を作ったのでもしかしたら武器にも込めることが出来るかもしれない。男の子なら一度は憧れるであろう炎を纏った剣とか雷のハンマーとかアニメとか神話の神が持ってる最強の武器だ。出来たダガーにとりあえず炎のイメージを込めていくしかし上手くいかない。
「やっぱりアニメみたいに魔力を込めるならハンマーで叩くのかな?」
まだインゴットが余っていたので残りでハンマーを作った。
「金床どうしようかな」
船の中を探していると骨組みに使った鉄の梁が見えた。船を補強するためにかなり硬めに作ったためハンマーで叩いてもびくともしないだろう。ちょうどいい高さの所まで行きダガーを乗せる。ハンマーに炎をイメージして魔力を纏わせて叩いてみた。2回3回叩いてみてハンマーに纏わせた魔力は確実に減っていたが特にダガーに変化はない。
「あれおかしいぞ魔力は入ってるはずなのに」
おかしいと思い全力で叩き続けた。魔力はドンドン入っていくがダガーに全く変化はない。しょうがないので家に帰ってからまた実験することに決めて倉庫に戻る。後は研いで刃を付けたら完成だ。丁寧にダガーを研いでいると剣がだんだん赤く染まってきた。
「なんだこれ?鉄が変化したのか」
研いでいくうちに刀身は赤くなっていく。刃が出来る頃には真紅に染まっていた。
「これもしかして成功した?」
試したくなったコウキは船着き場におり広い場所を探す。ちょっと開けた場所に出るとヒートが反乱軍の兵士と訓練していた。
「どうしたんだコウキ」
「ちょうどいい所にいたなヒート俺と一本勝負してくれないか」
「いいねやる気じゃねーか」
試しても怪我しなさそうなヒートがいたのでせっかくなので一本勝負することにした。ヒートは左腕に盾を装備し両手で御手杵を構えている。
「安心しろ殺したりはしないからよ」
「お前フル装備じゃねーか」
「お前はその剣を使うのか?新武器か」
「そうだよ全力で行くよ」
回りには最強の戦士長と得たいのしれない人間の一騎打ちが始まるとあり野次馬がどんどん集まってきた。しまいにはかけ事も始まった。ヒートが圧倒的で掛け金がかなり積まれていた。ちゃっかりベアリーが俺にかけていた。期待してくれているのだろう。
「全くあいつら人でかけ事なんてしやがって悪いが勝たせてもらうぞコウキ」
「まぁ勝っても負けてもどっちでも良かったんだがなこいつを試したかっただけだしでも俺の人気が無いのが悔しいから負けないぞ」
「その剣普通じゃねーななんか感じるぞ」
「それは勝負してからの楽しみだな」
「面白れぇ俺から行かせてもらおう」
ヒートは御手杵を構え一気に突進してきた。ヒートのスピードと槍のリーチが驚異的で食らったら確実に死ぬだろう。こいつ殺さないって言ったよな。
コウキは集中するとギリギリの所で槍をかわす。しかしヒートは止まらず左腕の盾についてるクローが迫ってきた。コウキは一気に踏み込むとダガーに力を込めて体の前にクロスさせ受ける体制を作る。
その瞬間だった。刀身が燃え上がり炎の壁を作った。
「なんだこりゃ⁉」
ヒートは炎に驚き後ろにのけぞった。その隙をつき一気に攻勢に出る。アリスの動きを真似してみた。ヒートの右側に回り込みながら左右から攻撃を仕掛けていく。ヒートは槍と盾で防いでいたが炎に驚き体制が整っていたことや刃を防いでも炎の熱は防ぐことが出来ない。ドンドン押されていく。回りのヒートにかけていた野次馬も驚愕と自分の金が無くなる恐怖を感じていた。
「コウキなんであいつの動きしてんだどこで覚えたんだよ」
「さっきちょっとあってな見様見真似だが俺強いだろ」
「クッやべ⁉」
攻撃に耐え切れなくなったヒートは地面に足を取られさらに体制が崩れる。咄嗟に盾を前に出したのはさすがだがその体制では防ぐことは出来ないだろう。思いっきり盾を切りつけた。ヒートの盾は弾かれ左腕の脇が空いた。そこに俺は腕を差し込み片を決める。そのまま足を刈り大外刈りを決めってやった。コウキよりも体格がでかいはずのヒートの体は宙を浮き地面に倒れ込んだ。そのままダガーを突き付けた。
「ふぅーやってやったぜヒート俺の勝ちだ」
「コウキてめえその剣ミスリル製の魔剣だなやたら赤いとは思ったがせこいじゃねーかどうしたんだそれ」
「ん?これか作ったんだよまぁとりあえず立てよ」
コウキは腕を差し出しヒートを起こす。戦闘の終了と同時に炎は消えていた。回りはヒートにかけていた野次馬達が掛け金を宙に放り投げ悔しがり少数の俺にかけていた人たちはいい笑顔だった。
「コウキそいつを作ったのか相変わらず常識が通用しねえやつだな」
「たまたま思いついてねやってみたら出来た」
「魔剣のやばさが分かってないみたいだな今の威力だと宝剣クラスだぞ」
「そうだったのか実はこれアリスにあげようと思ってダガーを作ったんだがな思いついたらやりたくなったんだ」
「アリスってのは誰だ?」
「昨日出会ってねなんでもガロスっていうお父さんの仇撃ちのために一緒に戦いたいって言われてねさっき強さを見て連れていくかどうか決めたんだが武器が合っていないようだったから新しく作ろうと思ってね」
「あいつの娘かそれであいつの動きだったわけだ」
「かっこよかったから真似してみた」
一度見た型は戦闘者の影響でだいたい理解することが出来てしまうとんでもない力だと改めて感じた。
「普通一目見ただけじゃ出来ねーよ後俺もそのアリスと合わせてくれ」
「分かった行こうか」
ヒート共にアリスの元に向かった。別れてから数時間ほど経っていたがまだアレクと訓練していた。
「二人とも戻ったよ」
「コウキ様お疲れ様ですヒート戦士長までどうされたのですか?」
「コウキの野郎がとんでもねぇもん持って俺を襲って来たからよぼこぼこ負かされちまった訳だがそこでそこの娘の話を聞いた」
「あなたはヒート戦士長どのですね私はアリス=ウェアトーガと申しますアレク様から指導を受けています」
「確かにあいつの子供だな似てるな」
「父からあなたの噂は聞いております」
「それでなコウキがお前のためにとんでもねぇ武器を作りやがったからその武器に似合うかどうか見極めにきた」
「そんなわざわざコウキ様が私にもしやその腰の...」
「そうだよアリス名付けて焔丸だかっこいいだろ」
「このような素晴らしい剣を」
「ちょっと待てお前が未熟だったならその剣を使うのは危険だ」
「コウキ様はいったいどのような剣を作ったのですか見るからにミスリル製ですし私は恐ろしく見えますよ」
「良く分かったなアレク良く鍛えてるな」
「一体この剣はどれほどなのですか」
「アリスといったか一本貸してくれ今見せてやる」
ヒートは剣を受け取ると中段に構えて思いっきり踏み込み振りぬいた。
その瞬間ブゥオっという音と共に剣が赤く燃え上がり炎の斬撃が出来た。
「「⁉」」
ヒートのやつ俺より使いこなしてないか?やっぱり化け物だなこいつはアレクとアリスは剣に驚き固まっていた。




