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竿を持った子供たち続々とコウキのもとに集まって来た。
「よし皆いいか見ておくんだぞ」
コウキはまず針に餌を付けて行く。このエサはリザードマンの皆が作ってくれたものでエビをつぶして固めたものだそうだ。
「釣りをするときはまず周りをしっかりと確認するんだ。特に後ろは注意しないといけない。それはな針を海に投げる時に竿を後ろから前に振るうんだけど針が付いているから人に刺さってしまうかもしれないからなんだ。だからしっかりと距離を取って確認してから竿を海に振るうんだ。」
説明した後実践に移っていく。十分に子供達から距離を取った後後ろを確認して回りに人がいないことを確認すると竿を振りかぶって海に向かって振るった。すると針は勢いよく海に飛んで行った。そして浮きが浮いてどこに投げたのかを教えてくれている。
コウキはいったん竿を岩で挟むと子供たちの所に戻って来た。
「よし皆やってみようか」
コウキはまず女の子から丁寧に見守っていった。ルビーもダイヤもサファイアも一生懸命竿を振って釣りを楽しんでいた。アレキサンドラとシルバーはさすがは男の子なのか自分達で餌を付けてコウキの言いつけを守り距離を取って周りを確認してから釣りを楽しんでいる。ヘルハウンドも合流すると後ろから様子を伺いながら釣りをしていた。
自分も戻ると竿を持って辺りを待つ。
「よしいいか皆釣りって言うのはな焦らない気持ちが大事なんだ。回りに振り回されず自分の竿に集中するんだ。いいな」
熱く語りながらもしっかりと竿に集中していた。そして少し経つとサファイアの竿に魚が食いついたようだ。
「お父様浮きが沈んだわ‼それに引っ張られているわよ‼」
「ヘルハウンド網の用意だ!落ち着いてゆっくりと引き揚げていくんだ」
「分かったわ…」
サファイアは慎重に竿を上に上げていった。すると海面から魚の姿がみえるくらいに撫で上がって来た。
「よしいい感じだぞヘル頼んだ‼」
「任せてくださいコウキ様」
ヘルハウンドは網を持つと浜の浅瀬方までゆっくりと近づいていった。魚がこちらに気がついて変な暴れ方をしないように慎重になっている。ヘルハウンドが十分に距離を詰めた所で合図を出していく。
「いいぞ思い切り引き揚げろ!」
「えい!」
サファイアが竿を上げた瞬間魚が海面から飛び出して来た。それを素早くヘルハウンドが網で捉えていく。サファイアは満面の笑みで笑っていた。
まぁこの竿はかなりの高級仕様で糸はリュディアの糸を使っているので食いちぎれるのはドラゴンくらいの物だろうがここは雰囲気が大切だ。
釣れるのか逃げられるのかのドキドキ感そして釣り上げた時のあの瞬間は忘れられないだろう。
ヘルハウンドが素早くとどめを刺してサファイアに手渡した。
「やったねサファイアちゃん凄いじゃないか大物だぞ」
「はいありがとうございます。ヘルハウンドさん」
サファイアはヘルハウンドに少し照れながらも笑って感謝を伝えていた。
さしてアファイアの釣り上げた魚は中々の大物で20㎝はあるのではないだろうか子供が初めてにしてはかなりの結果だと思うがここは異世界なため基本的には魚のサイズも大きい。これくらいは普通なのかもしれない。
それからも子供達は次々と魚を釣り上げていった。コウキ達が自分の釣りを楽しむ暇もないほどの大漁である。子供達は連れた魚をリュディアの所に持って行っては褒めてもらっていた。リュディアも中々のいいお母さんなようでしっかりとほめていたのであった。
楽しい時間というのはあっという間に過ぎるものですっかり暗くなってきた。昼ご飯は列車の中で早め食べていたので夕方でいつもより早い時間ではあるがかなりお腹が空いた。
