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「そんな事気にしなくていいんだよ。蜻蛉切なんてまた作れば良いんだからそれよりもヤシャ俺の一撃を弾くなんて中々やるじゃないかヒートも感心していたぞ」
ヒートはドラゴンの事など気にしていなかったようで一人修行に励んでいたそうだが自分の放った一撃を見て飛んで来ると何かしたのかあの後しつこかった。しまいには自分にも教えろとか勝負しろとか言っていた。そんな攻撃をヤシャは防いだのだ。
「そんな必死に何とかして見たら偶然上手く行ったというだけの事です。それに弾いたとはいえ致命傷を避けられただけでそのまま気を失ってしまった。スカイドラゴンも傷ついてしまった。私はまだまだです。それになぜ私が助かったのか分かりませんがあの高さから落ちらのです。私よりも体重があるあいつはもうダメでしょうね気配も感じられませんし」
ヤシャはスカイドラゴンの気配が感じられ無い事でかなりショックを受けているようだ。せっかく仲間にしたドラゴンを失ってしまったショックも大きいのだろう。
「バハムートならぴんぴんしてるぞ?」
「バハムートとは何ですか?」
そういえばヤシャは気絶していてスカイドラゴンが進化したことを知らなかったな。
「ヤシャと一緒に来てたドラゴンの事だよ。俺が名前を付けてあげたんだ。スカイドラゴンって固有名詞だろ?だから名前があった方が良いと思ったんだけど色々あって今バハムートは元気だよ」
「バハムート逞しく凛々しい名前ですさすがコウキ様です。ではバハムートにも謝罪しなければいけない少し出て来るよ」
「大丈夫ですか私も付き添いますからそんなに急がないでください」
バハムートが元気だと聞いてヤシャはすぐに会いに行こうとしていたのだがそれを付き添うようにモミジが支えに回り準備をしてくれていた。前の旦那さんを無くしてから村を追われかなり追い込まれていた鬼人族はこの島に来て皆明るくなった。モミジもヤシャと暮らすようになってから元気を取り戻し、今ではハナの面倒も見てくれている。
そのおかげでハナはステラのもとに来なくなったのだがステラは少し寂しそうにしていた。まぁ同じ種族の方が色々と悩みなども分かって良いだろう。二人が外出の準備を始めたので外で持つ事にした。外に出て待っているとすぐに二人が出てきた。
「お待たせしましたコウキ様」
「バハムートは訓練所の近くの森とかにいるんじゃないかな俺も一緒に行くよ」
「はいお願いします」
それから三人で訓練場の方に向かっていると何やら強力な力同士がぶつかり合っているのを感じた。ヤシャも感じているようでかなり緊張している。
「訓練場で何かあったか?」
「分かりませんがかなりのプレッシャーを感じますね」
「そうだな急ぐか」
コウキとヤシャが先行して訓練場の方に向かうとなんとヒートとバハムートが戦っていた。しかもお互いかなりの本気モードで二人の体からは全身に魔力があふれ出し、金と銀色の光がぶつかり合っていた。
ヒートは御手杵とライオネルクローを駆使して巧みにバハムートの隙をついては攻撃を仕掛けている。しかも元々スカイドラゴンだったバハムートが飛べないようにうまく地面に落としていた。羽を広げれば体にタックルをしかけ体制を崩しジャンプしようとすれば足を攻撃する。そうして地面にバハムートを釘付けにしていたのだ。
しかしただやられているだけのバハムートではない。ただでは上空に避難することも出来ないと悟ったのだろう。前足で薙ぎ払ったり尻尾をしならせその長いリーチで何とかヒートを引きはがそうとしていた。バハムートの体からは強風が吹き荒れ風の防壁を張りヒートは全身が雷でコーティングされてまさに閃光だ。両者一歩も譲らない戦いをしていた。コウキはその戦いを見ながらも周りを見渡すとジンとアレクが並んで立っていた。
「これは一体どうなってるんだ。二人とも何があったんだ?」
「あぁコウキ様実はですね。ヒート隊長は人の話を聞かないことは周知の事実なのですが木陰で休んでいるバハムートを一目見た瞬間俺と勝負しろと言いましてね。バハムート殿は自分は味方だからとか戦うつもりはないとかコウキ様のお仲間に怪我をさせるわけにはいかないと言って断っていたわけですよ」
「おいおいそれってヒートの事を甘く見てないか?」
「まぁ普通に考えて神獣化したしかもドラゴン相手に単騎で戦いを挑んだところで負けるのが落ちなのでそんな愚かな事をする者はいないのですよ。しかもいくらドラゴンが手加減したとはいえ力の差があり過ぎてたいして意味がないですからね。それでヒート隊長に怪我をするなんて言ってしまったのです。我々もバハムートにヒート隊長は別次元の人間だから何かあればこちらに相談するようにと言っておけば良かったのですが」
「なるほどその言葉で切れたヒートがいて今こうなっていると」
「はいその通りです」
なるほどまた連絡不足がもたらした事故というわけだ。何とも人と言うのは些細な事でもまた同じミスをしてしまうものだ。それがこんな大事になっているのだ。
「オイお前ら聞こえてるからな後でコウキともやるからな体アップしとけよ」
なんとあの化け物は最強の生物であるドラゴンと戦いながらもこちらの会話を聞いていたようだ。何と怖ろしい奴
「おいこっちの話が聞こえてたんなら今すぐ戦闘を辞めないかヤシャがせっかく会いに来たのに台無しじゃないか」
「ハハハコウキお前も俺のこと分かってんだろこんなに楽しい事になってんのに追われるわけないだろ」
「オラッ!」
あぁこれはいよいよダメなパターンだ。戦闘をしているというのに声が生き生きしているしなんとも楽しそうな表情をしている。一方のバハムートが申し訳なさそうにこちらに目で謝罪しながらも必死にヒートと戦っていた。さすがのドラゴンでも今のヒートの攻撃はかなり聞いているようだ。急所に当たれば大怪我するだろう。
しかしヒートがああなった以上どちらかが降参するまで終わらないのだ。ただいいのか悪いのか今の所両者互角の戦いをしている。もちろんバハムートはスカイドラゴンなので上空からであればヒートを圧倒出来るだろうし、ブレスを使えばもっと戦を有利に進めることがあ出来るかもしれない。それが地上と言うハンデを背負いながら爪と尻尾だけでヒートと戦い続けるのは凄い事だろう。まぁヒートは相手を飛ばないようにしているのでやはりヒートが凄いのだが。しかしこのままでは中々勝負が決まらないだろう。仕方だ無いここはバハムートに助太刀するしかないな。
「ちょっといいかなヒート戦いを止めるつもりはないけど一回戦闘を中止してくれないかな?」
コウキの話が聞こえたのだろう。クローの盾部分で尻尾の薙ぎ払いを防ぐとその反動で一気に後ろに下がり距離を取った。
「なんだよ話って今忙しいんだがな俺とやりたいならこれが終わってからな」
「いやいやそういうことじゃないんだけど実はな目の前で戦っているバハムート君は今実は本気じゃないんだ」
「コウキ様何を言っておられるのですか!私は全力で戦っております」
バハムートもこちらの話を聞いていたようで焦った声を出していた。
「ほう?それはどういうことだコウキ」
よしいいぞ食いついてきた。
「実はなそこのヤシャとバハムートはセットなんだよ。この数か月間連携攻撃を学んで来たんだ。だから単騎だと本来の攻撃が出来ないんだよ」
「「ちょっコウキ様何を言っているのですか!」」
二人とも息ピッタリだ。これは面白い。しかもその息の良さが逆にヒートを信用させたようだ。
「なるほどなそういうことかオイヤシャ目覚めの運動をしようじゃねーか来いよ」
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