魚の量も子供達が沢山釣ったことでかなりの量がある。もう十分だろう。
「よし釣りはこれくらいにしてそろそろバーベキューにしようか」
「「「「「はい!」」」」」
「ラミスそっちはどうだ?」
「はい準備は完璧です。いつでもやれますよ」
「よし来たじゃ皆まずは火を起こしていくぞ」
ここはあえて魔法を使わずに火を起こそうと思う。科学の基礎知識と言う物をしっかりと学んでもらいたいからだ。
「じゃまずは砂をかき分けて穴を作っていくぞ。砂と言うのはな岩や鉄や色々な物質が小さくなったものなんだ。だから火をつけても燃えることは無い。もっと細かい事を言えば有機物と無機物っていうのがあるんだけどそれは今度学校で詳しく教えてあげるからしっかりと授業に参加するんだぞ。ちなみに砂は無機物だ。そしてこの薪というか木は有機物だ。」
「「「「「はい分かりました」」」」」
「よし次に穴の周りに適当な大きさの岩を並べていくんだ。火と言うのは強すぎる風に弱いんだ。」
コウキは説明を交えながら焚き火を組んでいく。大きな木を組んだ後は中に細い枝を詰めていく。もちろん木と木の感覚を開けて空気の通り道を意識しながらだ。
「さっき風が強すぎると火が消えるとは言ったんだけどな空気も火を起こすうえで大切な事なんだ。だから木と木の組み方をよく見てくれ。ある程度隙間を開けて空気の通り道を作っていくんだ。」
さていよいよ火おこしの時が来た。これは男の子ならば憧れることではないだろうか。火というのはかなり危険なものだ。肌に触れれば火傷をしてしまう。
しかしだ。その危険な物を扱うという緊張感が男の子の心をつかむのだ。アレキサンドラとシルバーも目を輝かせながら見ている。
「よし火おこしなんだけどな。これを使うんだ。」
コウキがとり出したのは火打石と藁である。まずは藁を地面に置くと火打ち石を叩いて藁に火花を落としていった。数回打ち付け藁に種火が落ちるとそっと藁を持ち上げて優しく息を吹きかけていく。何度か繰り返していると藁の中から白い煙が出てきた。よしもう少しだ。コウキは思いっきり息を吹きかけていった。
「ふぅーふぅー」
ブォッ!白い煙が沢山出てきてやがて火が出てきた。火が出てかrは時間との勝負だ。藁を組んだ木の真ん中に入れていく。そして藁の上に何本か枝を置いていった。それから優しく息を吹きかけていくと火は燃え広がりしっかりと枝に燃え移ってくれた。枝に火が付けば後は勝手に燃え広がっていく。
「よし出来たぞ大きな木にも火が燃え移ったし完璧だ」
「さすがはお父様ですね魔法も使わずに火を起こせるなんて凄いです」
「そうだろうそうだろう。人と言うのはな魔法が無くてもしっかりと生きていけるんだよ。もちろん魔法は便利なものだ。でもなこの世界ではまだまだ魔法と言うのは貴重な物なんだ。魔法を使うという文化があまり発展していないんだ。だからこの島以外では皆こうして魔法に頼らずに生きているんだよ」
「それは皆大変なのですね」
「アレキサンドラとシルバーはコウキの言葉をしっかりと考えてくれているようだ。
「シルバそれは違うぞ確かに魔法は便利なものだがな。でもこの世の理をしっかりと学べば魔法を使わなくても便利な生活をすることが出来るんだ。例えば今やった火だって今は木を使っているけどな。この世界にはガスまたはオイルと言う物が存在するんだ。それを使えばもっと簡単に火を扱うことが出来る。要は使い方次第なんだ。それをしっかりと学んだうえで魔法と組み合わせていけばもっといい世界になると思わないか?」
「うーんそうかもしれませんね」
「コウキくん私もうお腹が空いたんだけどまだなの?」
おっとそうだったいけないついつい子供達に色々と話し込んでしまった。
「ごめんよステラ。よし皆勉強はここまで火が起きたからバーベキューの開始だ!」
読んでくれてありがとう




